日本企業の海外進出の進展
- 2000年代
- 中国事業の本格化
製造拠点としてだけでなく、消費市場としても中国ビジネスが本格化。中国に駐在員を置く企業が急増
- 2010年代
- インド進出が活発化
現地企業との提携などにより成功パターンの模索を開始。製造拠点を置く動き。2010年代後半にはインド事業で利益が出始めた企業も。
- 2020年代
- アフリカ進出に本腰
アフリカビジネスを企業の戦略に位置づけ、本格的に取り組む企業が増える。法人設立や工場設立などの投資へと移行
Overview
アフリカの人口は2022年時点で14億人。1億人を超える国は3カ国存在します。2050年には25億人まで増え、世界人口の1/4がアフリカとなります。
アフリカの人口の半分は19歳以下と非常に若いです。一方でこれは、生産年齢人口(15歳~64歳)に比して非生産人口である子どもの割合が高いことを意味しますが、将来的にこの人口構成は変化し、人口に占める生産年齢人口の割合が大きくなります。経済成長と強く関連するいわゆる「人口ボーナス期」が2050年以降にやってきます。
関連記事:アフリカの最新の人口情報、今後の予測、人口ボーナス、都市化についての解説(アフリカの人口増加と中間層)
アフリカ大陸の関税を撤廃し、貿易ルールを共通化する「アフリカ自由貿易圏(AfCFTA)協定」は、2021年から運用が開始されました。「アフリカ版EU」と言われるもので、アフリカ54カ国・地域間の貿易と人の流れを活発化し、いずれ共通通貨を導入することも目指しています。25億人をターゲットとする単一市場が誕生したこととなります。
日本企業のアフリカ進出はこの10年増加し、進出拠点数は715となりました(アフリカビジネスパートナーズが調査集計する「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト2024年版」より) 。5年前の2019年版と比較すると、98拠点増えています。
アフリカを社会貢献(Social)の相手でなく、利益を期待する市場(Shobai)とする見方が定着しました。グローバルな競争や現地の高い需要を背景に、アフリカビジネスを企業の戦略に位置づけ、本格的に取り組む企業が増えています。アフリカ事業だけで100億円を超える売上を得る企業は数十社存在します。
この数年では、自社の本業でアフリカに進出する、自社の強い領域で事業を行う「本業回帰」の流れが生まれています。日本企業がアフリカへの進出を本格化してきているといえます。
出所:アフリカビジネスパートナーズ発行「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト2024年版」
日本では、2000年代に中国、2010年代にインドへの進出がブームとなり、アジアへの海外進出が進められてきました。2020年代はアフリカへの進出がより本格化し、企業にとっての重要な拠点となることが見込まれています。なぜならグローバルで勝負をする日本企業にとって、アフリカは、今後世界で生き残るための試金石となるからです。
日本企業がアフリカに注目するのはなぜでしょうか。アフリカは、成長市場を獲得できることはもとより、日本企業を強くします。企業の将来的な存続を考えたときに、次のような4つのメリットがあります。
アフリカは4つの地理的なエリアに分けられ、あわせて54カ国*が存在しています。
東アフリカには「EAC(東アフリカ共同体)」、東南アフリカには「COMESA(東南部アフリカ市場共同体)」西アフリカには「ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)」「UEMOA(西アフリ経済通貨同盟)」といった、政治・経済共同体が組まれ、関税の優遇などが行われています。
国旗をクリックすると、それぞれの国のビジネス環境や、どの経済共同体に属しているのかが表示されます
*西サハラをあわせると55カ国
アフリカのビジネス上の主要国は26カ国。経済の中心が資源・石油である国、工業・製造業である国、消費や貿易である国に分けられます。
*順位はアフリカ54カ国内での順位
**工業競争力指数:製造業がGDPに占める割合や輸出に占める工業の割合などからその国の製造業の競争力を指標化した世界ランキング。数値が小さいほど強い
***人口100人当たりの携帯電話契約数
GDPと人口は2022年、都市化率は2018年、工業競争力指数とビジネスのしやすさは2020年、携帯普及率は2021年
1人あたりGDP(ドル、2022年)をアジアの国々と比べてみると、想像されているほどの差はないことがわかります
そして、日本企業にとって次に注目するべきNEXT5は、モロッコ、エチオピア、ガーナ、タンザニア、コンゴ民主共和国の5カ国です
南アフリカ、エジプト、モロッコ、チュニジア
ケニア、ナイジェリア、エチオピア、アルジェリア
タンザニア、ガーナ、コートジボワール、ウガンダ、セネガルなど
南アフリカ、エジプト、チュニジア
ケニア、ナイジェリア、モロッコ、コートジボワール、ガーナ
タンザニア、エチオピア、コンゴ民、ウガンダ、セネガルなど
2024年現在、アフリカには716の日本企業の現地法人等が存在しており、南アフリカ、ケニア、モロッコ、エジプト、ナイジェリアが拠点数の多いトップ5カ国となっています。日本の各業界を代表する企業はほぼなんらかの拠点をアフリカに持っており、一般的に想像されているよりも多くの日本企業がすでにアフリカに進出しています
出所:アフリカビジネスパートナーズ発行「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト2024年版」
日本はアフリカ向けに、自動車や現地製造業向けの金属、資機材、化学品を輸出し、アフリカからは鉱物資源や農産物を輸入しています