エチオピア

エチオピア進出: 経済近代化の入口に立つ、まさにフロンティア。「アフリカの中国」として国家主導の成長を目指す

エチオピア

経済・ビジネス指標

正式名称
エチオピア連邦民主共和国
人口
1億3,547万人(2025年、国連)
アフリカ2位
宗教
キリスト教、イスラム教他(外務省)
使用言語
アムハラ語、オロモ語、英語等(外務省)
GDP
1,091億ドル(2025年、IMF、名目ベース)
アフリカ9位
GDP成長率(経済成長率)
9.2%(2025年、IMF、実質ベース)
アフリカ3位
一人当たりGDP
987ドル(2025年、IMF、名目ベース)
アフリカ40位
GDP構成比
農業34.9%、工業25.4%、サービス37.6%(2024年、CIA)
消費者物価上昇率
13.2%(2025年、IMF、年平均)
アフリカ11位
政府債務残高GDP比率
43.1%(2025年、IMF)
アフリカ40位
輸出額上位3品目
コーヒー(45.5%)、切り花(8.9%)、油糧種子(8.4%)(2024年、OEC)
輸出額上位3カ国
中国(12.7%)、米国(12.7%)、サウジアラビア(11.7%)(2024年、OEC)
輸入額上位3品目
航空機類(8.1%)、ガスタービン(7.4%)、コンピュータ(5.7%)(2024年、OEC)
輸入額上位3カ国
中国(43.5%)、フランス(10.3%)、インド(6.1%)(2024年、OEC)
直接投資額(フロー)
38.0億ドル(2025年、UNCTAD)
アフリカ5位
工業競争力指数
世界141位、アフリカ28位(2024年、UNIDO)
都市人口・都市人口比率
9,049万人・66.8%(2025年、国連)
アフリカ3位
中位年齢(人口の中央の年齢)
19歳(2024年、国連)
現地日系企業数
14社(2024年、アフリカビジネスパートナーズ)
アフリカ14位
中間層比率
28.0%(2015年、アフリカビジネスパートナーズ)
ジニ係数
35(2015年、世銀)
アフリカ9位
加盟経済共同体
COMESA(東・南アフリカ市場共同体)
Doing Business ランキング
世界159位、アフリカ34位(2020年、世銀)
腐敗指数
世界96位、アフリカ18位(2054年、世銀)
デモクラシー指数
世界116位、アフリカ28位(2024年、EIU)
リスク指数
カントリーリスクC、ビジネス環境D(2026年、coface)
携帯電話普及率
52.7%(2024年、ITU)
アフリカ41位
インターネット利用率
21.9%(2024年、ITU)
アフリカ41位
銀行口座普及率
48.5%(2024年、世銀)
モバイルマネー普及率
9.5%(2024年、世銀)
次回の大統領選挙年
2031年

※「中間層比率」はこちら、「現地日系企業数」はこちらにアフリカ各国のデータと算出根拠が説明されています。

エチオピア進出ガイド

経済構造と事業環境

巨大人口を抱える一党支配国、中国型の経済成長を目指す

日本の約3倍の国土に1億2,000万人の人口を抱えるエチオピアは、中国型の統制経済による発展を目指している。議会内閣制であるが議席の75%は与党が占め、実質的に一党支配である。電力、通信、金融、航空、物流などの重要産業は国有企業により寡占されている。中国がたどってきたように、政府主導で鉄道、電力、道路、工業団地、都市開発などのインフラ投資を進め、安価な労働力を活かして製造業を育て、輸出型製造業立国となろうとしている。「アフリカの中国」となる道のりの端緒にある。

エチオピアは独自の暦や言語、宗教を持つ。貿易や人の往来では中東諸国とのつながりも強い。

経済の開放は斬新的、それがゆえの製造業の厚みと自給自足経済

1991年に社会主義政権が倒れたあと、国家主導で斬新的に経済開放が行われてきた。それまで輸入や外資の投資を制限してきたがゆえに、すべてのものを国内で製造してきた経緯があり、安価な輸入品に押されて国内製造業が衰えた他のアフリカ諸国に比べると、国産品が多く製造業に厚みがある。

しかし一方で、その技術水準は古く、外貨の参入を制限してきたことが製造業をはじめとする産業の近代化を妨げてきたともいえる。2018年に就任した現首相は、経済の開放を政策の柱に掲げ、通信や金融への外資参入を認め、外資の投資に関する規制の緩和を行った。2025年には証券取引所が発足、2026年にはWTO加盟を目指すなど、「普通の国」に向けて少しずつ歩を進めている。

内陸国による物流コストと外貨不足が課題

エチオピアは内陸国であり、隣国ジブチの港に海運を依存している。港までは長距離の鉄道や道路で運ぶため、物流にコストがかかる。輸出型製造業を目指してはいるが、現状はコーヒーや食肉などに輸出品が限られ、外貨収入が少ない。外国企業の参入を制限してきたことも、外貨不足の一因である。2020年にはじまった国内の内戦やウクライナ紛争による世界的な金利高が拍車をかけ、2023年にはデフォルト(債務超過)に陥っている。

その後はIMFによる融資を受けながら債務再編や経済改革を進め、2026年時点では為替の変動や外貨不足は小康状態を保っている。かつては外貨保有が規制され、外国企業が外貨を保有したりエチオピアで得た利益を本国に送金したりすることが難しかったが、デフォルト後の改革によっていずれも可能になった。このように状況は改善しているとはいえ、物流コストの高さと外貨不足はエチオピアでビジネスを行うにあたって常に課題となる要素である。

エチオピアの首都アディスアベバの町並み(ABP撮影)

エチオピアの代表的な企業

エチオピア航空は、アフリカ最大の航空会社であり、アディスアベバのボレ国際空港はアフリカと世界を結ぶ重要なハブ空港となっている。130を超える国際線を飛ばしており、日本との間にも直行便がある。通信会社エチオテレコムは、近年とくに積極的なサービス展開を行っており、エチオピアにモバイルマネーを一気に普及させた。内陸国の物流を担うのはEthiopian Shipping and Logistics。これら企業はいずれも国有大企業である。

関連記事:携帯通信最後のフロンティア、エチオピアがモバイルマネーを開始

民間企業では、エチオピアとサウジアラビアにルーツを持つ財閥MIDROCは、石油販売、資源輸出、鉄鋼、セメント、建設、ホテル、不動産、食品、小売とあらゆる産業を抱える巨大財閥である。最近はスーパーマーケットのチェーン展開を開始し、エチオピアで進んでいなかった小売の近代化に一役買っている。Kerchansheもエチオピアでコーヒー農園から自動車販売まで行う財閥である。ナイジェリアのダンゴテ財閥はエチオピアでもセメント工場を展開する。

多国籍企業では、ユニリーバが石鹸や洗剤、調味料の製造を行うほか、ペプシコが食品の製造を行っている。インドミーはインスタントヌードルを製造し、ハイネケンと仏カステルがビールを、コカ・コーラとペプシが飲料を製造している。

エチオピアでは綿花が栽培されており、縫製工場が多く存在する。縫製専門の工業団地も多く存在し、人件費は相対的に安く、欧州への免税輸出も可能なことから、アパレル企業の進出も多い。

アフリカビジネスパートナーズは、事業領域や事業規模にあわせて、日本企業にマッチするエチオピアのビジネス相手を紹介しています。

関連記事:エチオピアに関するビジネスニュース(アフリカのビジネスニュース)

エチオピアに進出する日本企業

国有企業に独占されてきたからこそ競争相手が少ないことは、利点でもある。日本たばこ産業は2016年、国営独占企業だったたばこ会社を買収し、エチオピア唯一のたばこメーカーとなった。住友商事は2021年、エチオピア初の外資への通信ライセンス開放に伴い、ケニアSafaricom社、英Vodafoneらとともに通信事業に参入した。サファリコムエチオピアと名付けられたこの通信会社は、国営エチオテレコム以外の唯一の通信会社である。ケニアで培ったモバイルマネーを起点としたサービスをエチオピアでも展開する。

エチオテレコム(左)とサファリコムエチオピア(右)、ABP撮影

伊藤忠商事は、コーヒーやごまを日本に輸入するとともに、現地代理店を通じていすゞ車の組み立てと販売を行っている。エチオピアはコーヒーの発祥地であり、その豆は世界的にも品質が良く著名で、日本に輸出されカフェチェーンや喫茶店、コーヒー飲料に用いられている。日本へは、高地であることを活かした花卉も輸出されている。TOPPANは2023年、現地企業等と合弁企業を設立し、電子パスポートなどの製造を行うことで合意した。東証スタンダード上場企業Abalanceは、子会社を通じてエチオピア初となる太陽電池(ソーラーセル)工場を建設する。ベトナムで製造し米国向けに輸出していたが、関税措置が変更となったため、エチオピアへ製造拠点を移す。

日系スタートアップのDodaiは、電動バイクの製造と販売を行っている。電気自動車に続き、電動バイクは今後の台数増加が期待できる分野である。

エチオピアに進出しているすべての日本企業については、「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト」で紹介しています。

関連記事:アフリカの日系スタートアップ、注目すべき7社(下)Dodai-ガソリン自動車の輸入を禁止したクレイジーなエチオピアで、電動バイクを組み立て販売

関連記事:エチオピアにおける日本企業の動き(今月のアフリカにおける日本企業の動き)

エチオピアの事業機会

エチオピアの産業界は、近代化の初期段階にあり、幅広い分野で需要に供給が追いついていない。とくに現地の製造業では、原材料の安定調達、資金供給、技術協力への需要が大きく、業務提携や合弁会社の設立など、多様な形で参入できる余地がある。進めるには諸々の困難はあれど、日本たばこ産業のような長期的な視野に立った製造業投資は、取り組む価値がある。すでに一定の市場シェアや販路を持つものの、設備や生産技術の近代化が進んでいないことで拡大につまづいている現地企業は多い。

いわゆるリープフロッグにより、一気に進化が進むこともある。たとえばエチオテレコムとサファリコムエチオピアが展開するモバイルマネーは、たった4年間で都市部に普及し、そのスピードはケニアでモバイルマネーが普及したときよりも早い。2024年に政府が、世界で始めてとなるガソリン車の輸入禁止を決めたことをきっかけにして、いまではアフリカでもっとも多くの電気自動車が路上を走り回っている。フロンティアとして事業をはじめるのにうってつけの状況にあるのがエチオピアである。

関連記事:世界に先駆けガソリン車輸入を禁止。エチオピアで電気自動車が驚くスピードで普及

エチオピア政府も製造業への投資や産業の近代化への取り組みについては積極的に誘致し、支援する姿勢にある。一方で、エチオピアでは「政府がルール」であり、その一存でものごとが決まることに留意が必要だ。とくに新しい事業を行う際は、政府と歩調をあわせながら進めることが望ましい。また、支援する姿勢はあっても、政策と運用や取り組み同士の整合性がとれていない場合がまだ多いのが課題である。

エチオピアへ進出する方法

ほかのアフリカ諸国が開放的な外資政策をとっている一方、エチオピアにはまだ多くの外資規制や実質的に事業を困難にする制度や体制が残っている。法人設立にあたっては、外資に対して実質的には許されていない方法や、あとからは変えられない不可逆的な決定事項もあるため、先々までの戦略を考えた上であらかじめ方針を決定する必要がある。外貨が不足しているため、将来的な利益の再投資方法についても決めておく必要がある。貿易に困難があり物流や通関もスムースとは言い難いため、輸出入へのコストと時間をどの程度許容するかも検討事項だ。課税に関する税務当局との認識違いも生じやすいため、トラブルを回避する設計を施す必要がある。障壁となる規制やルールは交渉すればなんとかなると安易に考えないほうがよい。人材の採用や管理にあたっても、エチオピアの労働観を踏まえつつ、外資としての日本企業とフィットする人材の選択や人事制度の策定が求められる。

このように一筋縄でいかないのがエチオピア進出であるものの、いいかえるとそれは競合への障壁でもあり、早く進出し知見を蓄えた企業ほど勝ちやすい。アフリカビジネスパートナーズはこれまで複数の企業のエチオピア進出を実現させ、具体的な方法論を蓄積しているため、相談いただければと思う。

弊社が行っているエチオピアでのコンサルティングサービスについては、エチオピア進出コンサルティングでご紹介しています。

エチオピア進出コンサルティング 取り扱い課題やサービス内容

最初に何から始めたらよいか、自社にはどういうビジネスチャンスがあるか、ひとまず相談されたい場合や、エチオピアの産業実態やビジネスチャンス、進出ガイドなどへのご質問は、スポット相談をご活用ください。

スポット相談の詳細とお申込み

エチオピアでの市場調査、事業立ち上げ支援など、コンサルサービスのご依頼は、以下からお問い合わせください。

エチオピアのコンサル、市場調査、進出支援のご依頼はこちらから

※引用される場合には、「アフリカビジネスパートナーズ」との出所の表記と引用におけるルールの遵守をお願いいたします。リンクはご自由にお貼りください。

おすすめ・関連サービス