アルジェリア

アルジェリア進出:国家主導の経済で外資には厳しい環境なるも、懐に入れば優遇、製造業にもチャンス

アルジェリア

経済・ビジネス指標

正式名称
アルジェリア民主人民共和国
人口
4,744 万人 (2025年、国連)
アフリカ10位
アフリカ10位
宗教
イスラム教(スンニ派)(外務省)
使用言語
アラビア語、ベルベル語、フランス語(外務省)
GDP
2,857億ドル (2025年、IMF、名目ベース)
アフリカ4位
GDP成長率(経済成長率)
3.8%(2025年、IMF、実質ベース)
アフリカ33位
一人当たりGDP
6,047ドル (2025年、IMF、名目ベース)
アフリカ7位
GDP構成比
農業13.1%、工業37.8%、サービス45.6%
(2024年、CIA)
消費者物価上昇率
1.4%%(2025年、IMF、年平均)
アフリカ41位
政府債務残高GDP比率
54.1%%(2025年、IMF)
アフリカ27位
輸出額上位3品目
石油ガス(45%)、原油(27.4%)、精製石油(17.8%)(2024年、OEC)
輸出額上位3カ国
イタリア(24.5%)、フランス(14.4%)、スペイン(12.5%)(2024年、OEC)
輸入額上位3品目
小麦(4%)、自動車(3.7%)、濃縮乳(3%)
(2024年、OEC)
輸入額上位3カ国
中国(26.7%)、フランス(11.9%)、イタリア(6.7%)(2024年、OEC)
直接投資額(フロー)
15.3 億ドル(2025年、UNCTAD)
アフリカ13位
工業競争力指数
世界93位(2024年、UNIDO)
アフリカ8位
都市人口・都市人口比率
3,842万人・81.0%(2025年、国連)
アフリカ10位
中位年齢(人口の中央の年齢)
28歳(2024年、国連)
中間層比率
89.7%(2011年、アフリカビジネスパートナーズ)
ジニ係数
27.6(2011年、世銀)
アフリカ1位
現地日系企業数
17社(2024年、アフリカビジネスパートナーズ)
アフリカ11位
加盟経済共同体
UMA(アラブ・マグレブ連合)
Doing Business ランキング
世界157位、アフリカ33位(2020年、世銀)
腐敗指数
世界109位、アフリカ21位(2025年、世銀)
デモクラシー指数
世界110位、アフリカ25位(2024年、EIU)
リスク指数
カントリーリスク、Cビジネス環境C(2026年、coface)
携帯電話普及率
92.7 %(2024年、ITU)
アフリカ4位
インターネット利用率
77.4 %(2024年、ITU)
アフリカ5位
銀行口座普及率
35.3 %(2024年、世銀)
モバイルマネー普及率
0%(2024年、世銀)
次回の大統領選挙年
2029年

※「中間層比率」はこちら、「現地日系企業数」はこちらにアフリカ各国のデータと算出根拠が説明されています。

アルジェリア進出ガイド

経済構造と事業環境

政府と軍が強い権威主義国家、国家主導の経済

経済政策は国家主導で、公共部門が経済に占める割合は大きい。公共投資や公的賃金が景気を支えており、政府支出はGDPの4割近くにのぼる。後述するように石油・天然ガスを中心とする経済であるがゆえに、エネルギー関連の国有企業と国有銀行が経済を方向づけている。

同時に社会主義低な一面があり、国家が補助金や支出を通じて再分配を担っている。最低賃金は月額2万4,000ディナール(約180ドル)と低く抑えられている一方、住宅や電気、生活必需品は補助金が投入され、雇用面では公務員や国有企業といった公共セクターが全体の4割を支えている。こういった再分配政策は社会の安定に寄与する一方、財政をより石油・ガス収入に依存させる要因にもなっている。

石油・天然ガスが産業の中心、産業の多角化と民間企業育成が課題

アフリカ有数の石油・天然ガス産出国で、とくに天然ガスは欧州にとって重要な供給国となっている。豊かな資源収入を背景に、1人あたりGDPは6,000ドルを超え、道路や港湾、鉄道といったインフラが整備されてきた。電力やガス、ガソリンの供給は安定しており価格も安い。

輸出総額の8~9割、国家歳入の4~5割がこれら資源に依存しているため、反面、ほかの産業が育ちづらいことが課題である。食品・日用品や医薬品、建材など製造業が発達している領域もあるものの、これらとて国内需要や公共需要を中心に、政策的な支援によって成長してきた面がある。石油・天然ガスやリン鉱石資源を用いた重化学工業や付加価値産業の創出も課題である。

強い外資規制と保護貿易により、外資にとって厳しい事業環境

政府は、輸入による外貨流出を抑え国内に付加価値価値を残す、輸入代替・国内製造業保護のスタンスに立つ。アルジェリアはWTOに加盟しておらず、外資にとっては投資や事業環境の不透明感が強い。外資規制は2020年に緩和され、非戦略領域では外資が51~100%の持株比率保有も可能となったものの、エネルギー、鉱業、防衛、輸送、イ​​ンフラ、医薬品といった戦略領域では依然過半数はとれず、輸入販売業では外資の出資比率は49%以下に制限されている。製造業においても、実質的に現地企業との合弁でなければ進出は難しい。送金規制が存在し、海外への利益還流の手続きには煩雑な手続きが必要となる。

国内産業を保護するため、輸入ライセンス制度を設け、輸入禁止品目を定めている。国内で生産可能な穀物、食品・飲料、医薬品、建材、家電、農機や、国内産業と競合する中古製品は輸入禁止である。関税水準は高く、追加セーフガード関税が課される品目も多い。

外資規制や通関・関税制度は頻繁に変更されるため、外資にとっては予測可能性が低い。たとえば自動車においては、かつては年間60万台の新車輸入販売台数を誇り、トヨタ自動車、スズキ、日産自動車が現地ディーラーを通じて輸出販売していたものの、2015年に輸入割り当てが導入され、2017年からは新車輸入ディーラーに国内での組み立て生産が義務付けられたため、実質的に新車の輸入販売が禁止された。2023年にこの規制は緩められ個人向け輸入が可能となったものの、ディーラーへの販売許可には引き続き厳しい条件が課されているため、2026年時点でアルジェリアで正規の新車の生産・販売を行っているのはフィアットとオペルを生産するステランティス1社のみである。

アルジェリアの地下鉄
アルジェリアの首都アルジェを走る地下鉄(ABP撮影)

アルジェリアの代表的な企業

国有石油・天然ガスSonatrachは、アフリカで最も売上が大きい企業である。ナフサやプラスチック原料も製造し、傘下に肥料・農薬のAsmidalを抱える。国有Holding Algeria Chemical Specialities(ACS)も傘下に30社以上の化学系企業を抱えており、化学はアルジェリアの主要産業のひとつである。発電、送配電、ガス供給は国有Sonelgazが担う。Sonaremは金やリン鉱石を扱う国有鉱業会社である。

自動車は前述のように、ステランティス1社が生産と販売を行っている。韓国現代自動車やKIA、仏ルノー、独フォルクスワーゲン、中国Chery(奇瑞汽車)やGeely(吉利汽車)らが、準備や当局との交渉を続けている。一方で、個人向けを名目とした自動車の並行輸入は条件付きで許可されており、中国車が多く輸入されている。

Cevitalは、農業、食品加工、家電、物流、自動車流通などを手掛けるアルジェリア最大の財閥である。Condor Electronicsはアルジェリアを代表する家電メーカーで、家電、エアコン、スマートフォンも生産している。アルジェリアが強いジェネリック医薬品製造では、Saidal、Biopharm、El Kendiがトップ3である。Al Solbは高炉を持つ国営製鉄所で、傘下にQatar Steelとの合弁会社を持つ。東洋鋼鈑がトルコで合弁を組むTosyaliは、アルジェリアに世界最大級の直接還元鉄プラントを稼働させている。

携帯通信は、国有Algérie Télécom傘下のMobilisが4割を超えるトップシェアで、同じく国有DjezzyとカタールのOoredooが唯一の外資系として存在する。政府は国家サービスのデジタル化を進めている。

アフリカビジネスパートナーズは、事業領域や事業規模にあわせて、日本企業にマッチするアルジェリアのビジネス相手を紹介している。

アルジェリアに進出する日本企業

アルジェリアには日本企業が17社進出している。石油・天然ガス産業に関連して、日揮、IHI、横河電機といった企業がアルジェリアに拠点を置いている。

荏原製作所はポンプの販売に関して駐在事務所を置いている。ダイキンは、前述の家電メーカーCondor Electronicsと提携して、エアコンの製造を開始すると発表している。

豊田通商傘下CFAOは、現地のジェネリック医薬品メーカーPropharmalに49%を出資するとともに、医薬品流通を行っている。自動車は前述通り、日本の自動車メーカーの新車販売は、個人輸入や商用車の法人需要を除き、ほぼ止まっている。

アルジェリアに進出しているすべての日本企業については、「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト」で紹介している。

関連記事:アルジェリアにおける日本企業の動き(今月のアフリカにおける日本企業の動き)

アルジェリアの事業機会

外資にとって厳しい条件ばかり並ぶが、豊かな資源国であり、石油・天然ガス、インフラ整備やその他国有企業に関連する事業領域で、政府や国有企業向けビジネスをするならば機会があることは間違いない。外資規制は厳しいものの、大規模な雇用創出や技術・設備の移転をもたらす大型投資に対しては、政府は柔軟な対応をとる場合がある。いわば、懐に入れば、一定の環境が約束される可能性がある。

とくに、政府が外資の投資資金、技術提供、原材料の供給を望んでいる、農業や食品加工、電力、再生可能エネルギー、化学、医薬品、医療、通信、環境といった業種では、許認可の取りやすさや優遇措置も期待できる。政府は、石油資源を用いた重化学工業の展開や、リン鉱石などの鉱物資源開発、近代農業への移行、建材の高度化などを目指し、外資との協力を模索しているタイミングである。日本企業が現地企業に資金や技術、ライセンスや原材料を提供しながら事業を行うことは可能である。

一方、日本製品の輸出や小規模事業の展開は望まれていない。まずは輸出販売や小規模な投資から始めたい日本企業のアプローチは、通用しない国だといえる。

日本の漫画やアニメが受け入れられている代表的なアフリカの国のひとつであり、日本食も意外と人気がある。若い世代はインターネットを通じて情報を得ており、オンラインを通じたサービスの提供は可能性がある。

最初に何から始めたらよいか、自社にはどういうビジネスチャンスがあるか、ひとまず相談されたい場合や、アルジェリアの産業実態やビジネスチャンス、進出ガイドなどへのご質問は、スポット相談をご活用ください。

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