アフリカにおける日本企業の動き(2026年5月)

アフリカにおける日本企業の動き(2026年5月)

(写真はアサヒGHDが買収合意したケニアEABL社のビールのコアブランド、タスカー、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

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【マダガスカル】住友商事がマダガスカルのニッケル鉱山事業の全出資持分を譲渡し撤退(5/1)

住友商事が、マダガスカルのアンバトビーニッケル・コバルト事業に保有する54.17%の全持分を売却し、撤退する。ジャージー拠点のAmbatovy Mineral Resources Investment Holding(AMRI)へ売却し、約700億円の損失を計上すると発表した。

住友商事は2005年から同プロジェクトに参画し、子会社経由でニッケル採掘事業会社Ambatovy Mineralsおよびニッケル精錬会社Dynatec Madagascar に持分を保有している。残る46%を保有する韓国のKorea Mine Rehabilitation and Mineral Resources Corporation(KOMIR)は引き続き株式を保有する。新たに筆頭株主となるAMRIは、グレンコアの元トレーダーが経営する英Essenwood Partnersと石炭やインフラ等に投資を行っている南アフリカのZungu Investmentsにより構成されている。住友商事は売却後も一部オフテイク権は保持する。

Ambatovy鉱山は、2024年にニッケル2万8,000トン以上、コバルト2,500トン以上を生産したものの、2026年2月のサイクロンによる操業停止以降まだ再開されていない。

【ナイジェリア】ヤマハ発動機が出資する電動バイクや電気自動車向けに融資を行うナイジェリアのMetro Africa Xpressが、オランダのインパクト投資Triple Jumpから800万ドルの融資を確保(5/13)

電動バイクや電気自動車向け融資を行うナイジェリアのMetro Africa Xpress(MAX)が、オランダのインパクト投資Triple Jumpから800万ドルのデットを確保した。

MAXはナイジェリアを中心に、ガーナ、カメルーンを加えた3カ国で事業を展開している。配車アプリのドライバーに対してPay As You Go型融資を提供し、車両の保有を支援する。電気自動車の提供によりランニングコストの削減も後押ししている。現地実態にあった独自車両を用意し、ドライバーに融資を提供し、バッテリー交換インフラを整備し、IoT対応の車両管理システムを構築するという統合的な取り組みを行っている。

【ケニア】アサヒグループホールディングスによるケニアEABLの65%株式買収について、証券当局が義務的公開買付けの免除を承認、買収完了に向けて一歩前進(5/15)

ケニア、タンザニア、ウガンダの証券当局が、アサヒグループホールディングスによるケニアのビール製造・蒸留酒販売EABL等の65%株式の買収について、義務的公開買付けの免除を承認した。少数株主に対する強制的な公開買い付けを行うことなく、支配権を得ることができることとなった。

EABLはナイロビ証券取引所、ダルエスサラーム証券取引所およびウガンダ証券取引所に重複上場しているため、3カ国の資本市場庁による承認が必要だった。次は、3カ国の競争当局による競争上の承認を得る必要がある。

【チュニジア】いすゞ自動車が株主である中国のトラック・商用車メーカーQingling Motors(慶鈴汽車)がチュニジアで組み立て生産と販売を開始(5/15)

中国のトラック・商用車メーカーでいすゞ自動車が株主であるQingling Motors(慶鈴汽車)が、チュニジアでピックアップトラックの組み立てと販売を開始した。Qingling Motorsは1985年に重慶市政府といすゞ自動車の合弁会社として設立された企業となる。

組み立て生産は現地企業Prod Carがコンプリートノックダウン方式で行う。いすゞ製のエンジンを搭載する。販売はチュニジアの財閥Bayahi Group傘下のディーラーTunisie Carが行う。小売や食品加工、保険、工業、農業と広く手掛けるBayahi Groupは、以前はBAIC(北京汽車)のディーラーを行っていた。

Qingling Motorsの2025年業績は、売上高が約6億4,200万ドル、販売台数が3万3,226台と推定される。

【南アフリカ、エジプト】トヨタ自動車が南アフリカとエジプトで完全電気自動車の発売を開始。日本製バッテリーを用いたbZ4XとLexus Zの2モデル(5/19)

トヨタ自動車が南アフリカとエジプトで完全電気自動車の販売を開始した。投入するのは日本の生産技術を用いた品質の高い電気自動車であるbZ4XとLexus RZの2モデルとなる。エジプトでは2モデルを同時に、南アフリカではbZ4Xから販売を開始する。

2モデルとも、トヨタの世界共通のプラットフォームe-TNGAをベースに開発され、パナソニックとの協業により開発された日本製のバッテリーを装備している。バッテリー、電気モーター、主要電源ユニットについて、8年または16万キロメートルの保証を提供する。

南アフリカでは、SUVであるbZ4Xを118万ランド(1,100万円)で販売する。同国では電気自動車への関心が高まっており、ライフスタイルへの憧れや最新技術により注目されているものの、トヨタ自動車はそれらとは一線を画して実用的で移動体験を提供する電気自動車を販売するのだという。Lexusの電気自動車モデルは2026年後半に投入し、2027年初頭に7人乗り電気自動車を発売することも検討している。

トヨタ自動車は南アフリカで最も多くハイブリッド車を販売しているが、価格やインフラ整備の現状から、当面の間はハイブリッド車(HEV)が新エネルギー車の主流であるとみている。
※1ランド=9.6円(モーニングスター、5/21)

【モロッコ】自動車部品・軸受メーカージェイテクトが、電動ステアリングを製造するモロッコ工場も含む欧州子会社7社をファンドに売却合意(5/27)

自動車部品・軸受メーカージェイテクトが、グローバル体制再構築の一環として、欧州子会社7社を独投資会社DUBAG Groupの特別目的会社へ売却する株式譲渡契約を締結した。フランスやベルギー、チェコ、米国の拠点に加え、ステアリングシステムを製造しているモロッコ工場も売却する。欧州事業については黒字化を目指し、事業の整理・統合を検討していた。

ジェイテクトはアフリカ・中東の初の生産拠点として、2017年にモロッコ北部タンジェのTanger Automotive Cityに製造拠点の建設を開始した。モロッコに生産工場を持つ仏ルノーやGroup PSA向けに供給するとともに、輸出も行うとして、約11,300平方メートルの施設に2億2,000万モロッコディルハム(37億円)を投資した。電動パワーステアリングとステアリングコラムを製造し、立ち上げ時に発表した電動パワーステアリングの年産能力は23万台である。
※1モロッコディルハム=17円(モーニングスター、6/3)

【タンザニア】三菱UFJ銀行とイスラエルLiquidityの合弁企業が、タンザニア発のステーブルコイン国際送金スタートアップNALAに最大5,000万ドルの融資枠を供与(5/28)

タンザニア発祥の国際送金スタートアップNALAが、三菱UFJ銀行とイスラエルのフィンテック企業Liquidityの合弁会社Mars Growth Capitalを通じ、段階的に最大5,000万ドルとなる融資枠を獲得した。ステーブルコインによる決済で必要となる事前運転資金として活用し、流動性を確保する。NALAは、2024年半ばにシリーズAで4,000万ドルをエクイティ調達しており、その半分超の金額は手元に残しているという。

2017年に設立されたNALAは、新興国と米国や欧州間の越境決済を提供しており、ステーブルコインを活用したインフラ構築を進めている。2024年3月よりステーブルコインインフラとなるB2B決済プラットフォームRafikiを運営し、16カ国にまたがる249銀行と26のモバイルマネーサービスに接続している。Rafikiは立ち上げ18カ月で取引額10億ドルに達し、2026年初頭までに月間取引額は300億ドルを超えたという。過去12カ月で事業規模は5倍、売上高は10倍の成長を示したという。

ステーブルコインの取引額は2025年に33兆ドルを超え、VISAとMastercardの合計を上回ったとされる。企業間取引はそのうち6,080億ドルを占めたと推定されている。NALAは世界的なステーブルコイン決済需要の拡大を取り込むため、決済の速度と現地の支払レール、さらに拡大する規制ライセンス群への対応やインフラ強化を進める。

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