アフリカ自動車産業の現在地:構造変化と日本が直面する競争
今月は自動車に関するニュースが多くありました。トヨタ自動車、日産自動車、いすゞ自動車、スズキといった日本車メーカーはアフリカでどのような存在なのでしょうか。どういった競争環境にあるのでしょうか。2025年のデータをもとにまとめています。

(写真はエジプトを走る日産自動車のサニー、ABP撮影)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
アサヒグループホールディングスが、ケニアのビール製造・蒸溜酒販売East African Breweries(EABL)とUDV Kenyaの英Diageo持分の取得で合意した件を巡り、ケニアのビール流通業者Bia Tosha Distributorsが売却差し止めを求めていた裁判で、ケニア高等裁判所は申し立てを棄却し、買収手続きの凍結命令も解除した。判決により、買収手続きは再開され、2026年後半の完了を見込む。
EABLのディストリビューターだったBia Tosha Distributorsは、EABLおよび関連当事者に対して、契約の打ち切りにより生じた損害として250億ケニアシリング(300億円)を求める訴訟を起こしていた。アサヒグループホールディングスへの売却によりDiageoがケニア市場から撤退すると、2016年から争われているこの訴訟の執行可能性が事実上弱まるとして、取引の差止めを求めていた。これに対しEABLとDiageoは、取引の遂行を止めれば雇用とサプライチェーンの安定性を損ない、ケニアの投資先としての信頼性に影響すると主張していた。
※1ケニアシリング=1.2円(モーニングスター、4/11)
米ドローン配送企業Ziplineが、ペットや家畜向け医薬品、ワクチン、診断薬を手がける米Zoetisと連携し、ケニアの農村部や遠隔地向けに動物用医薬品のドローン配送を開始した。創傷治療薬や家畜の生産衛生向け医薬品を、農村部の診療所、動物保健サービス提供者、農場向けに配送する。
ZiplineはKisumu郡に配送ハブを設置しており、Kericho郡、Nyamira郡、Homa Bay郡でもパイロット事業を開始した。これまでに 1,200人の農家が適切な動物保健慣行の研修を受けたほか、同取り組みでは250人の動物保健サービス提供者が高度研修を受け、その後2,000人超の農家への指導を担う計画である。
今回の取り組みは、2025年6月に始動したケニア農村部の家畜向け保健サービス強化策の一環である。ケニアでは、家畜向けサービスにおいて距離が大きな制約となっており、農村部では動物用医薬品の迅速な供給が難しかった。ドローン配送と現地指導人材の育成を組み合わせることで、まずケニア農村部で家畜向け医薬品の供給体制を実装し、将来的にはサブサハラアフリカ全域への展開も視野に入れる。
ケニアの電気バスBasiGoが、ケニアでコンプリートノックダウン生産を開始した。モンバサの自動車組み立て工場Associated Vehicle Assemblersと提携し、1回の充電で約300キロメートルの距離を走行できる電動バンを組み立てる。
公共バス(マタツ)、学校や従業員、空港の送迎、ホテルシャトルバスなど複数の用途を対象としており、500台超の販売予約があるという。すでにナイロビではマタツ事業者向けに供給しており、全国で数千台の電動バンの販売を目指す。
いすゞ自動車の南アフリカ法人Isuzu Motors South Africa(IMSAf)が、2026年3月期決算において、過去最高の車両生産台数を記録した。ピックアップトラックD-Maxは2万7,400台、Isuzu Truckは3,800台を生産し、あわせて前年比21%の増加となった。中型・大型商用車におけるトップシェアを13年連続で確保した。
2019年にIMSAfは12億ランド(110億円)を投資し、新型D-Maxの生産のための改修を開始した。これにより1,000人の直接雇用が創設された。2025年12月には、南アフリカの自動車パネル製造VSL Manufacturingに投資し、新工場建設を支援した。
※ランド=9.7円(モーニングスター、4/17)
トヨタ自動車のモロッコ子会社Toyota du Marocが、モロッコの電気自動車市場の始動を受け、完全電気自動車bZ4Xを発売し、電気自動車市場に参入した。
価格は52万9,900ディルハム(900万円)からとなっており、信頼性とコネクテッド機能を重視する都市部のビジネス層を主なターゲットに据える。航続距離は最大525キロメートルで、150キロワットの急速充電では約28分でバッテリー容量の10%から80%までの充電が可能である。搭載バッテリーは、トヨタ自動車とパナソニックの合弁会社Prime Planet Energy & Solutions製であり、10年後も容量90%を維持するように設計されている。
モロッコ政府は、電気自動車産業の育成と再生可能エネルギーの拡大を目指しており、すでに電力供給量の約40%が太陽光発電を含む再生可能エネルギーで供給されている。
※1モロッコディルハム=17円(モーニングスター、4/21)
日産自動車がエジプトの生産ライン拡張に4,500万ドルを投資することを発表した。年間生産可能台数を現在の3万台から4万台へと30%引き上げる。
日産自動車は2026年1月に、南アフリカ工場を中国Cheryに売却することで合意している。代わりに、立地と操業コストの低さからアフリカや中東、欧州への輸出可能性が高いと見込むエジプトの生産能力を強化する。輸入の課題を解決するため、部品の半分以上を現地調達する。
同社は既に累計約2億7,600万ドルをエジプトに投資し、過去3年間で2万5,000台以上を輸出している。現在、主要な輸出先市場としてリビアが浮上しており、エジプトは単なる消費市場を超えた輸出ポテンシャルの高い拠点となっている。
深刻な通貨危機から脱却しつつあるエジプト政府にとって、日産自動車による投資の拡大は、高付加価値製品の輸出を通じて貿易赤字を削減しようとする国家的な取り組みを強力に後押しするものとなる。
医療機器メーカーオリンパスが、南アフリカおよび南部アフリカで内視鏡関連製品の販売を開始する。病院および集中治療関連製品の製造・供給を行う現地企業Adcock Ingram Critical Care(AICC)と代理店契約を締結した。
AICCはヨハネスブルグ証券取引所上場企業で、1891年に創業した。医薬品メーカー兼医療用品のサピライヤーで、病院医療、腎臓病治療、輸血療法、輸液システム、高度創傷治療など、幅広い治療分野において不可欠な医療ソリューションを提供してきた。救命製品のリーディング企業であり、製品ポートフォリオには静脈輸液、腎透析システム、血液および血液成分、輸液システム、ストーマケアおよび高度創傷ケア製品が含まれる。
両社は早期発見、正確な診断、低侵襲治療を医療従事者が実行するのを支援し、臨床サポート、研修、教育へのアクセスを強化する。
エチオピアで電動バイクの組み立て販売を行う日系スタートアップDodaiが、800万ドルのエクイティーと500万ドルのデットで構成される1,300万ドル(20億円)のシリーズA資金調達ラウンドを完了した。このラウンドには、英開発金融機関British International Investment(BII)、西濃運輸のCVCであるValue Chain Innovation Fund、IPC(東京大学協創プラットフォーム開発)、化学商社長瀬産業、モーリシャスのPersistent ACV Fund、広告会社フォーシーズンズ、化学商社CBC、ベンチャーキャピタルインクルージョンジャパンが参加した。
Dodaiは2021年に操業し、2023年にエチオピアの首都アディスアベバで事業を開始した。米国に拠点を置く。すでに2,000台の電動バイクを販売し、約100人の従業員を抱える。
これまではバッテリーが内蔵されたバイクを販売していたが、今後は取り外しができるモデルを販売し、バッテリーを交換するためのスタンドの設置を進める。今後12カ月でアディスアベバに30カ所の交換ステーションを構築し、3,000人の利用者を目指す。さらに3年以内には1,000カ所のステーションと30,000人の利用者へ拡大し、その後アビジャンやキンシャサなど他都市に進出する計画である。
