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国別情報 エジプト
大塚製薬があらたに消費者向け製品の製造・販売を開始したエジプト。どのようなビジネスチャンスがある国なのでしょうか。また、エジプトにはほかにどのような日本企業が進出しているのでしょうか
(画像は大塚製薬のエジプトでのポカリスエットとオロナミンCの広告、同社サイトから)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
大塚製薬エジプト子会社Arab Otsuka Nutraceuticalsが、4,000万ドルを投じて栄養製品の製造工場を建設し、エジプト国内外で販売する。エジプト政府がこの投資に対してゴールデンライセンスを付与すると発表した。
大塚製薬は10th of Ramadan Cityの9万5,000平方メートルの敷地に工場を建設する。ゴールデンライセンスは2022年に施行された制度で、政府が重要と指定する産業において投資する企業に対し承認し、官僚的な手続きを簡素化し各省にまたがる承認手続きを一元化する。エジプト政府による追加の承認なしで土地を取得またはリースし事業を運営することも可能となる。2024年3月には、6社による計56億エジプトポンド(170億円)相当の投資に対し付与している。今回は大塚製薬を含め9件の投資プロジェクトに対してゴールデンライセンスを発行した。
※1エジプトポンド=3.1円(モーニングスター、1/7)
AIを活用して鉱物資源の探査を行う米スタートアップKoBold Metalsが、シリーズCラウンドで5億3,700万ドルを調達した。米Durable Capital Partnersと米T. Rowe Price fundsが主導し、三菱商事、ビル・ゲイツ氏やジェフ・ベゾス氏が出資する米Breakthrough Energy Venture、米Andreessen Horowitz Growth、米Bond Capital、資源世界大手のノルウェーEquinor、Standard Investments、Earthshot VC、July Fundといった既存投資家に加え、StepStone GroupやWCM Investment Managementといった新規投資家が投資した。KoBold Metalsの評価額は29億6,000万ドルに達し、累計調達額は10億ドルとなった。
KoBold Metalsは2018年に創業された。AIを用いて膨大な地質データを精査し探査を行う。同社は、探査の後にエネルギー転換に不可欠なリチウム、コバルト、プラチナといった重要鉱物の採掘を目指している。2024年には、アフリカ第2位の銅産出国であるザンビアの銅山で大規模な鉱床を発見した。今回の調達資金は、探査事業をアフリカ全土を含む5大陸へ拡大するとともに、ザンビアの銅鉱床の開発に用いる。
楽天モバイルの子会社である楽天シンフォニーが、ケニアの通信会社Telkom Kenyaおよび米国のOpen RANベンダーAirspan Networksと共同で、ケニアでOpen RANの実証を行うためのMoUを締結した。4Gおよび5Gモバイルネットワークに関する技術移転、サービス開発およびテストを行う。
楽天シンフォニーは、Open RANを構成する無線アクセス装置である集中ユニットおよび分散ユニットに加え、ネットワーク運用システム(OSS)プラットフォームを提供する。Airspanは、4Gおよび5G向けの無線通信装置とモバイルコアネットワークを提供する。Telkom Kenyaは、ケニア現地の基地局およびコアネットワーク設置場所を提供する。
Telkom Kenyaは本取り組みを通じ、技術移転を受け、Open RANテストを活用したネットワークの自動化とAI活用を進める。
豊田通商子会社CFAO Mobility Kenyaが、同社と仏タイヤメーカーミシュランの合弁でタイヤ流通事業を展開するTyre Distribution Africa(Tydia)におけるミシュラン保有分の株式49%を取得し、完全子会社とした。Tydiaは、東アフリカで唯一のミシュランおよびミシュラン傘下のセルビアのタイヤメーカーTiger、米タイヤメーカーBF Goodrichの正規販売代理店として2019年に設立された。CFAO Mobility Kenyaは51%を出資していた。
CFAO Mobility Kenyaはトヨタ自動車、ヤマハ発動機のバイク、フォルクスワーゲン、スズキ、メルセデスベンツ、日野自動車や現代自動車の軽トラック、Sinotrukの販売代理店を務めている。中古車販売事業Automark、自動車メンテナンス事業Autofast、自動車部品販売事業Winpartも展開している。同社にとってタイヤ事業での最大の競合であるAutoXpressは、Goodyearなどのタイヤ、自動車部品、カーアクセサリーの輸入販売事業をケニア、タンザニア、ルワンダ、ウガンダ、ザンビアで展開している。
CFAO Mobility Kenyaは2024年7月、ケニアの自動車組み立て会社Kenya Vehicle Manufacturers(KVM)に10億ケニアシリング(12億円)と推定される金額を投資し、保有株式比率を32.5%から98%に増やす承認を当局から得ている。KVMはケニア政府が35%、CMCが32.5%、CFAOが32.5%を保有していた。今後はトヨタが生産工程を管理する。
※1ケニアシリング=1.2円(モーニングスター、1/22)
丸紅が、モーリシャスに拠点を置き医薬品や医療機器を販売する商社Phillips Healthcare Corporationに出資し、持ち分法適用会社にすると発表した。出資額は開示されていない。
Phillips Healthcare Corporationは2019年に設立され、アフリカ9カ国で、医薬品、医療機器、診断機器を販売している。
モザンビークの新大統領が仏エネルギー大手TotalEnergiesのCEOとの会談を行い、同社のモザンビークにおけるプロジェクトについて協議した。
三井物産やJOGMECをはじめとする日本の企業が投融資や売買契約を締結する200億ドル規模の液化天然ガス(LNG)開発プロジェクトであるMozambique LNGプロジェクトについては、2024年末までに建設を再開し、2029年に天然ガスの採取を開始する予定であったが、現地の治安悪化を理由に2021年から中断している。今回、不可抗力条項がまだ解除されないことを確認し、政府との会談において再開を約束したものの、期限を延期した。
他には、モザンビーク国内消費向けの天然ガス発電プロジェクトを立ち上げる可能性や、TotalEnergiesが仏電力会社EDFおよび住友商事と共同で実施する50億ドル規模の水力発電ダム・発電所の進捗状況について話し合った。水力発電に関してTotalEnergiesは、政府が発電した電力を顧客に届ける送電網を建設しなければプロジェクトを開始できないと述べている。
TOPPANホールディングスが、日本企業向けに画像加工やAIアノテーションといったデジタルアウトソーシングを請け負うルワンダの日系企業JONGOROGOSEIを買収した。中国やアジアに次ぐオフショア拠点としてルワンダを活用する。TOPPANグループはDXの重点事業として、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を推進している。
TOPPANグループではTOPPANデジタルが、農村におけるスマートビレッジ事業の展開を目指して、ルワンダとタンザニアで農園事業を行うシンガポールのOSTIと資本業務提携を締結している。