
アフリカ54カ国の貿易相手国と日本との貿易関係(2021年/2022年版)
2021年のアフリカの貿易相手国と、2023年の日本とアフリカの貿易関係についてまとめています。当ページの1つ前のデータとなります
中国は最大の輸入相手国。日本はアフリカからの農産物輸入が増加
アフリカの全54カ国にとって、貿易関係が強い相手国はどの国でしょうか。最新の2023年のデータを使って、輸出額と輸入額で上位3位となる相手国をまとめました。なお、同じ情報を、2017年、2019年、2021年にもまとめています。
さらに、日本とアフリカの貿易関係について、2024年の最新データをまとめています。日本はアフリカから1.4兆円を輸入し、1.3兆円を輸出しました。何を輸入し、何を輸出しているのでしょうか。
アフリカ最大の輸入相手国は、中国です。2021年に続き中国を最大の輸入相手国とするアフリカの国は多く、54カ国中34カ国となりました。
中国の強みは、資源やインフラといった政府がらみの大型プロジェクトのみならず、機械や化学品といった現地企業向けの製品や、農産物や家電、携帯、家具、日用品といった人々の生活に密着した製品まで、あらゆるものを輸出していることです。
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中国が最大輸入国でないのは、欧州との加工貿易のために部品などを輸入していたり、地理的な近さから様々なものが流入するチュニジア、モロッコと、アフリカ最大の工業国である南アフリカから物資が流入する南アフリカ経済圏といっていい南部アフリカの国、そして内陸国のみです。内陸国は港がある近隣の国を通過して輸入を行うためです。
なお、中国を最大の輸入相手とするのは日本も同じです。アフリカに限らない現象であることにも留意が必要です。
アフリカといえば旧宗主国の影響が強いと思われがちですが、貿易では存在感は高くはありません。アフリカの国のうち、とくに資源国において、最大の輸出相手国となっているのはUAEと中国です。
中国には主として原油を、UAEには金を輸出しています。UAEは近年、アフリカの国々との関係性を強めています。
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UAE、中国、インド、サウジアラビアと、いわゆるグローバルサウスの国々が輸出の相手国として上位に並びます。
欧州へ輸出が多いのは、地理的に近い国々です。モロッコは自動車、チュニジアはワイヤーハーネスを国内で生産し、欧州に輸出しています。スイスに関しては金が輸出されています。
インドと関係が深いのは、インド洋に面した東アフリカの国々です。資源の他、コーヒーやナッツなどの農産物が輸出されています。
米国を最大輸出国とするナイジェリアは、原油を輸出しています。マダガスカルとエチオピアは、米国市場向けに衣料を生産しています。アフリカの多くの国が米国との間で締結しているAGOA(アフリカ成長機会法)という特恵関税を活用して、ファストファッション向け衣料やジーンズ、ユニフォームを輸出しています。
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2カ月前に成立したトランプ政権は、関税を課すことで自国有利な貿易を実現しようとしています。しかしアフリカにおいては、米国を最大輸出・輸入相手国とする国は多くはなく、影響は限定的となると予想されます。
エチオピア、マダガスカル、そしてケニアやエスワティニなど、前述の特恵関税を活用して米国向けの縫製産業が成立している国では、廃止されれば影響を受けます。また、最大輸出国ではないものの、南アフリカは米国向けに自動車触媒用のプラチナや完成自動車を輸出しており、産業への影響はあるでしょう。とくに南アフリカはトランプ政権から目の敵にされているため、今後も貿易交渉を用いた攻撃が行われる可能性があります。
ただそうなると、南アフリカをはじめとするアフリカの国々は代替となる貿易相手国を探すことになり、中国や中東諸国らのグローバルサウスの国々の重要性がより増すことになるでしょう。前述どおり中国はアフリカの最大輸入相手国ですが、アフリカに輸出するだけでなく、アフリカからの輸出量を増やす政策も行っています。たとえば、アフリカ54カ国中33カ国に対して、99%の品目で関税を免除しています。アフリカからの農産物の輸入にも積極的で、検疫条件の緩和や受け入れ施設の設置などの対応を行っています。トランプ政権とは逆の動きをしています。
日本は、中国のアフリカからの輸入多様化・積極化により、たとえばこれまで日本がトップだった南アフリカからのルイボスティーの輸入量で中国が急上昇したり、アボカド輸出先として中国に先んじられるなど、アフリカからの輸入を巡る競争が生じています。
アフリカ54カ国それぞれについて、上位3位までの輸入・輸出品目と輸入・輸出相手国については、アフリカ国別情報で紹介しています。より詳しい情報としてご活用ください。
アフリカ国別情報はこちらからこう見てみると、アフリカの国々の貿易相手は、内陸国を除いては、アフリカ大陸以外の国が中心であることがわかります。いいかえると、アフリカの付加価値はアフリカ大陸外へと流出しており、輸入を行うために外貨が流出しているといえます。
この状況を変えるべく、アフリカ自由貿易圏(AfCFTA)協定という、域内FTAが2021年から運用を開始しており、アフリカの国同士の貿易を活発化させようとしています。
AfCFTAについての説明は、こちらからご覧いただければと思いますが、2025年現在、少しずつ実際の貿易が開始されており、アフリカ同士の2国間でAfCFTAを用いた輸出・輸入が行われています。現時点では貿易量はまだ少なく、農産物やその加工品(紅茶、はちみつなど)が大半で、インフラの課題から陸路というより東アフリカと西アフリカの間といったような海路での貿易が中心となっています。
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AfCFTAで行われた貿易や進捗については、随時、週刊アフリカビジネスでご紹介しています。
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日本がアフリカから輸入しているもっとも金額の大きい品目は、南アフリカから輸入している自動車触媒や産業用に用いられるプラチナです。これと石油・石炭と鉱物資源で、輸入額の60%を占めます。
2022年と比べると、ゴマや魚介類、カカオといった農林水産品の割合が増えており、とくにゴマとカカオは輸入額も大きく増えています。世界中で需要の増大に供給が追いついておらず価格が高騰していることも影響していると思われます。日本はごま油用のごまをナイジェリアやタンザニア、モザンビーク、エチオピアから、たこ焼きなどに使われるたこやまぐろ、いか、エビやカニ、海藻といった魚介類をモロッコやモーリタニア、チュニジアから、カカオをガーナから、グレープフルーツやいちご、果汁などの果物を南アフリカやエジプトから輸入しています。日本の食卓でも知らぬうちに、アフリカからの農産物が食されています。
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日本がアフリカに輸出している品目としては、中古車や自動車部品がもっとも金額が大きいです。南アフリカには日本の自動車メーカーの工場が多くあるためそこへの輸出品があり、ケニアやエジプト、タンザニアといった日本から近い東側に港を持ち右ハンドルの国には中古車が輸出されています。
次いで、現地の製造業企業向けに機械や機器、鉄鋼原料、化学原料などが輸出されており、これらが上位の輸出品目となっています。合成繊維は、アフリカの女性が使うヘアエクステンション製品の原材料として、現地工場向けに輸出されています。医療機器や産業用プリンタも日本からの輸出品として割合を占めています。
日本とアフリカ間の貿易データの詳細分析や、アフリカ各国の輸出・輸入品目や貿易相手国をまとめたデータベースをご用意しています(有料)。また、貿易関連に関するお尋ねやお問い合わせにも応じております。こちらからお問い合わせください。
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