- アフリカのビジネス環境
アフリカにおける日本企業の動き(2023年3月)
(写真はマダガスカルの街並み、 ABP撮影)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
- アフリカにおける日本企業の進出事例の一覧は、「日本企業のアフリカ進出動向と事例」からご覧ください。
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【 マダガスカル】 三井物産が出資する大手農業商社Export Trading Groupが、 マダガスカルで肥料ブレンド工場設へ( 3 / 1)
ドバイに本拠を置きアフリカを中心に事業を行う農業商社Export Trading Group( ETG) が、 マダガスカル政府との官民パートナーシップの下、 Atsinanana地域に5月末までに肥料ブレンド工場を開設する。 日量50~ 100 トンのNPK肥料を製造する予定で、 そのうち80 % 以上をマダガスカル政府が買取、 最大10 % の補助率で国内の農家に販売する。 残りの肥料は最も脆弱な零細農家に寄付する。
この一連の取り組みは、 特に肥料へのアクセスを改善し利用を促進することで、 農業の生産性を高めることを目的としている。 2020 年時点でのマダガスカルにおける化学肥料の使用量は1ヘクタールあたり8 .8 kgであり、 アフリカ全体の平均26 .4 kgに対し3分の1に留まっている。 マダガスカルでは、 農業部門はGDPの24 % 、雇用の60 % 以上を占めている。
【 ケニア】 いすゞ自動車のケニア子会社Isuzu East Africaがアフターサービス施設をナイロビに新設( 3 / 3)
いすゞ自動車のケニア子会社Isuzu East Africaが、 ケニアにアフターサービス施設を開設した。 投資額は3, 500 万ケニアシリング( 3, 500 万円) で、 同社がケニアで販売しているトラックやバスなどの商用車両へアフターサービスを提供し、 1 万種類となる車両の部品を取り揃える。 待ち時間を短縮し、 ディーラーの顧客サービスをサポートすることで、 顧客基盤を拡大する。
最新の車両サービスや診断機器を取り揃える。 車両のメンテナンスは予め作成されたスケジュールに沿って行われ、 2 時間以内に完了する。 車両の状態を診断するレポートを自動で作成して、 走行環境や個人の運転スタイルに基づく適切なメンテナンス時期のアドバイスや、 燃費を向上させる方法、 ブレーキ関連部品などの消耗品の持ちを良くするためのヒントも提供する。
車両の不具合を診断するための独自の機器が幅広く備わっており、 高性能のコモンレールシステムを搭載した最新のいすゞ車のトラブルシューティングや整備にも対応できる。 モバイルサービスやフィールドエンジニアへのアクセスも提供する。 併設の研修センターでは研修中の整備士がスキルアップに取り組む。 タンザニアやウガンダ向けの販売拠点としても活用する。※ 1 ケニアシリング= 1.0 円( モーニングスター、 3 / 7)
【 エジプト】 豊田通商らのコンソーシアムがエジプトで建設する500メガワットの風力発電所に関して三井住友銀行などから計5億100万ドルの融資を確保( 3 / 6)
豊田通商が出資するエジプトの風力発電会社Red Sea Wind Energyが、 複数の金融機関から計5億100万ドルの融資を確保した。 このうち2億4, 000 万ドルは国際協力銀行( JBIC) が提供し、 残額は三井住友銀行、 農林中央金庫、 欧州復興開発銀行( EBRD)、 仏Société Généraleが提供する。 商業銀行らによる融資には日本貿易保険( NEXI) が保証を提供する。
Red Sea Wind Energyは、 豊田通商とその子会社で風力発電事業などを展開するユーラスエナジー、 仏エネルギー大手Engie、 エジプトのエンジニアリング会社Orascom Constructionが出資するコンソーシアムである。 融資は、 独立系発電事業者( IPP) として、 エジプトのスエズ湾沿いに建設予定の500メガワットの風力発電所の建設、 所有、 運営を行うために用いる。
同コンソーシアムがエジプトで風力発電所建設を行うのは今回が2回目となる。 2023 年3月に建設を開始し、 2025 年8月に商業運転を開始して、 その後25年間に渡って運営する。 発電した電力はエジプト送電公社( Egyptian Electricity Transmission Company) に販売する。 本プロジェクトの総事業費は約6億ドルとなる。
エジプト政府は、 2030 年までに同国の総発電容量のうち35 % を再生可能エネルギーから調達するという目標を掲げている。
【 アフリカ全般】 豊田通商が中古車オンライン輸出のカーペイディーエムを子会社化( 3 / 9)
豊田通商が、 アフリカ向けを中心に中古車のオンライン輸出を行う日本企業、 カーペイディーエムの株式を追加取得し子会社化した。 両社は2020年に資本業務提携を行っている。 豊田通商がアフリカ各国に持つ自動車整備拠点問との相乗効果を見込む。
カーペイディーエムは2009年設立。 売上高は2022年3月期で56億円となる。
【 ケニア】 東芝がケニアで企業向けのデータストレージサービスの提供を開始( 3 / 9)
東芝がケニアで、 同社のエンタプライズ向けデータストレージサービスBuild Your Own Data Centre( BYODC) の提供を開始した。 企業向けに、 オンプレミスのストレージを用途やニーズに合わせて構築する。 東芝が持つサーバとソフトウエア、 360 製品に上る様々なストレージ製品を組み合わせる。
需要に応じてストレージ容量の拡張ができる。 既存製品のストレージ容量は最大20テラバイトであるが、 機器の内部にヘリウムを充填する新技術により2026年までに40テラバイトまで拡張する見込みである。 東芝製品の販売代理店であるドバイのMitsumi Groupが販売を担い、 顧客独自のデータセンターの構築のために様々な技術や製品をどう活用し統合するか、 東芝がトレーニングを実施する。
Mitsumi Groupによると、 今後2~ 3 年で地域におけるストレージ市場は20億ドルに達する見込みであるという。 金融や物流、 eコマースといった企業を顧客として想定している。 ケニア政府は最近、 企業や個人の情報を守るためのデータ保護法を制定した。
【 南アフリカ】 トヨタ自動車が南アフリカで2年以内にレクサスの電気自動車を発売へ( 3 / 20)
トヨタ自動車は、 南アフリカにおいてレクサスの電気自動車2車種の販売を2年以内に開始する。 トヨタ自動車が南アフリカで電気自動車を本格的に発売するのは初めてとなる。 現在試験的に販売しているUX 300 eがおそらく最初の販売車種となり、 第二弾として2024年にRZ 450 eを発売する。 南アフリカではすでに、 アウディ、 ジャガー、 メルセデスベンツ、 BMWらが電気自動車を販売している。
RZ 450 eはレクサス初の電気自動車専用モデルで、 サイズはレクサスの大型RXと中型NXの中間である。 バッテリーは96個のセルで構成され、 総容量は71 .4 キロワットアワーとなり、 路面との接触や衝突から保護するため密閉式の頑丈な容器に入っている。 走行開始から10年経過してもバッテリーの性能は70~ 90 % が保たれるという。 RZシリーズの航続距離は、 20 インチホイールだと約395キロメートルで、 18 インチホイールだとさらに約40キロメートル長くなる。
トヨタ自動車は全世界市場において、 2030 年までにレクサスの全カテゴリーに電気自動車のフルラインナップを投入し、 2035 年までに全車種を電気自動車に入れ替える計画を発表している。
【 南アフリカ、 モザンビーク】 産業用ポンプメーカー日機装のグループ会社Nikkiso Clean Energy & Industrial Gases Groupが、 南アフリカにエンジニアリング拠点を開設。 モザンビークでの天然ガス開発や南アのLNGの輸送に機器を供給へ( 3 / 22)
産業用ポンプメーカー日機装の米国子会社Cryogenic Industriesの傘下であるNikkiso Clean Energy & Industrial Gases Groupが、 南アフリカのKwaZulu - Natal州に販売、 エンジニアリング、 サービスを行う拠点を開設した。 同社の液化天然ガス( LNG) 移送用ポンプなどの機器や設備を、 モザンビーク沖での天然ガス生産開発や、 南アフリカで予定されているLNG仮想パイプラインの開発に対して供給する。 空気分離装置の導入支援に特化したチームも設置する。
電力危機が続く南アフリカでは、 発電の燃料として使うLNGを確保するための取り組みとして、 KwaZulu - Natal州の港湾都市Richards BayにLNG受入基地を建設し、 2024 年の操業することを目指している。 基地へと輸入されたLNGは、 南アフリカ国営の貨物鉄道輸送会社Transnetの既存の鉄道路線を用いる仮想パイプラインの方法にて国内の都市間で輸送する予定である。
Cryogenic Industriesは日機装の米国子会社で、 超低温環境でガスを扱うためのポンプなどの機器の製造・ 販売に加え、 産業用ガス、 LNG、 液体水素の処理や廃熱回収を行うための有機ランキンサイクル( ORC) 技術を用いたプラントを供給している。 アフリカでの事業拡大に向け、 今後南アフリカでポンプやターボエキスパンダーに特化したサービスセンターを建設することも計画している。
【 ザンビア】 三井物産が出資先のドバイの農業商社ETGと共同して、 ザンビア産のトレーサブルコットンをサザビーリーグのブランドRon Hermanに供給( 3 / 23)
三井物産が出資先のドバイの農業商社ETC Group( ETG) と共同して、 ザンビア産のコットンをサザビーリーグのブランドRon Hermanの2023年春夏シーズンの一部商品向けに供給した。 同社が構築したトレーサビリティープラットフォームを通じてサプライチェーンを追跡することができる。 Tシャツやスウェットパンツなど全6種類が発売された。
ETGが持つ8万の農家ネットワークを活かし、 綿花の買い取り工程をデジタル化した。 これにより、 農家一軒一軒の生産契約や種子の農薬使用率、 農法、 収穫量、 その後の加工経路などの情報をブロックチェーン上で管理でき、 購入者の手元に最終製品が届くまでを追跡できる。 商品金額の一部は肥料や太陽光発電ライトの提供といった支援に還元する。 購入者は商品タグのQRコードから、 生産した農家の暮らしなどを知ることができ、 支援の内容の選択もできる。
2021 年に約1, 000 軒の農家を対象にデジタル化とデータ蓄積を開始し、 2022 年には8, 000 軒に対象農家を広げた。 取り扱うコットンはすべて、 サブサハラアフリカの小規模綿花農家に対するサステナビリティーを認証するCmiA( Cotton made in Africa) 認証を取得している。
三井物産は今後、 国内外の他のアパレルにも参加を呼びかけるとともに、 ETGが扱う綿花以外のカカオやコーヒーなどにも取り入れることを計画している。
【 ケニア】 ケニアのヘルスケアスタートアップTIBU Healthが、 豊田通商のCVCであるHealth54率いるプレシリーズAラウンドで資金調達( 3 / 24)
ケニアのヘルスケアスタートアップTIBU Healthが、 プレシリーズAラウンドでの資金調達を行った。 豊田通商子会社CFAO Groupのヘルスケア分野に特化したCVCであるHealth54がリードインベスターを務め、 Boost VC、 Google、 Founders Factory Africaが投資した。 今回のラウンドでの調達金額は非公開だが、 シードラウンドに続いて目標額を上回り、 50 % のオーバーサブスクライブとなった。
TIBU Healthは2018年にケニアで設立された。 医師による往診を頼める在宅診療サービスから事業を開始し、 後にオンラインでの診療サービスも立ち上げ、 2022 年以降のコロナ渦ではPCR検査にも取り組み、 オンラインと自宅、 同社の物理的なウエルネスハブの3つを結んでヘルスケアサービスを提供する体制を構築した。 患者向けのB2Cサービスのみならず、 法人顧客向けに同社のプログラムの提供も行っており、 前月比20 % の増加を見せている。
今回の調達資金を用いて、 慢性疾患プログラムを開発するし、 オンライン診療プラットフォームへの投資とウエルネスハブの増設、 法人営業チームの拡大を行う。 TIBUは、 CFAO Groupを投資家に迎えたことで、 CFAO Groupがヘルスケア事業を営む40以上の国や提携先、 子会社を通じて事業を拡大できると期待している。