アフリカにおける日本企業の動き(2022年7月)

アフリカにおける日本企業の動き(2022年7月)

(写真は豊田通商が運営するコートジボワールのカルフール、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【カメルーン】豊田通商の子会社CFAO Consumer Retailが、カメルーンに中部アフリカ最大のショッピングモールを開設。建設費用は3,810万ユーロ(7/6)

豊田通商子会社CFAO Consumer Retailが、カメルーンの首都ヤウンデに中部アフリカ最大となるショッピングモールPlaYce Yaoundéを開設した。

建設費用は3,810万ユーロで、土地面積は3万5,000平方メートル、そのうち商業施設面積は1万2,000平方メートルとなる。すでに46店舗が入居を決定しており、入居率は94%に達し、年間400万人の訪問者を予想している。CFAO Consumer Retailが扱うJules、Lacoste、La Grande Récréがカメルーン初の出店となる他、 CFAO Consumer Retailがフランチャイジーである仏スーパーマーケットチェーンCarrefourでは、売り場面積4,000平方メートルとなるCarrefour Hypermarketも入居した。

カメルーンにおいては2020年末に英投資ファンドActisが所有するショッピングモールDouala Grand MallにCarrefour Marketを開店するなど、すでに合計3店舗のCarrefour店舗を出店しているが、ハイパーマーケットは初となる。

CFAOは、カメルーン、コンゴ共和国、コートジボワール、ガボン、ガーナ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、セネガルでPlaYceブランドのショッピングモールを開設する計画であったが、2015年にコートジボワールに初めて開設の後さらに1カ所を追加し、今回のカメルーンでの開設により2カ国で3つのモールを開設するに留まっている。今回開設したモールは当初2021年末に開設する予定だった。

【ケニア】豊田通商傘下CFAO Kenyaが、工業向け太陽光発電EPC事業を展開するケニアのOFGENの株式35%を取得(7/7)

豊田通商傘下CFAO Kenyaが、東アフリカで商業および工業向けに太陽光発電のEPC事業を展開するケニアのOFGENの株式35%を取得した。豊田通商は炭素クレジットを獲得するため、太陽光発電事業をはじめとするグリーンエネルギー事業への投資を活発化している。今回の出資を経てOFGENは東アフリカ以外のアフリカ市場へ進出する。

OFGENは2014年に設立され、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、南スーダンといった東アフリカ中心に、オングリッドとオフグリッド含めて発電容量10 MWp以上の太陽光発電システムと蓄電容量9.3MWhのバッテリーを30カ所以上に設置、資金提供してきた。顧客には、ケニアの紅茶農園Williamson Tea Estate、製薬世界大手の英グラクソ・スミスクライン、ケニアのホテルチェーンSerena Group of Hotels、トヨタ自動車、英たばこメーカーBritish American Tobaccoなどがある。最近では顧客が太陽光発電システムを導入するための資金調達支援も開始した。

ケニア政府は産業政策に製造業の競争力強化を掲げている。ケニアは再生エネルギーによる発電はなされているものの、送電と配電のロスにより電力コストは高く、製造業の競争力向上を妨げる要因となっている。OFGENは工業用の設備に太陽光発電システムを設置することでこの問題の解決を目指している。

CFAO KenyaとOFGENは2018年以来、ケニアとウガンダにあるCFAOの事業所に6基の太陽光発電システムを設置してきた。2024年までに東アフリカおよび南部アフリカの10カ国以上に所在するCFAOの残り全ての事業所に太陽光発電システムを設置し、事業活動によって排出される二酸化炭素量を年間1,000トン以上削減することを目指している。CFAO Groupは、2030年までに排出量を50%削減するという目標を掲げている。

【コートジボワール】豊田通商子会社で仏スーパーマーケットチェーンCarrefourのフランチャージーであるCFAO Consumer Retailが、コートジボワールの仏ディスカウントチェーンLeader Price5店舗を買収(7/12)

コートジボワールで仏スーパーマーケットチェーンCarrefourのフランチャイズ運営を行う豊田通商子会社CFAO Consumer Retailが、仏ディスカウントストアチェーンLeader Priceのアビジャンにおける5店舗を買収した。売り場面積にして4,000平方メートル以上の追加となる。

コートジボワールにおけるLeader Priceの運営は、2019年以来仏流通Bernard Hayot Group(GBH)がフランチャイジーとして行ってきた。CFAO Consumer Retailは、PlaYceブランドで2つのショッピングモールを運営する他、Carrefour Hypermarketを1店舗、Carrefour Market Supermarketを4店舗、Supecoブランドのディスカウントスーパー3店舗の計8店舗のスーパーマーケットを運営しており、今回のLeader Priceの5店舗の取得により店舗数は合計13となる。さらに現在、新たに3店舗のスーパーマーケットを建設しており、店舗数は16まで拡大される。

CFAO Consumer Retailはあわせて、カメルーンで3つ目となるPlaYceブランドのショッピングモールをヤウンデに開設した。商業施設面積は1万7,000平方メートル近くあり、50店舗が入居できる。4,000平方メートルの売場面積を備えたCarrefourのハイパーマーケットも入居している。

【ケニア】三菱自動車がケニアで小型商用車の組み立て生産を開始(7/13)

三菱自動車がケニアで小型商用車の組み立て生産を開始する。アフリカでの現地生産は、2011年度に南アフリカから撤退して以来約10年ぶりとなる。

組み立て生産を行うのはピックアップトラックL200で、タイ工場から輸入した部品を、モンバサに所在する受託生産会社Associated Vehicle Assemblers (AVA)で組み立てる。まずは年間200台規模から開始する。AVAを所有する自動車ディーラーSimba Corpによると、AVAにおける車両生産台数は過去3年で2,000台から7,500台に増加しているという。

三菱自動車の2021年におけるアフリカでの自動車販売台数は2万1,000台で、そのうち6割が今回組み立てを開始するのと同型の小型商用車で、タイから完成車として輸入されている。

【アフリカ全般】九州電力グループのキューデン・インターナショナルが、アフリカの再生可能エネルギースタートアップに投資するPersistent Energy Capitalに出資しアフリカ進出(7/13)

九州電力グループのキューデン・インターナショナルが、アフリカで再生可能エネルギー・気候変動関連事業を営むスタートアップに投資する米Persistent Energy Capitalに出資した。九州電力グループ初のアフリカへの事業参画となる。

Persistent Energy Capitalが1,000万ドルを調達したシリーズCラウンドで、英開発機関Financial Sector Deepening(FSD)のアフリカ投資ファンドFSD Africa Investmentsと共同でリードインベスターを務めた。他にはBK Ventures BVやDPI Energy Venturesを含む既存投資家や新規投資家として日本人を含む6名の個人投資家が投資した。

Persistent Energy Capitalは、米国に本拠地、ケニア、スイスに拠点を置いている。主にアフリカで再生可能エネルギー関連の事業を行うシード段階からアーリーグロースステージにあるスタートアップへの投資を行っている。これまでサブサハラアフリカ17カ国の20社に投資しており、2社はエグジットし投資回収を成功させた実績がある。

具体的な投資先としては、南部アフリカのSolar Works、セネガルのOolu、英Bboxx、カメルーンのupOwa、コンゴ民主共和国のAltech、パキスタンのEcoEnergyといった家庭用太陽光発電キットの割賦販売を行う企業や、ナイジェリアのRensource、インドと南アフリカで事業を行うCandiといった産業用太陽光発電システム導入を提供する企業、ガーナのSolar Taxi、ケニアのEcobodaaやAsoboといった電気自動車・電動バイクスタートアップ、南アフリカで太陽光発電システムのサービスプロバイダーと顧客を繋ぐプラットフォームHohm Energyなどがいる。

【コートジボワール】コートジボワール政府が計画している全国6病院の建設に、三菱UFJフィナンシャル・グループを主幹事とする2億9,300万ユーロのシンジケートローンが組成されると報道される(7/13)

コートジボワール政府は全国に6つの病院を建設するために2億9,300万ユーロの融資調達を計画しており、三菱UFJフィナンシャル・グループを主幹事行とするシンジケートローンが組成されるという。関係者が語った。コートジボワール政府および三菱UFJフィナンシャル・グループはコメントを控えた。

世界最大のカカオ生産国であるコートジボワールは世界で最も貧しい国の1つであり、国連開発計画(UNDP)が発表している人間開発指数は世界189カ国中162位となっている。ウクライナ危機の影響で経済状況は悪化しており、国際通貨基金(IMF)はコートジボワールの2022年の経済成長率につき、予測を当初の7%から6%へと下方修正している。

【ケニア】丸紅が受注し富士電機が蒸気タービンを供給したオルカリアI地熱発電所6号機が稼働開始(7/18)

ケニア発電公社Kenya Electricity Generating Company(KenGen)が、ケニアのナイバシャに位置するオルカリアI地熱発電所の6号機の稼働を発表した。この6号機の建設は丸紅が請負い、蒸気タービンは富士電機が供給した。

6号機の発電設備容量は83.3 Mweで、全量がケニア配電公社Kenya Powerの電力網に供給される。6号機の稼働により、ケニアの地熱発電能力は世界8位から6位となる。KenGenの地熱発電量は796Mweとなり、発電容量に占める地熱の割合は39%から42%に上昇する。ケニア全体の発電容量は現在2,819MW。

【ナイジェリア】ナイジェリアで車両リースを行うヤマハ発動機の子会社Moto Business Service Nigeriaが、配車サービスのドライバー向け車両融資を提供するMAXと提携(7/21)

ヤマハ発動機のナイジェリア子会社Moto Business Service Nigeria(MBSN)が、ナイジェリアで配車サービスのドライバー向け車両融資を提供するMetro Africa Xpress(MAX)と提携した。

MAXが配車ドライバー向けにサブスクリプションにて提供するための車両として、今後2年間で5万台以上をリースする。電動を含む二輪、三輪、四輪車両を対象とする。MAXはこの提携により事業展開スピードを早め、2023年末までにアフリカ全体で10万人のドライバーにサービスを提供するという目標の達成を目指す。

Moto Business Service Nigeriaは2021年3月、ヤマハ発動機とヤマハ発動機ビズパートナーを株主として、配車サービスなどを行うモビリティーサービス企業向けに車両リースと保守を提供する企業として設立された。ドライバーに直接融資するのではなく、モビリティーサービス企業向けにオペレーティングリースを提供する。ヤマハ発動機は世界6カ国でMBSNと同じビジネスモデルの事業を展開している。今後もナイジェリアやアフリカにおいて、より多くのモビリティーサービス企業との協業に取り組む。

MAXは2015年に設立された。ナイジェリア、ガーナ、カメルーンで配車サービスのドライバー向けに定額制のサブスクリプションにより車両を提供している。ドライバーが選択すれば支払い完了後に車両を保有することができる。MAX独自のクレジットスコアリングシステムにより、銀行での取引履歴がないドライバーにも融資が提供でき、自動車保険、健康保険、免許の更新サポートも提供している。

【ケニア】荏原製作所がケニアに支店を設立(7/28)

荏原製作所のグループ会社Ebara Pumps Europeがケニアに支店を設立した。東アフリカ地域において標準ポンプや灌漑設備の販売を行う。

【ケニア】自動車部品メーカー武蔵精密工業が、ケニアで電動二輪組み立てを行うARC Rideに出資(7/28)

英国に本拠を置くケニアの電動二輪メーカーARC Rideが、武蔵精密工業とWatu creditから出資を得た。

ARC Rideは2020年に設立され、電動二輪や三輪の組み立て販売と、バッテリー交換所の設置を行っている。武蔵精密工業はデファレンシャルギアなどを製造する自動車部品メーカーで、同社が開発した電動二輪車用ギアボックス一体型モーターユニットを設置したスクーターをARC Rideに納入している。今回の出資を経て、二輪車のみならず個人用や商用の電動輸送車の開発を行いARC Rideの商品ラインアップを増やす。部品開発やデータビジネスの共同開発も行う。

同じく出資を行ったWatu creditは、二輪車向けにアセットファイナンスを提供するケニア企業で、バイクタクシーや配車バイクの運転手に対して融資を提供している。これまでアフリカ6カ国で37万件以上の融資を行った実績がある。

【ケニア】中古車輸出を行うワールドナビが、ケニアの銀行Family Bankと輸入中古車向け融資を提供するため提携(7/27)

中古車輸出を行う日本のワールドナビがケニアの銀行Family Bankと提携した。ワールドナビのプラットフォームを通じて中古車を輸入するケニアの顧客は、車両価格の最大80%と関税の100%について融資を受けることができるようになる。

返済期間は48カ月で、個人、自動車ディーラー、中小企業といった買い手が、日本、タイ、シンガポール、南アフリカからケニアに輸入する中古車が対象。90日間の品質保証、エンジン、トランスミッション、走行距離の保証や無事故証明の取得、輸送状況のトラッキング、車両到着時の包括的保険もあわせて提供される。

ケニア国家統計局によれば、ケニアで購入される自動車のうち中古車が85%を占めており、年間9万台程度の中古車が輸入されている。中古輸入車のうち約80%が日本からの輸入で、他には英国、UAE、シンガポール、南アフリカから輸入されている。

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