アフリカにおける日本企業の動き(2021年6月)

アフリカにおける日本企業の動き(2021年6月)

(写真はガーナの豊田通商工場、同社プレスリリースより)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【トーゴ】豊田通商傘下の仏CFAO Technologiesがトーゴ初のデータセンターを建設、操業が開始(6/3)

トーゴ初のデータセンターが操業を開始する。豊田通商傘下のCFAOの子会社で、ICTを専門とする、仏CFAO Technologiesと、データセンターの設計と建設に特化したコンサルティングおよびエンジニアリング大手の仏APL Franceが建設した。

このデータセンターの建設期間は2年半で、企業のサーバー、ネットワーク、ストレージ機器を安全に保管できるようなティア3レベルの施設となる。中立的なコロケーションや機密データのホスティングに用いられる。

同データセンターには、世界銀行が122 億CFA(24億円)を融資している。2021年5月には国際開発協会 (IDA)から1,100万ドルの追加融資を承認した。

※1 CFA=0.2円(モーニングスター、6/4)

【南アフリカ】豊田通商の投資先である南アフリカ発モビリティスタートアップWhereIsMyTransportが、シリーズAラウンドで1,450万ドルを追加調達、SBIインベストメントも参加(6/7)

南アフリカ発のモビリティスタートアップWhereIsMyTransportが、シリーズAラウンドを1,450万ドルに拡大した。同国の投資会社NaspersとCathay AfricInvest Innovation Fundが主導し、SBIインベストメントも参加した。WhereIsMyTransportは2020年に、Google、Nedbank、豊田通商やベンチャーャピタルらからシリーズAラウンドで750万ドルを調達しており、今回は同ラウンドへの追加調達となる。

2015年に設立されたWhereIsMyTransportは、フォーマルおよびインフォーマルな公共交通ネットワークの地図マッピングを行っている。すでにアフリカの34都市のマッピングを終え、インド、東南アジア、中南米の都市でもマッピングを進めている。取得したデータは公的機関や民間企業にもライセンスを通じて提供され、調査や分析、製品開発に使われている。ヨハネスブルグの通勤鉄道GautrainやTransport for Cape Town、Google、世界銀行、WSPらが顧客となっている。

今回のラウンドに参加したNasperがモビリティに投資するのは初めて。Nasperによると、同社が積極的に投資している食品・eコマースビジネスはモビリティに頼る部分が大きくシナジーがあるという。

【アフリカ全般】豊田通商が出資するドローン医療品配送スタートアップ米Ziplineが2億5,000万ドルを調達し企業価値27億5,000万ドルに。アフリカでのサービス拡大へ(6/30)

ドローンを使った医療品配送を行う米国のスタートアップZiplineが2億5,000万ドルを調達した。Baillie Giffordが主導し、既存投資家からはTemasekやKatalyst Ventures、新規投資家はFidelity、Intercorp、Emerging Capital Partners、Reinvest Capitalが参加した。今回のラウンドにより、同社の評価額は27億5,000万ドルに押し上げられた。

Ziplineは2014年に設立され、ドローンの設計と製造、ロジスティクス管理や離着陸ソフトウェアの開発まで、ドローン配送に関わるプロセスの垂直統合を行っている。最初にルワンダ、次にガーナにて、自律飛行型ドローンを使って血液、ワクチン、救命救急に用いる医薬品、その他医療用品の配送を開始した。

Ziplineは、ルワンダ事業の1年目である2016年こそ苦労したものの、それ以降はルワンダの物流会社UPSや豊田通商と提携を結んだ。ナイジェリアのKaduna州およびCross River州との協力も開始した。また米国では、ノースカロライナ州で医療機器と個人用防護具を配送するためにNovant Healthと提携したり、小売大手Walmartと提携してヘルスケア商品の配送も行っている。コロナ禍でZiplineの事業機会は拡大しており、2021年末までに240万回分のコロナワクチンを配送することを計画している。他にも、処方薬などを患者の自宅に届けるサービスも検討している。

同社は現在、コロナ禍の緊急特別措置として米連邦航空局(FAA)から運用を許可されているが、恒常的な商用利用における運航許可の取得に移行しようとしている。飛行の安全性を証明する何千時間もの飛行データを持つため、許可取得は競合他社に比べて優位に進められる可能性があり、取得できれば運航許可を保有する最初のドローン配送会社の1つとなる。

Ziplineはヘルスケア領域の配送に焦点を合わせており、過去数カ月間にナイジェリアで5つ、ガーナで4つの新たな配送センターとサービス契約を結んだ。米国ではいくつかの病院と複数の新たなサービス契約を締結したという。今回の調達資金は、これらの新規契約に伴うインフラ構築に投じられる。

【ガーナ】豊田通商がガーナで自動車組み立てを開始、トヨタハイラックスから開始し、2022年にはスズキ小型車スイフトを生産へ(6/30)

豊田通商は、ガーナに設立したTOYOTA TSUSHO Manufacturing Ghana co. limited(TTMG)で車両組み立て生産を開始した。トヨタ自動車のハイラックスの組み立てを開始し、2022年からスズキの小型車スイフトの組み立てを開始する。

工場はテマ市に位置し、年間1,300台の生産能力を有する。投資額は700万ドル。部品はスズキのインド拠点から輸入する。現在ガーナにおいて、スズキのスイフトは年間50台が輸入されている。

豊田通商は、ケニア、エジプト、ナイジェリア、ルワンダに生産拠点を持っており、今回のガーナが5カ国目となる。2019年3月にトヨタ自動車とスズキはインドで生産したスズキ車をトヨタ自動車の販売網で販売することなどを含む協力合意を結んでいる。また、2019年1月にはトヨタ自動車と豊田通商がトヨタ自動車のアフリカにおける営業業務を豊田通商に移管することで合意している。

【エジプト、モロッコ、ケニア、ルワンダ、ジブチ】ソフトバンクがSmart Africaと協業し、アフリカ5カ国で非地上系通信ネットワークソリューションによる低価格ブロードバンド通信提供のための調査、協議を開始へ(6/30)

ソフトバンクは、アフリカにおける低価格なブロードバンド接続の提供に向けて、Smart Africa Secretariat(Smart Africa)と協業することで合意した。

Smart Africaはアフリカ32カ国や民間企業40社以上、国際機関などで構成されるアライアンスで、2030年までにアフリカにデジタル市場を創出することを目指している。民間企業ではフェイスブック、マイクロソフト、インテルや、エリクソン、Inmarsat、通信会社Orange、Econetなどが加盟している。ソフトバンク自身も2020年10月に加盟している。

ソフトバンクは同社の子会社HAPSモバイルのもつ成層圏ドローン通信ネットワークや、提携先である英OneWebおよび米Skyloらが持つサービスを活用して、非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network、NTN」)ソリューションを提供することを目指す。まずはエジプト、モロッコ、ケニア、ルワンダ、ジブチの5カ国に対して、需要予測調査や計画立案を行い、協議を開始する。

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