アフリカにおける日本企業の動き(2021年1月)

アフリカにおける日本企業の動き(2021年1月)

(写真はケニアでヤマハ発動機のバイクで配達を行っている様子、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【モロッコ】ワイヤーハーネス大手矢崎総業と住友電工がモロッコで新工場設立を計画(1/12)

ワイヤーハーネス大手の矢崎総業と住友電工グループが、自動車産業向けの供給のため、モロッコで工場の新設を計画しているとモロッコ産業大臣が明らかにした。

矢崎総業は5,200万ドル規模を投資してTangier、Kenitra、Meknesの3カ所に3工場を、住友電工は5,100万ドルを費やしてモロッコで5カ所目となる工場をカサブランカに建設する。住友電工はフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とCNH Global向けに輸出する。

モロッコには自動車メーカー仏ルノーとGroup PSAが完成車の生産拠点を置くことから、部品メーカーの投資が後押しされてきた。コロナウイルスの感染拡大によって2020年1月~11月の輸出額は10%減の66億ドルまで減少したものの、自動車産業はモロッコにおける最大の輸出産業となっている。

【アフリカ全般】三井住友フィナンシャルグループがサブサハラアフリカの売上収入でトップ(1/13)

三井住友フィナンシャルグループが、5,730万ドルの売上を上げ、米銀を抜いて初めてサブサハラアフリカで売上収入トップに立った。

前年比で557.2%増となった売上は、Standard Chartered Bank、Bank of America Securitiesや、Absa Group(旧バークレイズ)など6つの金融機関向け融資アレンジメントが大きく貢献した。

米銀のうち、モルガン・スタンレーはアレンジメントした件数が100%増加したにもかかわらず、前年比21.5%減の1,810万ドルの売上となり、シティグループはアレンジ件数が41%減少し、利益は前年に比べ44.4%減少した。投資銀行のサブサハラアフリカの業績としては、合計で約5億2,400万ドルの売上だったと見られる。資金調達やM&A、そのためのシンジケートローンの案件数が減少したことから、2019年と比較して19%減少し、過去6年間で最悪の結果となった。

サブサハラアフリカはコロナウイルスの感染の影響は比較的少なかったものの、地域最大の金融および資本マーケットである南アフリカなどの国々が経済的な打撃を受けた。一方で、多くの信頼できる機関が2021年のサブサハラアフリカの経済を回復とみている。

【モザンビーク】三井物産がモザンビークの炭鉱およびインフラ事業から撤退へ。ブラジル資源開発Valeに合計2ドルで譲渡(1/21)

三井物産はモザンビークの炭鉱事業から撤退する。モアティーズ炭鉱とナカラ回廊鉄道・港湾事業の全持分と関連する融資をブラジルの資源開発企業Valeにそれぞれ1ドルで売却する基本合意書を締結した。2021年内に譲渡を完了させる予定。Valeが石炭事業からの撤退を決定したことを受けて売却を決定したという。

Valeは世界有数の鉄鉱石採掘。2050年までにカーボンニュートラル企業となるという目標に沿って、中核事業への集中のために石炭事業を売却することを決定している。三井物産によると、Valeは三井物産から譲渡を受けたあとも操業を継続するものの、最終的には第三者への売却を検討する。

三井物産は2017年に、モアティーズ炭鉱の95%権益を保有するVale子会社の15%持分およびナカラ事業に関するVale子会社の50%持分を取得した。モアティーズ炭鉱の2019年の生産量は900万トン。

三井物産は、2021年3月期の通期業績予想でこれらモザンビーク事業に関して総額467億円の減損損失を計上している。2019年9月時点での両事業の投融資簿価はあわせて9億ドルで、2020年9月時点で5億ドルを保持している。

【ケニア、タンザニア】いすゞ自動車のケニア子会社がタンザニア市場に再進出。エジプトの財閥Al Mansour Automotiveを正規販売代理店に設定(1/21)

いすゞ自動車のケニア子会社Isuzu East Africaは、タンザニア市場に再進出する。エジプトのコングロマリットAl Mansour Automotiveの現地子会社を新たに正規販売代理店として設定し、3年ぶりにタンザニアで商用車の販売を再開する。

Isuzu East Africaは、かつてはタンザニアの財閥Quality Motorsを正規販売代理店としていた。いすゞ車は、教育、農業、建設、公共交通機関、セキュリティなど、様々な経済分野で使用されている。Al Mansour Automotiveはいすゞ車の販売再開に際して100万ドルを投資したという。

【南アフリカ】トヨタ自動車が南アフリカで初のハイブリッドSUV車を生産へ(1/28)

トヨタ自動車の南アフリカ子会社Toyota South Africa Motors(TSAM)は、2021年10月からDurban工場で、SUV車の製造を開始する。同社は2020年、南アフリカでの新車種の生産に約24億ランド(160億円)を投資する計画を発表していた。

新しく生産を開始するのはCorolla Cross で、南アフリカ国内向けと同時に他のアフリカ諸国でも販売するため、右ハンドルと左ハンドルの両方を生産する。Corolla Questとエンジンを共有し、トヨタ自動車が取り組むTNGA(Toyota New Global Architecture)プラットフォームに基づき開発された最初の現地生産車となる。また、通常の1.8ガソリンモデルとハイブリッドモデルの2種類が発売される予定で、南アフリカで生産する初のハイブリッド車となる。

Corolla Crossの生産規模は明らかにされていないが、Durban工場に500人、サプライチェーンで1,000人の新たな雇用を生み出すという。

※1ランド=6.9円(モーニングスター、1/30)

【ケニア】オンライン物流プラットフォームSendyと融資会社Crediationが提携し、ライダーがヤマハ発動機のバイクをトヨタケニアから月賦で購入できるサービスを開始(1/29)

ケニアのオンライン物流プラットフォームSendyは、ケニアで融資事業を行うCrediationと提携し、バイク便ライダーがToyota Kenyaが販売するヤマハ発動機のバイクを割賦で購入できるようにする。

優秀なライダーに限定して、頭金なしで12カ月間の月額払いが提供される。Toyota Kenyaは2回の無料点検を含むアフターサービスを提供し、Yamaha Rider Academyで無料のライダー講習も提供する。

今回の提携は、Toyota KenyaとSendyの株主である豊田通商が主導した。豊田通商は2020年にSendyに760万ドルを追加出資し、同社のアフリカ大陸における消費財や小売、農業などの事業でSendyを活用するといったシナジー創出を狙っていた。

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