アフリカにおける日本企業の動き(2019年11月)

アフリカにおける日本企業の動き(2019年11月)

(写真: タンジェオートモーティブシティ、住友商事プレスリリースより)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【アフリカ全般】住友商事とシェルがアフリカでミニグリッド事業を展開するPowerGenに15%出資(11/4)

住友商事と蘭シェルは、アフリカでミニグリッド事業を展開するPowerGenに出資した。両者あわせて15%の持分となり、シェルは取締役、住友商事はオブザーバーを派遣する。このシリーズBと8なる調達ラウンドでは他にOmidyar Network、Acumen、Renewable Energy Performance Platform、EDFI ElectriFI、DOB Equity、およびMicrogrid Catalytic Capital Partnersが参加した。

PowerGenはケニア、タンザニア、シエラレオネ、ナイジェリアでミニグリッドを設置しており、約1万5,000軒の住宅や小売店に電力を供給している。PowerGenは2019年8月に大手エネルギー会社独E.ONから同業のRafiki Powerを買収している。同社は事業の拡大を続け、事業経済性上のクリティカルマスとなる20万軒への電力供給に向けて調達資金を活用するとしている。

シェルは、2030年までに1億人に電力を届けるという目標を設定しており、2019年初めにはインドの太陽光発電Orb EnergyやミニグリッHusk Power、イギリスのオフグリッドの計測機器メーカーSteamaCoといった企業への出資を行っている。

【南アフリカ】トヨタ自動車が2020年に生産終了するカローラに代わり、南アフリカでハイブリッド車を含む新しい乗用車の生産を計画、24億3,000万ランドを投資へ(11/6)

トヨタ自動車の南アフリカ子会社Toyota South Africa Motors(TSAM)は、新しい乗用車の生産開始に向けて24億3,000万ランド(170億円)を投資する。車種は発表されていない。

同社はカローラの生産を2020年に停止することを決定しており、新しい乗用車はカローラに代わる乗用車として2021年末から生産される。ハイブリッド車の生産も含まれる見込み。

現在、TSAMのダーバン工場では、SUVの「フォーチュナー」、ピックアップトラックの「ハイラックス」、ミニバスの「ハイエース」のほか、セダンの「カローラ」や価格の安い姉妹車「カローラクエスト」を生産している。フォーチュナーやハイラックスは輸出用である。

TSAMはこの10年間で南アフリカに120億ランド(880億円)以上を投資している。

※1ランド=7.4円(モーニングスター、11/8)

【モロッコ】住友商事がタンジェにある工業団地5カ所の販売代理契約を締結。モロッコでの経済特区開発も視野に(11/8)

住友商事は、モロッコの政府系開発公社タンジェ地中海特別庁(TMSA)と、経済特区の販売支援を目的とした事業開発契約を締結した。自動車関連を中心とする生産拠点移転需要を背景に、TMSAの運営する工業団地への日本企業の進出を促し、投資環境や優遇制度に関する情報提供窓口として機能する。

TMSAはタンジェにおける工業団地や港湾の開発を担っている。工業団地については、総面積で1,300ヘクタールとなる、タンジェ・フリーゾーン、タンジェ・オートモーティブシティー、テトゥアンパーク、テトゥアンショア、メッドハブロジスティクス・フリーゾーンの計5カ所の開発運営を行っている。住友商事はこの5カ所の販売代理として営業活動を行う。

タンジェMED港は約347万TEU(20フィートコンテナ換算)の取扱実績を上げており、コンテナ取扱量ではアフリカ最大である。2019年6月には2カ所目の港となるMEDII港も開港している。両者は、将来的に合弁方式で経済特区を共同開発することも視野に置いている。

【タンザニア】未電化地域向けに電力サービスを提供する日本発スタートアップのワッシャがダイキン工業、ヤマハ発動機などからシリーズBで10億1,000万円を調達。ダイキンとヤマハは物流に関する共同事業を検討(11/8)

未電化地域向けに電力サービスを展開するタンザニアのワッシャが、シリーズBラウンドで10億1,000万円を調達した。今回出資したのは、ダイキン工業、ヤマハ発動機、Mistletoe Japan、みずほキャピタルおよび既存株主の東京大学エッジキャピタルならびに丸紅。累計調達額は約24億円となった。

ワッシャはキオスク(小売店)に太陽光充電システムをレンタルし、それで充電したLEDランプをキオスクが人々に貸し出す事業を行っている。LEDランプの貸出料は1日あたり約25円。現在1,300店舗と取引がある。同社の社員数は130人。

2019年8月には、1万店舗への導入を目指して関西電力と業務提携を結んだ。今後はキオスクネットワークを活用して農作物などの物流ネットワークの構築を検討する。ダイキン工業とヤマハ発動機は物流事業に関連した共同事業を検討している。

【南アフリカ】いすゞ自動車が南アフリカで新型ピックアップトラックの生産を開始、12億ランドを投資へ(11/11)

いすゞ自動車が12億ランド(87億円)を投資して、南アフリカで新型ピックアップトラックの生産を開始する。南アフリカでは、自動車メーカーへの投資を促進する「自動車生産開発プログラム(Automotive Production and Development Programme、APDP)」が2018年末に新たに再導入されている。

ピックアップの年間生産台数は、2万9,000台に増える見込みという。南アフリカ市場での販売をメインとしつつも、サブサハラアフリカでの需要拡大に応じて生産台数の伸びが期待できるという。現在サブサハラアフリカにおいては、ケニア、ジンバブエ、ザンビア、モザンビーク、モーリシャス、セネガル、ガーナ、コートジボワールが主要市場となっている。サブサハラにおける同社の2018年の売上は前年比で17%増加している。

※1ランド=7.3円(モーニングスター、11/13)

【モーリシャス】南アフリカの老舗製薬会社Aspenが日本事業をノバルティス子会社Sandozに売却へ(11/11)

南アフリカの製薬会社Aspen Pharmacare Holdingsが、債務を削減するために、日本事業をスイスの製薬会社ノバルティス子会社Sandozに最大4億ユーロで売却することで合意した。

同社の負債額は借入契約条項に抵触する水準まで増加していた。すでに乳児用粉ミルク事業やアジア太平洋地域で流通させていた製品ポートフォリオを売却しており、これらの売却益によりすでに負債を535億ランド(3,900億円)から390億ランド(2,800億円)に削減させている。

モーリシャスに拠点を持つAspenの子会社Aspen Global Incorporated(AGI)も同様に、2020年上半期末までに日本事業のAspen Japanの全株式と関連する知的財産をSandozに譲渡する。AGIはSandozに、売却されたブランドに関連する原料、半製品および完成品を今後5年間供給することで同意した。

※1ランド=7.3円(モーニングスター、11/13)

【ケニア】ケニアの銀行DTBが、Toyota Kenyaに続き、FUSOトラックのディーラーSimba Corporationと中小企業向け自動車全額融資の提供で提携(11/20)

ケニアの銀行Diamond Trust Bank(DTB)は、ケニアの自動車ディーラーSimba Corporation(Simba)と提携し、Beba Leoと呼ばれる中小企業向けの自動車向け全額融資の提供を開始する。購買時に資金を用意する必要がなく、資金繰りや運転資金に支障を来さず段階的に支払いができるよう、返済期間も柔軟に設定する。同行は11月には同様の融資提供においてToyota Kenyaとも提携し、トヨタハイラックスまたはトヨタラッシュを対象車としている。

SimbaはFUSOトラックの独占代理店。融資を受けた顧客には、1年分の包括保険料を無料で提供し、全国のSimba販売店でのアフターサービスや純正部品の供給を保証する。

【ケニア】ケニアのイスラム系金融機関Gulf African Bankが、Isuzu East Africaに続き、FUSOのディーラーSimba Corporationと自動車融資の提供で提携(11/19)

ケニアのイスラム系金融機関Gulf African Bank(GAB)がケニアの自動車ディーラーSimba Corporationと提携した。GABは最大95%までの融資を提供するというもので、2019年5月に同9行は同様の融資サービスでIsuzu East Africaと提携している。

同融資では、5年間の毎月の返済期間のうち最初の2カ月間の支払いを猶予する。Simba Corporationは、初年度は売上の10%、約200台がこの融資を活用することになると見ている。GABはあわせて、同融資を受けた法人顧客向けに30万ケニアシリング(30万円)の運転資金に対する融資も提供する。

※1ケニアシリング=1.0円(モーニングスター、11/21)

【タンザニア】ダイキン工業とワッシャが、タンザニアでエアコンのサブスクリプションモデルの実証実験を開始(11/25)

ダイキン工業とWASSHAが、タンザニアでエアコンのサブスクリプション販売に向けた実証実験を開始した。2019年11月から2020年2月までの3カ月間行い、2020年の事業開始を目指す。

WASSHAは小売店を通じてLEDランタンのレンタル事業を行っている。同社が持つ小売店プラットフォームとモバイルマネー決済、機器制御システムを用いて、ダイキン工業のエアコンをタンザニアの小規模店舗や一般家庭にサブスクリプション方式で導入する。

ダイキン工業はこの実証実験において高効率のエアコンを導入することで環境負荷を抑える取り組みを実証する。インド工場で開発・生産した製品を輸出する。同社は、企業や不動産オーナーを対象に、業務用エアコンを月額料金で利用できるサブスクリプション販売を2018年に日本でスタートさせている。

【ナイジェリア】豊田通商子会社CFAOの自動車部品販売会社Winpartが仏系スタートアップAfrica Delivery Technologiesが提供するオンデマンド配送のKwik Deliveryと提携。ナイジェリアの自動車部品販売を迅速化(11/28)

アフターマーケット向け自動車部品販売を営むWinpartは、オンデマンド配送プラットフォームを展開するAfrica Delivery Technologiesと提携して、ナイジェリアで自動車部品をオンデマンドで配送するサービスを提供する。

Winpartは豊田通商子会社CFAOの傘下企業。Africa Delivery Technologiesは仏系スタートアップで、Kwik Deliveryという名で配送アプリを展開している。

ナイジェリアでは偽物の部品が大量に流通している中、WinpartはDenso、Bosch、Valeo、Philips、C-works、RikenなどOEM企業からの純正部品を調達することができる。ナイジェリアでの消費者のニーズを満たすためには、2時間以内に部品をピックアップして届けられるようなフレキシブルで信頼できる物流パートナーが必要であるところ、Kwik Deliveryとの提携に至ったという。Kwik Deliveryは注文後、部品をガソリンスタンドへと配送する。Winpartは部品販売でTotalのガソリンスタンドなどと提携している。

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