アフリカにおける日本企業の動き(2018年5月)

アフリカにおける日本企業の動き(2018年5月)

(写真は、ナイロビで新たに開始されたUberサービス、短距離移動向けの"Uber Chap Chap"(Chapはスワヒリ語で急ぎ、クイックという意味)で使用されているスズキ車、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【エジプト】豊田通商が、炭化水素ディーゼル燃料精製プロジェクトへの参画をエジプト政府と協議(5/1)

エジプトの石油鉱物資源省のTarek El-Molla大臣が、エジプト政府が豊田通商との間で19億米ドル規模の投資を伴うAssuit Oil Refining Companyにおける炭化水素ディーゼル燃料精製プロジェクトへの参画について協議していると、プレス向けに公表した。石油精製と製品化の統合プロジェクトについても議論された模様。

豊田通商は先月2018年4月中旬にも、エジプト国営天然ガス会社(EGAS)とGanoub El Wadi Petroleum Holding Companyとの間で6億米ドルを投じるオフショア掘削プロジェクトについて合意している。同社は同じく4月、仏Engie、エジプトの建設会社Orascom Constracution等とのコンソーシアムにおいて約4億米ドルを投じる250メガワットの風力発電所建設についても、エジプト送電公社(Egyptian Electricity Transmission Company)との間で合意に達している。

【ケニア】家庭用太陽光発電キットを割賦販売するケニアのM-kopaに三井物産が出資へ(5/2)

三井物産が、ソーラーホームシステムを販売するケニアのM-Kopa Solarへの出資参画に関する関連契約書を締結した。

M-Kopa Solarは、太陽光発電によって照明、携帯充電、家電利用などが可能になるキットをケニア、ウガンダなどにおいて割賦で販売している。

【マラウイ】東芝エネルギーシステムズが、マラウイ政府との間で地熱発電開発に関するMoUを締結(5/3)

東芝エネルギーシステムズが、アフリカの国々との水力・地熱発電における協業に関する4つのMoUを締結した。そのうちの1つはマラウイ政府との間のもので、1~10メガワットの地熱発電建設に向けたフィージビリティー調査と地質調査、地熱発電に係る開発、設備供給、運営と管理のガイドライン開発、能力開発プログラムに関するMoUを締結した。

同社は、すでにウガンダ、タンザニア、エチオピア、ジブチとの間で地熱発電開発に係るMoUを締結しており、ケニアではすでに地熱発電設備の納入と支援を行っている。

東芝は、これまで世界で累計発電容量3,628メガワットに該当する地熱発電所に56台のタービンシステムを納入している。他にも同社は、火力発電を効率化する超々臨界圧蒸気タービンシステム、送電ロス率を低下させるアモルファス変圧器、産業制御システム、スマートメーターとIoTシステムなどの技術・製品を保有しており、アフリカの電力課題の解決に資する可能性がある。

【ケニア】東芝エネルギーシステムズが、ケニアの大手リース会社RentCoと小型地熱発電設備のリース販売に関するMoUを締結(5/7)

東芝エネルギーシステムズが、ケニアのリース会社RentCoと、地熱発電システムの販売に関する包括的な協業に合意した。これにより、RentCoは、東芝が持つ1~10メガワットの地熱資源で発電可能な小型地熱発電設備Geoportableのリースを促進する。

ケニアはグレートリフトバレーの西に位置し、未開発の地熱発電の開発に取り組んでいる。東芝によると、同社の小型地熱発電設備は、小規模な地熱井に短期間で導入することができ、効率的に発電することができる。RentCoは広い業界に向けてリース事業を展開している企業。

【ケニア】いすゞ自動車がケニアで乗用車市場に再進出(5/8)

いすゞ自動車が、ケニア子会社Isuzu East Africaを通じて乗用車市場に再進出した。660万ケニアシリング(660万円)の販売価格となるSUV、Isuzu mu-Xを投入する。

いすゞ自動車は米ゼネラルモーターズ(GM)のケニア子会社General Motors East Africaの株主だったが、2017年にGMから全株式57.7%を取得し子会社化、社名をIsuzu East Africaに変更している。GMが同社の乗用車ブランドであるシボレーの販売を停止したことで、乗用車市場から撤退していた。

ケニアでのSUV新車販売会社は他に、ジープやメルセデスを扱うDT Dobieや乗用車市場でのトップシェアで様々なトヨタ車を扱うトヨタケニアなどがある。

※1ケニアシリング=1.0円(ブルームバーグ、5/10)

【ケニア】ケニアの新車販売台数が2018年第1四半期に13.6%増加。トヨタケニアが大きく伸ばす(5/7)

ケニアにおける、2018年3月末までの第1四半期における新車販売台数が、13.6%増加した。総選挙の不透明感で止まっていた新車注文が再開したと見られ、今後の伸びが期待される。

ケニア自動車工業会(KMI)によると、トヨタケニアやSimba Corporationを含む販売代理店の第1四半期の販売台数は、前年同時期の2,755台から3,130台となった。トヨタケニアの販売台数は642台から812台に、Simba Corporationは466台から512台に伸びている。一方、ケニア最大の新車販売数を誇るIsuzu East Africaは、971台から881台へと減少している。

販売台数増加は、2017年の大統領選の影響を受けて控えられていた発注が、今期になって実行されたことが理由とみられている。選挙が近づくと消費者支出や事業拡大は縮小傾向となり、自動車販売代理店や他の高額商品販売者の事業を悪化させていた。2017年の年間新車販売台数は、前年比20.3%減少し、1万1,044台となっていた。KMIの会長でありIsuzu East AfricaのCEOは、自動車産業界は2018年の伸び率を10%と見ていると述べている。

【南アフリカ】富士フイルムが南ア首都ヨハネスブルグにイノベーションセンターをオープン(5/10)

富士フイルムの南アフリカ子会社であるFujifilm South Africaは、顧客との距離を縮めることを目指して、新しくイノベーションセンターInnovation Centre Africaを、南アフリカの首都ヨハネスブルグにオープンした。ただの商品展示でなく、ハイテクを用いたソリューションの価値が伝わるように、顧客との会話を促す設計の中でより詳しい情報や最新のソリューションを提示する。

富士フイルムは、写真印刷、デジタルカメラなどデジタルイメージング、グラフィック・産業印刷、メディカルの4つの事業領域を持つ。

【ナイジェリア】東洋エンジニアリングが同社2件目となるナイジェリアにおける肥料工場建設プロジェクトを受注(5/16)

東洋エンジニアリングが、ナイジェリアで新たに建設される肥料工場の設計と資材調達および尿素ライセンス供与について受注した。

新工場はポートハーコートに建設され、日産2,300トンのアンモニア工場、日産4,000トンの尿素工場からなる。建設はインドラマエレメ肥料会社が行う。東洋エンジニアリングは2012年にも同社から同様の肥料工場向け事業を受注しており、今回はその工場の隣接地への第2トレイン建設となる。2021年の完成を目指す。受注額は500億円程度と報道されている。

【ルワンダ】ルワンダの花卉輸出額が8カ月で280万ドルに達し、前年同時期の2倍に。日本企業が関わるBloom Hills Rwandaが来月から出荷へ(5/18)

ルワンダの花卉輸出額が2017年7月から2018年3月の間で280万ドルとなり、前年の同時期に比べて2倍を超えた。上記の統計を発表したルワンダ国家農業輸出振興機局によると、新規事業が貢献しており、2018年末までによりよい結果が期待できるという。

新規事業としては、Bloom Hills Rwandaが日本企業と共同で行っている事業がある。リンドウを生産しており、2018年6月までに1本500~700ルワンダフラン(60~84円)でヨーロッパへ向けて輸出することを目指している。現在4ヘクタールを超える土地で実施されている。2020年までにはオランダに向けて43万本を輸出することを目指している。

※1ルワンダフラン=0.12円(ブルームバーグ、5/26)

【アフリカ全般】トヨタ自動車とスズキが、インドで生産したスズキ開発車両をアフリカでそれぞれ販売することや物流やサービスでの協業について協議を開始することで合意(5/25)

トヨタ自動車とスズキは、開発や生産に関する共同プロジェクトの協議を開始することで合意した。協議内容には、スズキが開発した車両を、トヨタ自動車とスズキがインドからアフリカ市場など向けに供給し、それぞれの販売網で販売することや、物流・サービス領域の協業を進めることが含まれている。

トヨタ自動車とスズキは2017年2月に業務提携に向けた覚書を締結しており、ハイブリッド自動車や電気自動車の開発について具体的な協業方法を検討してきた。インドにおいて、トヨタ自動車がカローラを、スズキがBaleno、Vitara Brezza モデルを相手に供給する車両の相互供給についてはすでに発表している。

【ルワンダ】サムライインキュベートがベンチャーキャピタル子会社を設立し、ルワンダを中心とした東アフリカでの投資を目指す(5/28)

サムライインキュベートが、資本金800万円でベンチャーキャピタル子会社リープフロッグベンチャーズを設立、ルワンダに支店を開設し、ベンチャー投資を開始する。今後日本企業から出資を募り最大5億円のファンドを組成する。1社あたりの出資額は300万~500万円とし、ルワンダを拠点に近隣のケニア、タンザニア、ウガンダを含めた東アフリカのスタートアップに5年間で100社に投資する。

ルワンダや東アフリカ向けのベンチャー投資は活発となっており、多くのベンチャーキャピタルがすでに投資を行っている。

【ザンビア、ウガンダ】関西ペイントが蚊よけ塗料の販売を開始へ(5/29)

関西ペイントが、2018年度後半から、蚊よけ塗料の販売をザンビアやウガンダなどで開始する。ピレスロイドという殺虫成分が含まれた塗料の住宅の内壁に塗ることで、蚊を防ぐことができるというもの。米国において米環境保護局(EPA)から効果についての承認を受けている。

同塗料はジカ熱やデング熱、マラリアなどを媒介する3種類の蚊に効く。塗膜の工夫でピレスロイドを少しずつ放出できるようにし、1度塗れば2年程度効果が持続させられる。同社は過去2年、ザンビアで調査を行っていた。

関西ペイントのアフリカ事業の2017年度売上高は、350億円で、全体のうち約10%を占めている。アフリカ事業は足元では原料高騰や業務システム変更の影響で経常損失を出している。

【コートジボワール】コートジボワールの鉱山会社Lagune Exploitation Afriqueが、中国の輸入量増加を受けて行うボーキサイト開発への出資について、住友商事と協議していると明かす(5/30)

コートジボワールの鉱山開発会社Lagune Exploitation Afriqueが、総額2,180億CFAフラン(390億円)規模となるボーキサイト鉱床の開発と2か所のアルミニウム工場建設における提携について、住友商事と協議していると明かした。

Lagune Exploitation Afriqueはコートジボワール東部のBenene鉱床で、3,450万トンが見込まれるボーキサイト鉱床の開発を行っており、将来的には年間75万トンのアルミ原材料と、35万トンの仮焼金属の生産が見込まれるという。Lagune Exploitation Afriqueは同社の株式25%を住友商事に売却することを提案しているという。住友商事からのコメントはだされていない。

中国からのアルミニウム需要が50%近く上昇しているため、コートジボワールのボーキサイト生産者は生産を増やしている。近隣国であるギニアは、2017年にオーストラリアを抜いて、中国向けボーキサイトの最大供給国となっており、中国のボーキサイト総輸入量の40%を占めている。

※1CFAフラン=0.18円(ブルームバーグ、6/2)

【ケニア】ソニーがケニアで商標の排他的権利の維持を巡って争っている裁判で、高等裁判所がソニーブランドのケニアでの認知の高さを示す証拠が不十分だとする判決を下す(5/31)

ソニーがケニアにおいて、商標を巡って現地企業と争っている裁判で、ケニアの高等裁判所は、ソニーがケニアでそのブランドがよく認知されていることが証明されていないとする2015年の商標審査官の判断を事実上支持する判決を下した。

この裁判は、現地のショッピングモールWestgate Mallを保有する不動産会社Sony Holdingsを相手取り、ソニーが「Sony」の商標に関する排他的権利の維持を求めているもの。ソニーは、多くのスポーツや国際イベントのスポンサーを行っているとする証拠を提出したが、ケニア国民がそれを見ていたという証拠にはならないとされた。また、ソニーが世界200位上の国で商標登録されているという点についても、それを証明する証拠は得られなかったとしている。さらに、集計し提出された売上数値はグローバルのもので、ケニアのものではなかったとしている。一方で裁判官は、2社の商標が同一とみなされることも認め、Sony Holdingsはソニーが登録している4分類には商標を登録するべきではないとした。

ソニーは、提出済みの同社の主張をサポートする重要な証拠を商標審査官が検討していないと主張している。

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