アフリカにおける日本企業の動き(2017年5月)

アフリカにおける日本企業の動き(2017年5月)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【マダガスカル】マダガスカルにおけるニッケル採掘・精錬プロジェクトの株式構成比率の変更が合意され、住友商事の持分が 40.3%に(5/1)

住友商事が、マダガスカルのニッケル採掘・精錬事業において、事業パートナーであるコリアリソリソーシズとともに持分比率を増やし、大株主となる。同じく事業パートナーであるカナダのシェリットイターナショナル(Sherritt International)への債務を置き換える形で、株主間の株式構成比率の変更について基本合意した。

シェリットインターナショナルは住友商事とコリアリソーシズへの10億2,000ドルの債務削減と引きかえに、持分比率を 40%から 12%に減らす。一方で住友商事の持分比率は 32.5%から 47.7%へ、リアリソーシズの持分比率は 27.5%から 40.3%に増やす。シェリットインターナショナルは少なくとも 2024 年まではオペレーターとしての参画を継続する。住友商事の同プロジェクトへのエクスポーャーの合計は、シェリットインターナショナルへの融資 6 億ドルを含めて約 170 億ドルだった。

住友商事は 2 月、2016 年のニッケル生産量は 4 万 2,100 トンに達し、2017 年には 4 万 8,000~5万2,000 トンに増える見込みであると発表していた。一方 4 月にはシェリットインターナショナルが、第 1 四半期の生産量は前年同期比 14%減、前四半期比では 25%減となったと発表している。

【南アフリカ】ダイムラートラック・バスの南アフリカ子会社がふそうトラックの組み立てを開始、2020 年までに南アでシェア倍増を目指す(5/15)

Mercedes-Benz South Africa (MBSA)傘下の Daimler Trucks & Buses Southern Africa(DT&B SA)が、南アフリカの East London 工場で、ふそうブランドのトラック FA9-137 の組み立て開始した。南アフリカでは政治的な混乱にも関わらず、2017 年の第 1 四半期のトラック販売台数は 3%伸びている。ふそうブランドのトラックは2016 年に南アフリカで 1,500台 から 2,000 台販売されており、DT&B SA は 2020 年までに市場シェアを 2015 年の 2 倍となる二桁までもっていきたいとしている。

DT&B SA の子会社 Fuso Trucks Southern Africa (FTSA)によると、FA9-137のみならず、FJ 16-230 の組み立ても 月末に、FJ 26-280C の部品生産も 6 月末に開始されるという。どちらもインドから部品を調達する。TSA は、現地組立の場合の部品輸入は関税が無税であるのに対し、完成車の輸入には 20%の税が課されることから、税制面での優位性があると述べている。

MBSA はふそうの完全ノックダウン生産の増加に備えて East London 工場に対し 300 万ランド(2,500 万円)以上を投資した。East London 工場は現在稼働率 50%で、1 日 24 台を 1 シフトで生産している。5%がバス、25%がふそうトラック、70%がメルセデス・ベンツをそれぞれ組み立てていたが、ふそうトラックの需要増によって、40%がふそうトラック、60%がメルセデス・ベンツとなる。

ふそうの FJ26-280C は 25 カ国以上で販売されており、1 万台以上が売れている。

※1 ランド=8.4 円(ブルームバーグ、5/21)

【ケニア、アフリカ全般】米グーグルがケニアに設立した通信インフラ企業 CSquared に三井物産が出資(5/17)

米グーグルが設立した通信インフラ企業 CSquared が、4 社からの投資を得て、アフリカ事業を進める目処をつけた。4 社は、グーグル自身とアフリカの ICT 領域に特化したプライベートエクイティの Convergence Partners、国際金融公社(IFC)および三井物産で、あわせて 1 億ドルを上限に投資する。CSquared はナイロビに HQ を置き、アフリカにおいてブロードバンドネットワークの構築に取り組む。

グーグルは、CSquared の設立に先立ち、2011 年からウガンダとガーナで光ファイバーの敷設とインターネットサービスプロバイダーやモバイルオペレーター向けのホールセールを行っている。

【南アフリカ】米 GM が南アフリカにおけるいすゞ自動車との合弁を解消し、GM の持分をいすゞが取得へ(5/18)

米GMが事業再編を発表し、南アフリカにおけるいすゞ自動車との合弁を解消し、持分の30%をいすゞに売却する。GM のピックアップトラック事業はいすゞ子会社に移管する。

収益性の高い市場に経営資源を集中する戦略の一環で、他にはインドで輸出拠点のみを残しインド国内での自動車販売を停止する。2017 年末までの完了を目指す。

GM は新興国での販売に苦戦しており、インド、南アフリカでの販売台数はあわせて 4 万 9,000台に留まった。

【ケニア】阪急阪神エクスプレスがケニアの提携代理店に日本人社員を常駐させる(5/29)

阪神阪急エクスプレスが、アフリカにおける提携代理店であるケニアの Intraspeed Arcpro Kenya 社に出向の形で社員を常駐させる。同社は南アフリカのヨハネスブルグに駐在員事務所を設置している。

【ケニア】商船三井ロジスティクスがケニアのナイロビに支店を開設(5/31)

商船三井ロジスティクスが、ヨーロッパ法人の支店をケニアのナイロビに設立したと発表した。

7月から営業を開始する予定。ナイロビを足がかりにアフリカの拠点を拡充していく。

【モロッコ】豊田通商子会社 CFAO グループ傘下の仏 Eurapharma が、モロッコの医薬品市場に強い仏医薬品メーカーSanofi と、Sanofi 子会社のモロッコおよびアフリカでの事業開発促進で提携(6/1)

仏医薬品メーカーSanofi と、CFAO グループ傘下でアフリカでの医薬品の製造と流通を手がける仏 Eurapharma が、モロッコおよび他のアフリカ諸国で Sanofi の子会社 Maphar の事業開発の促進を目的としたパートナーシップを結んだ。Eurapharma が Maphar の株式 51%を取得する。Sanofi は引き続き株主として 49%を保有する。

Sanofi はモロッコにおいて、Sanofi-Aventis Maroc と Maphar の子会社 2 社を通じて 50 年以上事業を行ってきた。Sanofi-Aventis はモロッコの医薬品市場の 9.2%を占めるリーディングカンパニーであり、2016 年には 10 億 300 万ディラハム(110 億円)の売上を上げている。Sanofi は引き続き、Sanofi- Aventis Maroc を通じてモロッコの医薬品市場で事業を拡大していく。なお、Mapharは、モロッコの医薬品市場の 9%を占め、2016 年には 12 億 9,200 万ディラハム(140 億円)を売り上げている。

Eurapharmaは半世紀以上の事業経験があり、アフリカ23か国およびヨーロッパ、インド、中国、ポルトガル、イタリア、加えて 7 つの仏海外領土・自治領で事業を展開している。2016 年の売上は12 億 5,200 万ユーロだった。

※1 ディラハム=11 円(ブルームバーグ、6/2)

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