アフリカにおける日本企業の動き(2017年12月)

アフリカにおける日本企業の動き(2017年12月)

(写真は、ユニクロのエチオピアでの生産開始を報じたエチオピアの現地紙。ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【南アフリカ】NTTコミュニケーションズが南アフリカ通信事業者Internet Solutionsと提携し、同社のデータセンターサービスNexcenterを南アフリカで提供へ(12/1)

NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が、南アフリカの通信サービス事業者Internet Solutionsと提携し、アフリカにおいて同社のデータセンターサービスNexcenterの提供に乗り出す。まずは12月からヨハネスブルグのInternet Solutionsのデータセンターを活用してサービスを開始し、2018年7月にはNexcenterブランドの基準に合う新しい施設を建設する予定。

南アフリカのコロケーション市場は、政府機関やコンテンツサービスプロバイダーの需要により、年平均12%の成長を示している。今回の提携により、NTTコムはアジアやヨーロッパ、アメリカの顧客企業が南アフリカへと事業を拡大する際にデータセンターサービスを提供することができる。

Internet Solutionsのデータセンターは、約1,900平方メートルに立つ4階建てのサーバルーム施設で1.3MWのスタンドバイバッテリーを供給、非常時電源は45時間のあいだ電力を供給できる。2018年7月に建設予定の新しい施設は、Nexcenterブランドの基準に合う、気密性の高い570のサーバラックや2.2MWの電力を保有する。自社のデータセンターを建設することで、NTTコムはNexcenterの提供エリアを拡大し、顧客事業の世界展開に対応する。

【エジプト】豊田通商とユーラスエナジーがエジプトの風力発電IPP事業に参画(12/4) 

豊田通商とユーラスエナジーが、エジプトで262.5MWの風力発電所の建設・所有・運営を受注し、IPP事業に出資参加する。総事業費は4億ドルで、建設に2年間をかけ2019年12月に商業運転を開始、その後20年間に渡り発電所を運営してエジプト送電公社などに売電する。

仏Engie、エジプトの建設会社Orascom Constracutionとの4社で事業会社を設立し、事業を進める。豊田通商およびユーラスエナジーの出資比率は4割。事業費の借入分のうち、60%は国際協力銀行から、残りの40%は三井住友銀行、ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店から融資を受ける。

エジプトにおいてはこれが初めての風力発電のIPP事業となる。

【南アフリカ】三菱日立パワーシステムズが南アの石炭火力発電所向けに通算4基目となるボイラー引き渡しを完了(12/9)

三菱日立パワーシステムズが、南アフリカの電力公社Eskomに、メデュピ発電所向けの石炭火力発電所ボイラー1基の引き渡しを完了した。商業運転が開始される。同社はメデュピとクシレの両発電所あわせて12基のボイラーを受注している。今回の引き渡しはメデュピ発電所向けとしては3基目、すでに1基を引き渡し済みのクシレ発電所とあわせて通算4基目となる。

ボイラー1基あたりの出力は80万KW。超臨界圧技術を採用したため、従来の石炭火力発電設備よりも高効率でCO2の排出量が少ない。建設工事を短縮し、商業運転開始時期を約8カ月繰り上げた。

同プロジェクトは損失負担を巡って、同社の親会社である三菱重工と日立の意見が分かれており、現在も協議を続けている。

【ケニア】トヨタケニアがケニアの銀行KCBと提携し、トヨタサービスセンター設置のためのトレーニングと資金提供のプログラムの実施で合意(12/10)

トヨタケニアとケニのKCB銀行によるCSR部門KCB Foundationが、トヨタのサービスセンターの拡大と若者の雇用拡大を目的としたプログラムに合意した。

KCB Foundationの自動車エンジニアリングコース修了生が、その後トヨタケニアによる12カ月のトレーニングプログラムToyota Service Technician of 21st Centuryを修了すれば、トヨタケニア認定サービスセンターの設置を承認され、さらにKCB銀行からサービスセンター立ち上げのための初期投資2,000万ケニアシリング(2,000万円)を受ける資格を得るというもの。

トヨタケニアは、自動車産業の拡大と若者の雇用拡大を目的として、ケニア国内でサービスセンターを拡大させる意向。

※1ケニアシリング=1.0円(ブルームバーグ、12/14)

【アフリカ全般】日立造船がオーストラリア子会社オスモフロー社を通じてアフリカで海水淡水化事業を展開へ(12/13)

日立造船がアフリカで海水淡水化事業を始める。2017年2月に買収したオーストラリアの水処理プラント会社を通じて営業を始めた。水処理施設が軌道に乗れば、ごみ処理施設の受注も目指す。

日立造船は海外売上高比率を2016年の33%から50%に高める目標を掲げている。

【エチオピア】日本たばこ産業がエチオピアたばこ公社の株式30.95%を買い増し子会社化(12/21)

日本たばこ産業が、海外子会社であるJT International(JTI)を通じて、エチオピアのたばこ公社National Tobacco Enterprise Share Company(NTE)のエチオピア政府保有分株式30.95%を4億3,400万ドル(約490億円)で取得した。日本たばこ産業は2016年にもNTE社の株式40%を取得しており、これで合計70.95%の持株比率となった。NTEは日本たばこ産業の子会社となる。

エチオピアのたばこ市場は2016年時点で46億本で、NTE社が98.9%のシェアを持つ。

【エチオピア】ファーストリテイリング傘下のユニクロが、エチオピアで2018年中にTシャツを試験生産と報じられる(12/27)

ファーストリテイリング傘下のユニクロが、エチオピアで衣料の生産を開始すると日経新聞が報じた。柳井正会長兼社長が日経新聞に方針を明らかにした。2018年中にTシャツの試験生産を開始し、同社が今後の販売における重要拠点と位置づける欧米市場向けに生産する。

ファーストリテイリングは2008年にバングラデシュに生産を目的とした合弁会社を設立し、試験生産後に生産拠点化し、収益力を高めた経験がある。欧米市場においては、ZARAやH&Mとの世界衣料大手との競争が激しい。アフリカでの生産で価格競争力を高め、欧米事業を拡大する。

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