アフリカにおける日本企業の動き(2023年12月)

アフリカにおける日本企業の動き(2023年12月)

(写真はNTTデータが南アフリカのヨハネスブルグに設立したデータセンター、NTTデータのXより)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

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【南アフリカ、アフリカ全般】南アDimension Dataを始めとするNTTグループの海外事業を傘下とするNTTデータが、アフリカの低採算国から撤退の方針(12/8)

NTTデータグループが、傘下のNTT Ltd.において、構造改革を進め低採算国の事業整理を進めるにあたり、アフリカは「ほとんどの国」から撤退する計画であると明らかにした。日経新聞のインタビューで同社CFOが語った。対象となる国などは明らかにしていない。

NTTグループは2010年に南アフリカのシステムインテグレーターのDimension Dataを買収した。2022年には、Dimension Dataなどが営むデータセンター、ネットワーク、マネージドサービスなどのビジネス向けグローバル事業をNTTデータの傘下に集約することを決めている。これに伴い2024年1月1日からDimension DataはNTTデータに社名を変更する。

関連記事:「アフリカにおける日本企業の動き(2022年10月)」でNTTによる南アフリカでのデータセンター設立を取り上げています。

【南アフリカ】伊藤忠商事が南アフリカのHive Hydrogen South Africaとグリーンアンモニアビジネスにおける協業覚書を締結。58億ドルを投じ2028年の操業を目指す(12/11)

伊藤忠商事が、南アフリカのHive Hydrogen South Africaとの間で、グリーン水素やグリーンアンモニアプロジェクトの開発、製造、オペレーション、マーケティング、販売、輸出、輸送における協業覚書を締結した。協業の枠組みにおいて、伊藤忠商事が投資家やオフテイカーとして関与する可能性がある。グリーンアンモニアのプラント開発と建設の最適解の理解への協業も行う。

南アフリカの東ケープ州Coegaで、2028年を目処に、グリーン水素やグリーンアンモニア、加えて可能であれば硝酸アンモニウムも製造を開始し、輸出する。投資額は58億ドルを予定している。動力源として、太陽光発電と風力発電で合わせて約3.6ギガワットを発電するほか、今後用地を確保して追加で12ギガワット以上を発電する。

Hive Hydrogen South Africaは、英Hive Energyが75%、南アフリカのBuiltAfricaが25%を保有する合弁会社で、本プロジェクトの主要な資金提供者および開発者である。Hive Energyは2010年設立の英国企業で、英国やスペインを含む22カ国で太陽光発電事業を展開している。世界全体で8つのグリーン水素、グリーンアンモニアプロジェクトを進めており、2050年までに年間850万トンを製造する見込みである。BuiltAfricaは南アフリカに拠点を置く再生可能エネルギー発電事業者で、2009年に設立された。

【ウガンダ、タンザニア】ヤマハ発動機の子会社物流スタートアップCourieMateがタンザニア進出(12/12)

ヤマハ発動機が、グループ会社でeコマース配送を担う物流スタートアップCourieMateをタンザニアで設立したことを発表した。CourieMateはすでにウガンダで事業を展開しており、アフリカ2カ国目の進出となる。2023年1月からタンザニアで実証実験を行っていた。資本金は5,000万円。

アフリカにおける配送は、不確かな住所や代引き支払いの慣行から、効率性やリスクの点で課題がある。CourieMateは住所の登録や荷物、代金支払いの流れを把握できる自社開発のシステムを用いる。配送車両は、ヤマハ発動機の二輪車の他、インド企業の二輪車を用いる。

ヤマハ発動機は2024年を最終年とする中期経営計画において、モビリティーサービスや医療・健康事業などの新規事業だけで300億円を売り上げる計画を立てている。

【アフリカ全般】三菱商事が出資し、家庭用太陽光発電キットやスマートフォンなどの割賦販売を行う英Bboxxが、クウェートの国営投資会社EnerTechと最大1億ドル相当の投資を含む戦略的提携を締結(12/13)

アフリカで家庭用太陽光発電キットやスマートフォンなどの割賦販売を行う英Bboxxと、クウェートの国営投資会社でありサステナビリティー事業を営むEnerTechが、最大1億ドル相当の投資を含む戦略的提携で合意した。クリーンエネルギー、クリーン調理、eモビリティーや新しく開発される製品を含むクリーンテクノロジーの国を超えたプラットフォーム化において協業する。これによりサービス提供者数を現在の360万人から2028年までに3,600万人まで拡大する。カーボンマーケットの重要なプレーヤーとなりうるクウェートとの協力関係を構築するステップとなる。

Bboxxは、アフリカで家庭用太陽光発電キットやスマートフォン、電動バイク、クリーン調理ストーブなどを割賦販売している。ケニア、ルワンダ、ナイジェリア、ガーナ、セネガル、コートジボワール、トーゴ、ギニア、コンゴ民主共和国、マリ、ブルキナファソの11カ国で事業を展開している。

【ガーナ】ガーナで農家向けプラットフォームを展開する日系スタートアップDegasが、9億7,000万円を調達、脱炭素農業に取り組む(12/13)

ガーナで農家向けプラットフォームを展開するDegasが、日系ベンチャーキャピタルのアニマルスピリッツ、Global Catalyst Partners、博報堂DYベンチャーズなどから6億7,000万円を調達し、同時に株主から3億円を借り入れた。同社は2023年1月に10億円を調達しており、累計調達額は約22億円となった。調達資金は、脱炭素事業への進出に用いる。

同社は、自社開発のシステムに入力した農家に関する情報に基づき与信判断を行い、農業インプットを貸し出し、収穫で返済を受けるサービスを展開している。脱炭素事業では、ネスレと提携し、農家に対してリジェネラティブ農業の手法を導入することで、カーボンクレジットの販売を目指す。

【モザンビーク】住友商事がフランス電力公社、仏TotalEnergiesとともに、50億ドルを投じてモザンビークの水力発電プロジェクトに参画(12/13)

モザンビーク政府と、フランス電力公社(EDF)が率いる住友商事、仏TotalEnergiesなどのコンソーシアムが、50億ドルを投じて新たに水力発電プロジェクトを開発、建設、運営することで合意した。

ダムと水力発電所は、モザンビーク北部のTete州に建設され、第一段階では1,500メガワットの発電を予定している。約1,300キロメートルの送電線により、首都マプトに送電する。2031年の稼働開始を見込む。完成すれば、モザンビークの発電容量を50%以上増強することができる。

コンソーシアム内の持分比率は、EDFが40%、TotaEnergiesが30%、住友商事が30%となる。コンソーシアムがプロジェクトの70%を保有し、モザンビーク電力公社とカオラバッサ水力発電事業会社が30%を保有する。

【コートジボワール】コートジボワールのヘルステックスタートアップSusuが、豊田通商のCVCであるHealth54などから490万ドルを調達(12/14)

コートジボワールとフランスに拠点を置くヘルステックスタートアップSusuが、新たに490万ドルを調達した。今回の投資ラウンドには、アフリカのヘルスケアスタートアップを対象にした豊田通商のCVCであるHealth54、INCO Ventures、Al Mada Ventures、Janngo Capital、Open CNP、Launch Africa Ventures、Five35 Ventures、Plug and Play Ventures、複数のエンジェル投資家が投資した。

Susuは2022年にプレシードラウンドで100万ドルを調達し、2023年6月には米Googleによるスタートアップ支援プログラムGoogle for Startupsに参加するアフリカのスタートアップ25社に選ばれた。今回の調達資金は、提供しているデジタルプラットフォームの強化、人材採用、マーケティングや事業運営および財務のチーム強化に投じる。さらに多くの仏語圏アフリカ諸国や北アフリカ地域への進出にも費やす。

Susuは、糖尿病や高血圧症などの慢性疾患の患者や妊婦といった、長期的な管理が必要な患者に対して、健康状態の追跡や管理、予防的なアドバイスの提供ができるように、継続したパッケージを提供している。患者に必要な医療ケアの予定にあわせて、医師の診察や看護師の訪問、測定値の報告などを組み立て、管理できるようにする。慢性的な疾患に必要な継続した支払いのため、海外などに住む家族も支払いができる月額利用料制を取り入れている。保険会社との協業も進めている。すでにコートジボワール、セネガル、カメルーンで事業を展開しており、3カ国で延べ7,000人超の顧客にサービスを提供してきた。

【エチオピア】TOPPANホールディングスがエチオピアでパスポートや紙幣、有価証券の印刷を行う合弁会社を設立へ(12/16)

TOPPANホールディングス(旧凸版印刷)の孫会社Toppan Gravity Ethiopiaが、エチオピアの首都郊外にある工業団地Bole Lemi Industrial Parkに電子パスポートの印刷工場を設立しサービスを提供するため、エチオピア移民局と契約を締結した。

Toppan Gravity Ethiopiaは、TOPPANホールディングスの香港子会社Toppan Gravity、エチオピアの政府系ファンドEthiopian Investment Holdings(EIH)およびエチオピア現地企業となるエチオピアの国営印刷会社Berhanena Selam Printing Enterpriseとオフィス機器販売会社Educational Materials Production and Distribution Enterpriseによる合弁会社。電子パスポートの導入により、エチオピアのパスポートシステムを刷新する。

合弁会社は、まずは電子パスポート、次に紙幣、そして株式市場の開設を見据えて有価証券の印刷を行うことを計画している。エチオピアの紙幣印刷では、はこれまで独Giesecke+Devrientや英De La Rueなどの欧州企業が行ってきた。Toppan Gravityの投資額は1,500万ドルで合弁会社の51%を保有すると報じられている。

【エジプト】エジプトの医薬品デリバリースタートアップChefaaにエムスリーらが投資(12/18)

エジプトの医薬品デリバリースタートアップChefaaが、新規および既存の投資家から525万ドルを調達した。日本の独立系ベンチャーキャピタルGlobal Brainと南アフリカのベンチャーキャピタルNewtown Partnersが共同でリードインベスターを務め、日本の医療サービス企業エムスリー、Verod-Kepple Africa Ventures、米GMS Capital Partnersが投資した。今回の調達資金は、サウジアラビアでの事業拡大に投じられる。

Chefaaは2017年に設立された。消費者に対して処方箋薬を配送するプラットフォームを提供している。エジプトで事業を開始し、最近進出したサウジアラビアでは8都市で事業を展開している。2カ国合わせて、配送元である薬局を1,100以上抱え、月間アクティブユーザー数は100万人超に達している。

【チュニジア】住友電工がチュニジアでワイヤーハーネスの新工場の建設を開始。欧州の電気自動車向け(12/20)

住友電気工業が、チュニジアにワイヤーハーネスの新工場を開設するべく、建設を開始した。20億~30億円を投資し、2024年~25年に稼働を開始する。

電気自動車の新モデルの投入などにより、ワイヤーハーネスの需要は拡大している。欧州向けの需要に対応するべく、モロッコでも新工場の建設を計画しており、アフリカにおける生産能力を10%程度拡大する。

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