アフリカの電気自動車(EV)市場のトレンドと国別動向
ケニアでの電動バイク、エチオピアの電気自動車に続いて、南アフリカでも電気自動車の普及が進みつつあります。アフリカの電気自動車事情についてまとめてます。

(画像はカナデビアがケニア進出時に提示した予想図、同社資料から)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
カナデビア(旧日立造船)のスイス子会社Kanadevia Inovaと、伊藤忠商事の100%子会社英I-Environment Investmentsが、モロッコの発電・再生可能エネルギー大手Narevaと合弁会社を設立した。モロッコにおいて家庭ごみの回収・管理などの廃棄物管理と、再生可能エネルギーによる発電事業を行う。20年代後半には、処理能力年間数十トンのごみ焼却発電プラントをカサブランカに建設することを計画している。
いすゞ自動車が、2025年中にケニアで15のモデルすべての組み立てを行うと発表した。環境に配慮した高効率車両を推進し、コンプリートノックダウン生産能力を拡大し、ケニアを地域の自動車生産ハブとして位置づける。Isuzu East Africaの50周年記念式典で発表された。
高級SUVの「mu-X」もケニアで組み立て生産し、AfCFTA(アフリカ自由貿易圏)に沿って輸出する。いすゞ自動車は、2025年に30億ケニアシリング(33億円)規模の部品流通センターの起工式を行い、2023年には10億ケニアシリング(11億円)をかけて電着塗装工程を導入し、UDトラックの販売代理店となるなど、事業を拡大してきた。13年連続でケニアにおける新車販売台数のトップを維持している。
2025年8月、日本とケニアは最大250億円となる円建て融資で合意したが、そのうち最大150億円はケニア政府による自動車産業育成のための政策National Automotive Policy(NAP)の推進として、組み立て、部品製造、環境車両の生産、技術者の育成に充てられる。
※1ケニアシリング=1.1円(モーニングスター、9/8)
日産自動車が、同社のe-Power技術を搭載したハイブリッド車を南アフリカで発売することを検討していると明らかにした。
同社はすでに、モロッコ、エジプト、チュニジアでハイブリッド車を発売している。e-Power技術では、小型ガソリンと電気モーターを組み合わせ、エンジンで発電した電力をバッテリーのみで駆動する。電気自動車と比べて大規模なインフラ整備を必要とせず、バッテリーの費用も高くない上、航続距離の不安もないとして、アフリカが電気自動車に移行するにあたって最適な技術だとしている。
日揮ホールディングスが、海外EPC事業会社である子会社の日揮グローバルを通じて、持続可能な航空燃料(SAF)分野で協力するとしてアフリカ開発銀行とMoUを締結した。アフリカにおいてSAF製造やプラント建設を手掛けることを念頭に置く。
日揮は国内での経験を活かし、海外でのSAFプラントの建設を目指している。日本とは違い、アフリカでは人口密度が低く原料となる廃食油を効率よく回収できないため、農作物を原料にする方法について調査をし、供給網構築からアフリカ開発銀行と連携する。
ナイジェリア発の自動車融資スタートアップMooveが、20億ドルを超える評価額をもとに新たな調達ラウンドを実施している。自動運転車両事業に費やすため、3億ドル以上の調達を目指す。同社は2025年7月には、アルファベット傘下のWaymoと共同で、自動運転車両の展開と米国での事業拡大のためデットラウンドを開始し、関係者によると10億ドルを超える資金を確保したとされる。
2020年創業のMooveは、クレジットスコアリングシステムを使用して、ドライバーが配車、物流、配送用に新車を購入できるよう融資へのアクセスを提供し、毎週売上の一定割合で返済できるようにする。現在、アラブ首長国連邦、メキシコ、インドを含む10以上の市場で事業を展開している。
評価額が7億5,000万ドルだった2024年の売上高は5,000万ドルだったが、現在の年間経常収益(ARR)は約4億ドル近くまで伸びたという。2024年9月にはEBITDAで損益分岐点に達した。
ケニアの電動バイクスタートアップArc Rideが、仏サスティナブル投資会社Mirovaから最大1,000万ドルの融資を獲得した。Arc Rideはこの資金を用いて、ケニア全土に600以上のバッテリー交換用キャビネットを設置し、2万5,000個の交換用バッテリーを追加する。返済期間は5年間となる。
Arc Rideは、ケニアの商業二輪ライダーに対し電動バイクを販売している。バッテリーは交換式で、バッテリー交換ステーションで数分で充電できる。これにより車両購入費用を低減し、燃料費と航続距離への不安を解消している。同社によると、電動バイク1台で内燃機関バイクと比較して年間2トンの二酸化炭素排出量を削減できるという。
Mirovaは仏金融機関BPCEグループの資産運用会社Natixis Investment Managersの関連会社でケニアに拠点を持つ。今回の融資は、リスクを低減し将来的に民間投資を呼び込むために、別の触媒的資本も投入されている。
ドイツのエネルギー会社RWEが、100億ドル規模となるナミビアのグリーンアンモニアプロジェクトから撤退したと発表した。欧州における水素およびグリーンアンモニアの需要が予想していたよりも低いと判断し、見直しを行った結果となる。
RWEは、同プロジェクトのためにエネルギー会社独Enertrag、英Nicholas Holdings、ナミビア政府が立ち上げた合弁会社Hyphen Hydrogen Energyとの間で、2022年に拘束力のない覚書を締結し、2027年から年間約30万トンのアンモニアを受け入れるとしていた。アンモニアは通常天然ガスを使用して製造されるが、再生可能エネルギー源を用いて水から抽出した水素を天然ガスに置き換えることで、脱炭素化することができる。
ナミビアの先住民族の権利団体は、2025年4月にRWEに書簡を送り、事業地が国立公園内にあり土地を侵害していると訴えていた。RWEは、同社の決定とこれらの苦情との間には関連がないと述べている。
