
アフリカの電気自動車(EV)市場のトレンドと国別動向
「電力供給が不安定なアフリカで、電気自動車が普及するわけがない」というのが少し前までの大方の見方でした。しかしいま、アフリカで電気自動車が走り始めています
(画像は南アフリカのスズキ車とフォルクスワーゲン車、ABP撮影)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
南アフリカの2月の新車販売台数で、スズキが前月に続きフォルクスワーゲンを上回り、2位となった。首位はトヨタ自動車で、日野自動車を含め1万1,743台を販売した。スズキは6,044台を販売し2位につけた。
販売台数全体では、前年同月比で7.3%増加し4万7,978台となった。前年同月比で増加するのは5カ月連続で、前月1月対比では3.4%増加したNaamsa は、金利の引き下げで自動車ローンが組みやすくなり、需要が刺激されたと背景を語っている。民間部門の1月の融資供与は前年比4.9%増加している。また、2024年第4四半期に失業率が低下し、新たに13万2,000人が雇用されたことが消費者支出を支えたとしている。
2位のスズキに続くのは、独フォルクスワーゲンがアウディ含め5,249台、韓国の現代自動車が3,074台、米フォードが2,900台、いすゞ自動車が2,298台、中国の奇瑞汽車が1,924台、中国の長城汽車が1,713台、インドのマヒンドラが1,610台、日産自動車は1,497台となった。全体のうち84.1%はディーラー向け販売で、レンタカー業界向けが推定11.1%、法人向けは2.2%、政府向けは2.5%だった。
一方で、自動車輸出台数は、2024年に増加した分、前年同月比8.6%減少し、3万4,656台となった。米国の貿易政策の不確実性が輸出の重荷になっているという。
NTTドコモと、NTTとスカパーJSATの合弁会社Space Compassが、ケニアで成層圏通信プラットフォーム(HAPS)を介したスマートフォンを用いたLTEによるデータ通信接続実証実験に成功した。成層圏を飛行する小型固定翼タイプのHAPSドローンを用いて地上のスマートフォンとのデータ通信を確立したのは世界で初めてとなる。エアバスの子会社で、HAPSの設計、製造、運用を行う英Aalto HAPSが実施した。NTTドコモとSpace Compassは、2024年にみずほ銀行、日本政策投資銀行とともにAalto HAPS に出資している。
Aalto HAPSの小型固定翼ドローンZephyrを成層圏に飛行させ、基地局のように用いることで、地上と通信を確立することができる。Aalto HAPSはケニアのLaikipia郡にHAPSステーションを構築している。今回の通信実験では、地上のLTE基地局から送信される電波を高度約20キロメートルのHAPSを介して、地上のスマートフォンに伝送する実験を実施し、4.66Mbps以上のスループットを実現した。ケニア宇宙庁とケニア民間航空局が支援した。
NTTドコモとSpace Compassは、2026年にHAPSを日本で商用サービスとして開始することを目指している。HAPSを用いれば、通信アクセスが困難な地域や、自然災害時などにも通信を提供することができる。
豊田通商傘下のCFAO Mobilityは、タンザニア市場で大型車両のニーズ増加に応えるため、中国の大型トラックメーカー大手Shacmanの販売を開始する。CFAO Mobility Tanzaniaが正規代理店となった。
Shacmanは1968年に設立された。タンザニアでは、インフラプロジェクト、鉱業開発、長距離物流に関わる企業において、コスト効率や燃料効率が良い、高性能な車両へのアクセスが限られているという課題がある。CFAO Mobility Tanzaniaはこれら企業向けに、燃費を抑えながら過酷な地形にも耐えられるように設計されているShacmanトラックと手厚いアフターサービスを提供し、課題を解決するとしている。
化粧品や健康食品原料を取り扱う化学専門商社である岩瀬コスファが、モロッコに現地法人を設立した。海外での現地法人設立は8カ国目となる。モロッコの関連産業に対して製品を供給する。
米国の合衆国輸出入銀行の理事会が、モザンビーク沖合のエリア1鉱区において天然ガス開発・液化を行うMozambique LNGプロジェクトに対する47億ドルの融資を承認した。同プロジェクトは、仏資源大手TotalEnergiesが26.5%の事業権益を保有するオペレーターで、三井物産とJOGMECの合弁会社が20%を保有している。
米国は第1次トランプ政権時にこの融資に同意していたものの、2021年にCabo Delgado州で発生したイスラム系武装勢力による治安悪化により不可抗力が宣言されプロジェクトが凍結されたことから、再度の承認が必要となっていた。米国に続いて英国、オランダの輸出信用機関からの融資再承認を得ることで、不可抗力措置が解除されプロジェクトが再開される可能性が高まる。
楽天シンフォニーと米Airspan Networksが、ケニアの通信事業者Telkom Kenyaとの間で、オープン無線アクセスネットワーク(Open RAN)の技術開発のため、5億6,960万シリング(6億2,000万円)の契約を締結した。日本政府と米国政府がそれぞれ300万ドルと140万ドルの資金を、楽天シンフォニーおよびAirspan Networksが管理するテクノロジー助成金に提供する。
3社は2025年1月に実証を行うためのMoUを締結していた。Open RANの構築、4Gおよび5Gモバイルネットワークの構築、AI技術の導入に向けた取り組みとして、試験施設を設置し、フィールドおよびネットワークテストを実施する。楽天シンフォニーはOpen RANを構成する無線アクセス装置である集中ユニットおよび分散ユニットおよびネットワーク運用システム(OSS)プラットフォームを提供する。
Airspanは、4Gおよび5G向けの無線通信装置とモバイルコアネットワークを提供する。Telkom Kenyaは人的資本と施設を提供する。
※1ケニアシリング=1.1円(モーニングスター、3/18)
産業用チェーン大手の椿本チエインが、南アフリカに駐在員事務所を設立した。欧州法人の営業活動をサポートする。
豊田通商傘下CFAO Mobilityの子会社Loxea Nigeriaが、中国BYDの電気自動車の販売を開始した。
BYD Atto 3とBYD Dolphinを販売する。充電ステーションの整備、メンテナンス、修理サービス、純正スペアパーツの供給も行う。ラゴスのショールームに、BYDの充電ステーションを設置する。
BYDは2024年11月に新エネルギー車(NEV)の生産台数1,000万台を達成している。2024年の年間NEV販売台数は427万台だった。