アフリカにおける日本企業の動き(2024年7月)

アフリカにおける日本企業の動き(2024年7月)

(写真はシャープや東芝の白物家電が販売されているエジプトの店舗、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【ウガンダ】日本信号がウガンダに営業所を設立(7/1)

日本信号がウガンダに営業所を設立した。ODA案件における市場調査や交通渋滞解消に向けた提案活動を継続的に行い、ウガンダから東アフリカや西アフリカ、南部アフリカへと事業を拡大する足がかりにする。

同社はウガンダにおいて交通信号納入などのODA案件の実績がある。

【ケニア】豊田通商のケニア子会社が社名変更、電気自動車の販売を開始すると発表(7/8)

豊田通商の完全子会社CFAOのケニア子会社が、電気自動車の販売を間もなく開始すると発表した。同社はブランド戦略を見直し、社名をCFAO Motor KenyaからCFAO Mobility Kenyaに変更している。

CFAO Mobility Kenyaはケニアで、トヨタ自動車、スズキ、フォルクスワーゲン、メルセデスベンツの乗用車、日野自動車、現代自動車、Sinotruk(HOWO)の商用車、ヤマハ発動機の二輪車の正規販売代理店を務めている。ケニア全国に計42の支店、ディーラーないしサービス拠点を構えている。中古車販売、修理サービスや部品販売事業も手掛け、事業を多様化している。

ケニア自動車工業会(KMI)のデータによれば、トラックや中型および大型バスを除いた一般セグメントにおいてCFAO Mobility Kenyaのシェアは59%を占めている。同社は2023年に乗用車と商用車を合わせて計3,639台を販売しており、新規登録台数に占める割合は2022年の28%から32%に上昇した。

【コンゴ民】コンゴ民の日産自動車の販売ディーラーCongo Motorsとケニアの金融機関Equity Group Holdingsのコンゴ民子会社が、農機への融資で提携(7/8)

コンゴ民主共和国の日産自動車の販売代理店であるCongo Motorsが、ケニアの金融機関Equity Group Holdingsのコンゴ民子会社Equity BCDCと、農機への融資を行うため提携した。Congo MotorsはCASEの農機を取り扱っている。同社でのトラクターを含む農機の購入費用のうち最大80%に対してEquity Bankが融資する。担保がなくても融資が受けられるという。

コンゴ民主共和国は農業の高いポテンシャルを持つにもかかわらず、国内で消費する食料品を依然として輸入に頼っている。同国政府は農地の開発を推進するため、農業の機械化を重要な投資分野のひとつに設定している。

コンゴ民主共和国のGDPのうち農業は17%を占めており、労働力人口のうち約56%が農業に従事している。国連食糧農業機関(FAO)のデータによれば、同国は8,000万ヘクタール近い耕地面積を有し、灌漑可能な土地の総面積は400万ヘクタールにのぼるものの、耕作が可能な土地のうち1%しか利用されていない。

【セネガル】ソニー・ミュージックソリューションズが、日系ダンススタートアップでセネガルに進出予定のアノマリーの資金調達に参加(7/10)

ソニー・ミュージックソリューションズが、日系ダンススタートアップであるアノマリーの調達に参画した。総額2億8,000万円の資金調達には、ほかにマンダム、SFプロパティマネジメントが参加した。調達を経てアノマリーは、2024年下半期にセネガル、メキシコ、バーレーンに新たな拠点を設立する。

同社はダンスイベントの開催やダンスを用いたメディアや映像事業を展開しており、セネガルでもこれらオフライン事業を行う。あわせてデジタル上で管理できるダンス著作権管理プラットフォームの開発を行っており、ゲームやメタバース、アバターへ融合させることを計画している。

【ケニア】ケニアの自動車ディーラーSimba Corpが、印マヒンドラの電気乗用車の販売を開始、今後三菱ふそうトラック・バスの電気商用車の販売も視野に(7/11)

ケニアの自動車ディーラーSimba Corpが、電気自動車の販売を開始した。インドの自動車・農機大手Mahindra & MahindraのSUVであるXUV 400を、ケニアの国営送電会社Kenya Powerに1台あたり900万ケニアシリング(1,000万円)で2台販売した。2024年内に同じ車両4台を追加で販売することを予定している。

Simba CorpはMahindra & Mahindraのほか、三菱自動車やマレーシアProtonといったメーカーの乗用車と商用車の販売代理店を務めている。今後も、三菱ふそうトラック・バスの小型電気トラックeCanterなど、取り扱いメーカーの電気自動車を販売する計画だという。電気自動車の販売とメンテナンスの拡大に備え、自動車組立請負業者Associated Vehicle Assemblers(AVA)や主要な修理工場への投資を継続する。

Kenya Powerは電気自動車の普及を促進する方針をとっており、4月には電気自動車の購入と充電ステーションの設立に今後3年間で2億5,800万ケニアシリング(3億960万円)を投じると発表している。
※1ケニアシリング=1.2円(モーニングスター、7/12)

【モロッコ】日本たばこ産業の子会社JTインターナショナルが、モロッコでたばこ製造工場建設。環境に配慮したグリーン工場を建設へ(7/20)

日本たばこ産業の子会社JTインターナショナルが、モロッコに9億3,120万モロッコディルハム(130億円)を投じてたばこ製造工場を建設する。モロッコ北部Tanger Med Zones内の工業団地Tetouan Parkに設置する。

環境に配慮したグリーン工場を標榜し、LED照明を用い、照明、空調、熱管理を自動制御で行う。工場の非飲料需要向けに、雨水を収集しリサイクルする装置も導入する。初期は国内需要を満たす程度の製造能力から開始し、将来的には輸出を行う規模まで拡大する可能性がある。

モロッコは、外資の投資と開発を誘致するべくインセンティブを提供するMade in Morocco施策をとっており、今回の投資もその一環となる。
※1モロッコディルハム=15円(モーニングスター、7/24)

【南アフリカ】南アでトヨタフォークリフト向けにリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを納入している南アBalancellが、8,000万ランドを投じて新工場を建設へ。生産能力を約10倍に(7/22)

南アフリカのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーメーカーBalancellが、8,000万ランド(6億6,000万円)を投じてケープタウンに新工場を建設する。現在の生産能力は年間250メガワットアワーであるところ、約10倍の年間2~3ギガワットアワーまで増強する。

Balancellの最大の顧客は、豊田自動織機の産業車両部門であるToyota Material Handlingで、南アフリカでは豊田通商傘下のCFAO South Africaの1部門であるCFAO Equipment SAが取り扱っている。

Balancellは創業当時から、南アフリカのトヨタのフォークリフト向けに、バッテリーとリアルタイム通信機能を備えたバッテリー管理システムを納入してきた。これまで3,500個以上、容量にして計5万9,500キロワットアワー以上のバッテリーを搭載してきたという。Balancellが取り扱うリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは高温環境での安定性が高いことが特徴で、Balancellはさらにバッテリーに3段階の安全機能を組み込むことで発火リスクを抑えている。欧州のフォークリフト市場ではまだ鉛蓄電池が主流で、南アフリカは産業車両にリチウム電池をいち早く取り入れた国のひとつだという。

Balancellは最近ではナイジェリアの工場から2.5メガワットアワーの大型バッテリーを受注しており、9月にポルトガルへの納入も予定している。今後は電気バスや採掘用機関車向けの販売も目指している。同社のバッテリーの現地調達率は価格ベースで35~45%で、バッテリーのセル以外は全て国内で調達している。
※1ランド=8.3円(モーニングスター、7/26)

【エジプト】シャープがエジプトで合弁設立し、冷蔵庫工場を新設へ(7/25)

シャープが、エジプトの家電製造・販売El Arabyと、冷蔵庫と冷凍庫を製造する工場の建設とそのための合弁会社設立で合意した。合弁会社への出資比率はシャープが20%、El Arabyが80%で、合計出資額3,000万ドルのうち600万ドルをシャープが出資する。

容量600リットルの大型冷蔵庫や縦型冷凍庫を製造し、年間40万台の製造を目指す。工場はQuesna市のMubarak Industrial Zoneに建設し、2026年3月からの稼働を予定している。多軸ロボットを採用し移載作業を自動化する。エジプト国内で販売するだけでなくアフリカや中近東市場向けへの輸出を目指す。

El Arabyへの冷蔵庫の製造委託は2014年から開始した。現在は冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、テレビの製造と販売をEl Arabyに委託している。El Arabyへ委託した冷蔵庫の年間生産台数は約33万台となっている。

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