アフリカにおける日本企業の動き(2024年1月)

アフリカにおける日本企業の動き(2024年1月)

(写真はソニーのアフリカエンタメファンドが投資したCarry1st、同社サイトより)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

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【南アフリカ】南アフリカにおける2023年の国内新車販売台数は前年比0.5%増の横ばいだったものの、トヨタが27%までシェアを高め首位。輸出台数は12.7%増で過去最高を記録(1/9)

南アフリカ自動車製造業者協会(Naamsa)によると、南アフリカの2023年の国内新車販売台数は前年比0.5%増の横ばいとなった一方、輸出台数は前年比12.7%増加し過去最高の39万6,290台に達した。国内向け新車のうち、乗用車は振るわなかったものの、バンや大型商用車は二桁の伸びとなった。トヨタ車の国内販売台数は前年比8%増加し、前年の24.9%から26.8%へとシェアを高めた。

2023年の国内新車販売台数は53万2,098台で、コロナ前である2019年の53万6,612台を依然として下回っている。前年比の増加率は、2021年が22.2%、2022年が13.9%であったのに対し、2023年は0.5%に留まった。車両のセグメント別に見ると、乗用車は前年比4.4%減の34万7,695台、バッキーやバンおよびミニバスは11.6%増の15万1,499台、中型商用車は0.6%減の8,258台、大型のトラックおよびバスは12.8%増の2万4,646台となった。

年間を通じて、トヨタ自動車のピックアップトラックであるハイラックスや、独フォルクスワーゲンの乗用車Polo Vivo、米フォードのピックアップトラックであるレンジャーなどが販売台数の上位を占めた。Naamsaは大型トラックおよびバスの販売が好調だった理由として、鉄道輸送からトラックによる貨物輸送へのシフトが起こったことを挙げている。Naamsaはまた、自動車の販売台数はGDPと比例する傾向があり、南アフリカの2024年のGDP成長率は1%程度であることから、販売台数は5%程度の伸びが期待できるとした。

輸出台数は前年比12.7%の39万6,290台となり、コロナ前の2019年の38万7,092台を上回る過去最高を記録した。南アフリカでは、国内で生産される車両の3分の2が輸出されている。

【南アフリカ】三菱重工業の英国子会社Primetals Technologiesが、南アフリカ最大手アルミニウムメーカーHulaminから、冷間圧延ライン向けホットエッジインダクターを受注(1/10)

三菱重工業の英国子会社Primetals Technologiesが、南アフリカ最大手のアルミニウムメーカーHulaminから、工場の冷間圧延ラインをアップグレードするための機器の導入を受注した。ホットエッジインダクターという機器で、アルミ缶製造における品質向上や生産能力の強化が可能になる。2024年第1四半期中の導入を予定している。

Primetals Technologiesはインダクターシステムの設計、調達、製造、供給、実装を行う。平坦度を制御するシステムにおいて、ホットエッジインダクターにより追加で熱を加えることで平坦度を制御し、製品品質と高速圧延を担保する。

Hulaminは、アルミニウムの圧延品、押出成形品、容器を製造している。製造した製品の60%以上を南アフリカ国外に輸出している。

【南アフリカ】日本が解禁した南アフリカ産アボカドの輸出が、6月に開始される見込み(1/11)

南アフリカが日本へのアボカドの輸出を開始する。ダーバン港の準備が整い稼働すれば、6月に開始される見込みである。日本の農水省は、南アフリカ産アボカドの日本への輸入について、病害虫への対策が進んだとして2023年11月に解禁していた。輸出に際しては2度の低温環境を19日間維持することが条件となる。日本は東アジア最大のアボカド輸入国かつ消費国で、年間10万トン近くを消費している。

南アフリカが輸出しているアボカドの仕向地は、EU諸国や英国が95%を占めているため、日本への輸出を開始することで輸出先を多様化することができ、リスク分散に繋がる。新市場を開拓することでアボカド生産の継続的な拡大が可能になり、南アフリカでの新たな雇用創出、外貨の獲得、貧しい農村地域の生計向上に繋がる効果が期待される。

ダーバン港は、港を拡張して、青果物輸出ができるような設備を設置している最中にある。完成次第、アボカドの出荷が可能となる。

【モザンビーク】三井物産が出資する大手農業商社ETGが、モザンビークの港湾でかねてから係争中の現地商社Royal Groupにより6,100万ドル相当の作物を略奪される(1/16)

三井物産が出資する大手農業商社ETC Group(ETG)が、モザンビークの商社Royal GroupがETGの倉庫から約6,100万ドル分となるキマメなどの作物を略奪したと発表した。ETGによると、Royal Groupはナカラ港とベイラ港で作物を略奪し、インドへ輸出しようとしているという。ETGはRoyal Groupによる輸出を阻止するため訴えを起こし、裁判所は輸出の停止を認めた。

ETGはモーリシャスに本拠を置き、アフリカで40年間に渡って事業を行う大手農業商社で、三井物産、南アフリカの国営投資会社Public Investment Corporation、サウジアラビアの化学メーカーSABICなどが出資している。

ETGとRoyal Groupのトラブルの発端は2022年に遡る。Royal Groupは、同社がモザンビークからインド向けに輸出した大豆などの作物を載せた貨物船について、遺伝子組み換え商品を含まないという虚偽の申告をしていると複数の競合他社がインド政府に密告したせいで損害を被ったとして訴えを起こした。ETG以外の競合は和解に応じたが、ETGは現在も損害賠償請求の一部として命じられた6,000ドルの差し押さえに対して法廷で争っている。今回Royal Groupが略奪したとする作物の価値は、差し押さえ金額に合致している。

ETGは、モザンビーク政府がRoyal Groupによる不当な略奪を助けたとして、介入を求める書簡を大統領に送付している。モザンビークでは、農産物の輸出に政治家が干渉する事態がしばしば発生しているという。かつて「マグロ債」と呼ばれる融資20億ドルを巡る不正スキャンダルがあり、今回の事件が政府の汚職への懸念を再燃させる可能性があるという指摘がある。

インドのキマメの輸入量の半分はモザンビークが供給しており、国内産地の降雨量の減少によりインドでは前年以上の輸入が必要となっている。モザンビークでのETGとRoyal Groupの対立が出荷を妨げており、インドでの価格を押し上げ、供給懸念を生んでいる。

【ケニア】清水建設がケニアに支店を開設(1/19)

清水建設がケニアに支店を開設した。これまでドバイにおいていたアフリカ事業の管轄拠点をケニアに移す。各国政府やアフリカ進出企業の建設ニーズを現地にて捉え、アフリカ事業の展開を強化する。
同社は1960年代終盤にアフリカの建設市場に進出し、これまで15カ国で道路、高架橋、病院、学校など90件以上のインフラ建設を行ってきた。

【ケニア】ソフトバンクビジョンファンドが出資するケニアの小規模農家向けプラットフォームApollo Agricultureが、デットで新たに1,000万ドルを調達(1/29)

ケニアの小規模農家向けプラットフォームApollo Agricultureが、デットで新たに1,000万ドルを調達した。スウェーデンの政府系投資ファンドSwedfundに加え、ドイツ投資開発公社DEGがImpactConnectを通じて資金を提供した。今回の調達資金はケニアでの事業拡大に投じる予定で、新たに40万人の農家にサービスを提供することが可能になる。

Apollo Agricultureは2016年に設立された。アプリを介して、農家に融資、保険、農業インプットの販売、栽培方法のアドバイス等を提供している。融資の与信審査では、AIを用いて衛星画像を分析した結果やリモートセンシング、アプリでの決済データを用いて信用評価を行っている。ケニアとザンビアで35万人以上の小規模農家にサービスを提供している。2022年には、ソフトバンクグループのCVCであるソフトバンクビジョンファンド2が率いるシリーズBラウンドで4,000万ドルを調達している。

【エチオピア】住友商事が出資するサファリコムエチオピアが、モバイルマネーM-Pesaの加入者数が12月末時点で310万人に到達したと発表(1/30)

ケニアの通信大手サファリコムのエチオピア子会社Safaricom Telecommunications Ethiopiaが、同社のモバイルマネーM-Pesaの加入者数が2023年12月末時点で310万人に達したと発表した。

サファリコムエチオピアは、2022年10月に事業を開始し、2023年8月にM-Pesaの提供を開始した。9月末時点の加入者数120万人から3倍近くに増加した。9月末から12月末の間に、M-Pesaの取引総額は30億ケニアシリング(27億円)から185億ケニアシリング(160億円)に、総取引件数は200万件から920万件に、M-Pesa加盟店数は1万2,400から4万3,100に増加した。好調なスタートを切ったものの、競合となる国営通信会社エチオテレコムが2021年に開始したモバイルマネーTelebirrの加入者数は、2023年12月末時点で4,100万人に達している。12月末時点のM-Pesa売上高は4,490万ケニアシリング(4,080万円)だった。

サファリコムエチオピア全体における2023年12月までの9カ月間の売上高は、48億2,000万ケニアシリング(43億円)となった。延べ加入者数900万人中、12月末時点の3カ月アクティブ加入者数は430万人で、9月末時点の410万人から増加した。基地局数は2,242に達し、うち1,252基地局は自社で建設した。カバー率は人口の33%となり、33都市でサービスを提供している。2024年3月期の資本的支出は400億~450億ケニアシリング(360億~409億円)を計画していた。
※1ケニアシリング=0.91円(モーニングスター、2/1)

【南アフリカ】昨年設立されたソニーのアフリカエンタメ特化ファンドが、第1号案件としてアフリカの大手ゲームパブリッシャー南アCarry1stへ投資(1/31)

ソニーが設立したアフリカのエンターテイメントに特化したファンドSony Innovation Fund: Africaが、アフリカの大手ゲームパブリッシャーである南アフリカCarry1stに戦略的投資を行った。金額は非公開。ソニーグループが持つゲームやエンターテイメント業界への専門知見を用いたシナジーを見込むとともに、ソニーグループ各社のアフリカでのビジネスチャンスの探索に生かす。

ソニーは2023年末にCVCを通じてアフリカに特化したファンドを立ち上げた。今回が第1号案件となる。ゲーム、音楽、映画、コンテンツ配信などに関連するアーリーステージおよびシードステージのスタートアップに計1,000万ドルを投じる予定である。

Carry1stは2018年に設立された。モバイルゲームのパブリッシング事業を展開しており、これまでにアフリカ全土の数百万人にゲームを配信してきた。米Activision、フィンランドのSupercell、米Riot Gamesといった世界大手ゲーム制作会社と提携しゲームを提供する。独自のマーケットプレイスと決済機能も持つ。これまでに6,000万ドル程度を調達しており、既存投資家にはAndreessen Horowitz(a16z)、BITKRAFT、Google、Riot Games、Nasが含まれる。

【ルワンダ】三菱商事が出資する家庭用太陽光発電キットやスマートフォンなどの割賦販売を行うBboxxが、本社を英国からルワンダに移転すると発表(1/31)

家庭用太陽光発電キットやスマートフォンなどの割賦販売を行う英Bboxxが、本社を英国からルワンダに移転すると発表した。ルワンダでは今後5年間で1億ドル以上を投じ、1,000人超の現地スタッフにトレーニングを提供する。Bboxxはサービスの提供者数を、現在の300万人超から2028年までに3,600万人まで10倍に拡大することを目指している。

Bboxxは2010年に設立された。アフリカやアジアで家庭用太陽光発電キットやスマートフォン、クリーン調理ストーブ、電動バイクなどを割賦販売している。アフリカの11カ国で事業を展開しており、直近では2021年にナイジェリア、2022年にセネガル、コートジボワール、ガーナ、マリに進出した。ルワンダでは全世帯の10%以上にサービスを提供している。2023年12月にはクウェートの投資会社EnerTechとの間で、新規顧客へのサービス提供での協業や1億ドルの投資を含む提携を結んでいる。

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