
- アフリカのビジネス環境
(写真は大塚製薬のエジプト工場、ABP撮影)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
いすゞ自動車の南アフリカ法人Isuzu Motors South Africaは、ピックアップトラックD-Maxの新型車両の国内生産開始に伴い、部品の現地生産を促進するべく5億8,000万ランド(46億円)を投資した。Isuzu Motors South Africaの黒人経済力強化政策(B-BEEE)レベルは2年連続でレベル1を維持している。
Isuzu Motors South Africaによると、関連部品の同社が保有する知的財産権が保護されたため、南アフリカで現地企業と協力して部品を持続的に製造し供給を受ける体制が整ったという。107社の現地部品メーカーと協業する。
※1ランド=8.1円(モーニングスター、5/6)
独ダイムラーの南アフリカ子会社Daimler Trucks and Buses Southern Africa(DTBSA)は、ダイムラー傘下である三菱ふそうトラック・バスの電気小型トラックeCanterが南アフリカで認証のプロセスにあると明らかにした。
認証が得られ次第、2台を使って実証実験を開始する。eCanterの現行モデルはすでに複数の国で実証実験が行われているのの、南アフリカでは最終モデルの実証を行う。
三菱ふそうトラック・バスは2017年に日本でeCanterの初代モデルを発売した後、2020年には日本市場向けに安全機能を追加した改良モデルを投入した。これまで日本や欧州、米国、ニュージーランドで350台以上のeCanterが導入されており、総走行距離は450万キロメートル以上となっている。2022年初頭に次世代eCanterのテスト車両を公開しており、発売に向けて開発や試験を進めている。発売までに100万キロメートルの走行試験を実施することを予定しているという。
ケニアの通信大手サファリコムや住友商事が出資するエチオピアの新しい通信会社Safaricom Ethiopiaと、エチオピアの大手銀行Dashen Bankが、エチオピア政府が実施する国民IDのデジタル化を進めるプログラムNational Identification Card Program(NIDP)に関するMoUを締結した。
エチオピア政府は、国家戦略Digital Strategy of 2025の一環として、2025年までに全国民の国民IDをデジタル化するという目標を掲げている。実現するには、顔写真などのデータに加え、指紋や虹彩スキャンなどの生体認証情報を収集する必要がある。
今回のMoUに基づき、Safaricom Ethiopiaは、デジタルIDやオンラインでの本人確認(e-KYC)に関連するエチオピア政府との共同プロジェクトを立ち上げたり、デジタルIDの実現に必要な機器を供給したりする。またDashen Bankは、自社の顧客が速やかにデジタルIDを取得できるようにする。同行は、自社の支店でデジタルIDのパイロット事業を行うべく、システム統合の準備も進めているという。
産業用タンクなどの生産設備を製造する森松工業の中国法人である森松集団が、モジュール式ワクチン工場をモロッコに向けて上海から輸出した。無菌充填と包装ができる4万立方メートルの設備で、海上輸送を経て6月中旬にモロッコに到着する。モロッコが2022年1月から建設を開始したワクチン工場が所在するBenslimaneに設置される。
森松集団によると、設計に2カ月、製造に4カ月を要し、モロッコ到着後も設置と試運転に約2カ月かかるという。
モロッコがすでに建設を開始しているワクチン充填工場は、Mohammed VI基金やスウェーデンの医薬品受託メーカーRecipharm、モロッコの銀行3社により設立されたSensyo Pharmatechによるもので、2023年までに1億1,600万回分のワクチンの製造を目指している。
ブリヂストンが、南アフリカで農機向けに設計された高性能タイヤシリーズを発売し、農業分野に参入した。
南アフリカで発売したタイヤの種類はコンバイン向けのVT-combine、トラクター向けのVT-TractorおよびVX-Tractorの3種類で、低燃費での走行が可能かつ、耐久性に優れている。ブリヂストンは今後、需要に応じて南アフリカで販売する製品の種類を増やすという。
ブリヂストンはFirestoneブランドで農機用のタイヤを販売してきたが、2013年からはブリヂストンのブランドにて欧州で販売を開始し、市場でシェアを占めている。今回はこのブランドを南アフリカに投入する。
大塚製薬工場は、大塚製薬のエジプト子会社であるEgypt Otsuka Pharmaceuticalが、エジプトの製薬会社Gypto Pharma for Trading and Pharmaceutical Manufacturing(Gypto)と共同出資して新会社Otsuka Gyptoを設立すると発表した。両社は2021年に、エジプトにおける医薬品製造とその中東アフリカ諸国への輸出を促進する目的で、戦略的提携を結んでいた。
Egypt Otsuka Pharmaceutical はエジプトで、輸液や処方薬といった医療用医薬品をエジプト国内で販売するとともに、中東やアフリカ諸国に輸出している。国内向けに医薬品を製造販売しているGyptoは、エジプト政府が提唱する、エジプトを国際品質規格に準拠した水準の医薬品を製造する中東・アフリカ地域における医薬品製造の中心拠点とすることを目指すThe Medical City of Egyptプロジェクトを率いる企業のうちの1社。Egypt Otsuka Pharmaceuticalは今後、新会社Otsuka Gyptoを通じて、同社製品の輸出先を拡大する。
大塚ホールディングスは1970年代から医薬品関連事業の海外展開を開始した。輸液事業に関しては現在、世界各国の15社を通じて事業を展開している。Egypt Otsuka Pharmaceuticalは、1977年に設立されたArab Otsuka Pharmaceuticalを前身企業として、1992年に設立された。
三菱商事が出資し、アフリカで家庭用太陽光発電キットを割賦販売する英Bboxxが、インフラ投資会社、英InfraCo Africaから転換社債の形で1,500万ドルの投資を受ける。
これまでBboxxは、ルワンダやケニア、トーゴ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国などの国々で事業を展開し、世界中で250万人以上の人々に電力サービスを提供してきた。今回の発表は、InfraCo Africaの姉妹会社GuarantCoが、Bboxxのケニア事業を支援するために1,500万ドルのローンの部分保証を提供するのに続く。
ドローン事業を展開する独Wingcopterが、アフリカ全土で事業を展開するため、アフリカで20年以上の事業経験を持つ投資会社Atlantic Trust Holdingの子会社Continental Dronesとの提携を発表した。
Wingcopterはアフリカでのドローンの飛行を2023年第1四半期に開始する計画で、今後5年間でサブサハラアフリカ49カ国にて自社のドローン1万2,000機を飛ばすことが目標だという。Continental DronesがWingcopterのドローンのディストリビューターを務める。
Wingcopterは2017年に設立された。ドローンを使った配送事業を行っており、13ポンドの荷物を最大68マイル運べる大型の固定翼ドローンWingcopter 198を使用している。このドローンは同時に3つの荷物を運んで個別に地面に降ろせるため、1度の飛行で複数の配達が行える。また、パイロットは同時に最大10台のドローンをリモートで監視して飛行を制御できる。陸上輸送に比べ、温室効果ガスの排出量が少ないこともメリットとなっている。
すでにWingcopterは、米国とマラウイで現地の病院と提携し、医薬品などをドローンで配送している。今後は食料などに配送の対象を広げる計画で、特にインフラが整備されていない遠隔地や、干ばつや感染症の影響を受けている地域にドローンで食料を届ける。
Wingcopterは2021年の初め、米ベンチャーキャピタルXplorer Capital率いるシリーズAラウンドで2,200万ドルを調達している。
大塚製薬のエジプト子会社Egypt Otsuka Pharmaceuticalは、3,000万ドルを投資してエジプトに健康飲料やサプリメントの新工場を建設すると発表した。
大塚製薬は1977年からエジプトで輸液や医薬品の製造を開始し、1992年にEgypt Otsuka Pharmaceuticalを設立した。10th of Ramadan cityに所在する輸出特区に工場を持ち、現在は輸液、注射液、アミノ酸製剤、経腸栄養剤、処方薬などの医療用医薬品を製造し、輸出とエジプト国内への販売の両方を行っている。
大塚製薬の親会社大塚ホールディングスは、世界32の地域で事業を展開し、194社のグループ会社を抱え、約4万7,000人を雇用している。
いすゞ自動車が、ガーナで自動車の組み立て生産を開始する。ISUZU South Africaの代表がガーナ大統領への表敬訪問を行い公式に発表した。ISUZU South Africaが国外で生産を行うのは初めて。組み立ては、ガーナにおけるいすゞ自動車の正規ディーラーであるMAC Ghanaが行う。
ガーナ政府は国内の自動車産業の発展に積極的に取り組んでおり、投資を呼び込んで工場の設立を促すための政策を打ち出している。今後もガーナで事業を行う自動車業界からのフィードバックを踏まえて、政策をブラッシュアップしていくという。