- アフリカのビジネス環境
アフリカにおける日本企業の動き(2020年10月)
(写真はアンゴラの首都ルアンダ、ABP撮影)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
- アフリカにおける日本企業の進出事例の一覧は、「日本企業のアフリカ進出動向と事例」からご覧ください。
- アフリカにおける日本企業の最新のニュースは、週刊アフリカビジネスで毎週紹介しています。ご購読を申し込むとメールで情報が届きます。
【ウガンダ】豊田通商がアフリカのスタートアップ向け投資会社Mobility 54を通じてウガンダの二輪車リースTugendeへリードインベスターとして出資(10/5)
豊田通商は、モビリティー関連のスタートアップ向け投資などを行う投資会社Mobility 54を通じて、二輪車へのリースを行うウガンダのTugendeに400万ドルを出資した。出資ラウンドはシリーズAで、Mobility 54をリードインベスターとしてあわせて630万ドルが出資された。他の投資家は米Global PartnershipのSocial Venture Fundや既存投資家のDenali Venture Philanthropy、Segal Family Foundationなど。
Tugendeは2012年にウガンダで設立された。バイクタクシーのドライバーに対してバイクを所有権移転ファイナンスリースにて提供している。あわせて安全運転トレーニングや金融リテラシー教育、医療保険、生命保険、ヘルメットなどの安全装備をパッケージとして提供する。2万2,000人を超える顧客を持ち、ウガンダに17カ所、ケニアに1カ所の支店を持つ。
今回の調達資金を活用し、バイク向け融資を拡大するとともに、電動二輪車の展開や、小売店や農業向けといったバイクドライバー以外への融資の開始といった多様化を促進する。他国展開についても進める構え。
同社は過去には、Partners Group Impact Investments、米Development Finance Corporation、 Symbiotics、 Frankfurt School Financial Services、ADA Microfinance、Agora、Yunus Social Business、 Global Social Impact Fund、Oikocreditなどから2,000万ドルの融資を得ている。
【エジプト】住友電工が10億エジプトポンドを投じてエジプトにワイヤーハーネス工場を追加新設(10/6)
住友電工グループが、エジプトの10th of Ramadan Cityの貿易自由特区に新たな工場を開設する。10億エジプトポンド(67億円)を投じて、自動車用ワイヤーハーネスや電線を欧州に輸出する工場を追加する。2020年12月中に開設する予定。
同社はエジプトで、Port Saidや6th of October cityに複数の工場を持ち、これまで総額80億エジプトポンド(530億円)を超える投資を行っている。
エジプト投資・フリーゾーン庁(General Authority for Investment and Free Zones、GAFI)は、エジプトをグローバルサプライチェーンの戦略的拠点とするために、企業に対して支援を行うという姿勢を示している。住友電工グループに対しても、事業拡大を促すべく、施設やインセンティブの提供を行うとしている。
※1エジプトポンド=6.7円(モーニングスター、10/7)
【南アフリカ】コロナ禍で新車販売が落ち込むなか、スズキが南アフリカで過去最高の月間販売台数を達成(10/8)
スズキの南アフリカ販売子会社Suzuki Auto South Africaが、9月に1,787台を販売して過去最高の販売台数を記録した。
販売台数はSUV、商用車の合計。コロナウイルスの感染拡大により国内経済がダメージを受ける中で、2月の販売台数1,696台を超えた。南アフリカにおける国内販売ランキングで6位に躍進し、乗用車市場シェアは史上最高の7.46%となった。コロナ禍で消費者の購買意欲が鈍り、新車販売市場全体が前年9月対比で23.9%の売上減となるなかでの販売増となる。
スズキによれば、9月の販売台数にはレンタカー会社による320台の購入が含まれ、その他はほぼ全てディーラーを通して販売された。レンタカー会社にとって故障や不具合は時間的に修理ができず顧客からのクレームにつながるため、スズキの車両品質の高さが評価されているのだという。
現在、同社で最も人気のある車種はエスプレッソとスイフトで、9月はエスプレッソが538台売れ首位で、次にスイフトの533台が続いた。
【モロッコ】三井物産が温室効果ガス排出ゼロに向けて、モロッコとアジア3カ国に所有する石炭火力発電事業の株式を2030年までに完全売却する計画を明らかに(10/12)
三井物産は、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするという同社が掲げる目標の達成に向けて石炭からガスへの転換を進める中、モロッコおよびインドネシア、中国、マレーシアのアジア3カ国で所有する石炭火力発電事業の株式を2030年末までに完全売却する計画を明らかにした。
三井物産の利益のうち、約3分の2がエネルギー、金属事業により生み出されている。エネルギー事業においてはその資産が算出する原油は日あたり7万8,000バレル、ガスは石油換算で18万1,000バレルとなる。モザンビークとロシア北極圏でおよそ4年後に開始が計画されているLNGプロジェクトが稼働すれば、原油比率は2030年までに低下する見込み。
同社は、海上風力発電や水素プロジェクトにも取り組んでおり、再生可能エネルギーへの転換を進める中で、不安定な再生可能エネルギーを補完するのにガスは相性のよい電力源であると見ている。
【ガボン】日本無線が仏ErametのMoandaマンガン鉱山にプライベートLTEシステムを納入へ(10/19)
日清紡ホールディングス傘下の日本無線が、仏Geka Telecomから、ガボンのMoanda鉱山向けとして、基地局や管理装置を含むプライベートLTEシステムを約4,000万円で受注した。
鉱山採掘現場は通信環境が整っていないことが多いが、同社の通信機器は1台で半径1~2キロメートルに電波を飛ばすことができるため、鉱山機械の遠隔操作が可能となる。業務運用プロセスをデジタル化することで、保守点検業務などのためのデータ収集を効率化し、故障の予知や検出により不稼働損失も減少させる。装置の大きさや重さは競合製品の3分の1程度にし、設置費用も抑えている。
地域限定型のプライベート通信システムは、工場内の機器の遠隔制御などで活用が進んでいる。日本無線は2025年12月期までに同システムを中心とする事業の売上高を100億円規模に成長させることを目指す。
Moanda鉱山は仏Eramet社傘下であるガボンのComilogが保有するマンガン鉱山。マンガン鉱石の生産量では世界2位となる。
【ケニア】豊田通商がバス事業者向け運行管理システムを提供するData Integrated Limitedへ投資(10/20)
豊田通商は、アフリカのモビリティ事業に特化した投資会社Mobility54を通じて、ケニアでバス事業者向け運行管理システムを開発、提供するData Integrated Limitedへ投資した。
Data Integrated Limitedはナイロビを中心に、バス組合に対して運行管理システム、発券システムを提供している。加えて、コロナウイルス感染拡大後における交通機関のキャッシュレス化に伴い、一般乗客向けのバス検索、予約、決済アプリの配信を開始した。
【南アフリカ】トヨタ自動車の南アフリカにおける中古車販売台数がコロナ前の水準まで回復(10/21)
トヨタ自動車の南アフリカ子会社Toyota South Africa Motors(TSAM)は、コロナウイルス感染拡大を受けて、新車の販売は年内は低調に推移するものの、中古車の販売はすでにコロナウイルス発生以前の状況に戻ったという見方を示した。
TSMAの中古車事業であるAutomarkの販売台数は、コロナウイルス感染拡大以前の1月と2月にはそれぞれ4,506台、4,131台だった。ロックダウンが最も厳しかった4月は46台、5月は1,322台に減少したものの、7月以降回復し始め、7月4,491台、8月4,376台、9月4,617台と推移している。9月の販売台数の約72%はトヨタ車で、残りの28%は他のブランドだった。
同社は、南アフリカの経済環境は依然として厳しく、買い替えを検討していた顧客が購入を遅らせるなどすると予想している。一方でコロナウイルスが直ちに終息することはないことから、感染するリスクを最小限に抑えるために公共交通機関の利用を避け、自動車を所有することに目を向けようとする消費者が存在しており、その点で中古車は現在経済環境下で最も魅力的な選択肢と考えられるとしている。
【タンザニア】ガリバーで知られる中古車買取販売のIDOMが新会社を設立しタンザニアで中古車レンタルを開始へ(10/24)
中古車買取販売のガリバーを運営するIDOMが、アフリカ事業をスピンオフして新会社FMGを設立したと発表した。タンザニアに販売会社を設立する予定。
IDOMの在庫から中古車を輸出し、タンザニアにおいて販売する。同社は2018年からタンザニアにて配車アプリUberの登録ドライバー向けに中古車を販売してきた。今後は新会社にて引き継ぎ、あわせて自社から直接ドライバーに対してレンタルを提供していく。
【アンゴラ】日立製作所がABBのパワーグリッド事業を買収して設立した日立ABBパワーグリッドが、アンゴラで太陽光発電向け送配電システムを受注(10/26)
日立製作所と重電大手ABBの合弁で2020年に発足した新会社日立ABBパワーグリッドが、アンゴラにおいて、太陽光発電を送電網に接続するための主要送配電システムを供給する。
ポルトガルのEPCであるMCA Group傘下M.Couto Alvesから受注したと明らかにした。MCAは米国の再生可能エネルギーSun Africaと太陽光発電事業を行っている。日立ABBパワーグリッドによると、この太陽光発電プロジェクトは、サブサハラアフリカ最大のものだという。
【トーゴ】三菱商事が出資するSHSサービスBBOXXと仏Canal +がトーゴで提携し、有料TVを家庭用太陽光発電キットとともに提供へ(10/29)
仏有料テレビのCanal +のトーゴ子会社と、SHS(家庭用太陽光発電キット割賦販売サービス)のBBOXXは、トーゴの首都ロメで新たに「Home Premium By Canal +」の提供を開始した。BBOXXを通じて、Canal +のコンテンツを提供する。
アフリカ内外160局のテレビとラジオチャンネルをアップグレードプランとして提供する。このプランでは、バッテリーとソーラーパネルに加えて、5つのランプ、ラジオ、電灯、24インチのプラズマテレビが含まれ、一括現金払いの場合は364,125CFAフラン(69,000万円)、36カ月割賦支払いの場合は420,375CFAフラン(79,000万円)となる。
※1CFAフラン=0.19円(モーニングスター、11/1)