アフリカにおける日本企業の動き(2017年6月)

アフリカにおける日本企業の動き(2017年6月)

(写真は南アフリカダーバン港に停泊する自動車船 ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【モロッコ】豊田通商子会社CFAOグループ傘下の仏Eurapharmaが、モロッコの医薬品市場に強い仏医薬品メーカーSanofiと、Sanofi子会社のモロッコおよびアフリカでの事業開発促進で提携(6/1)

 仏医薬品メーカーSanofiと、CFAOグループ傘下でアフリカでの医薬品の製造と流通を手がける仏Eurapharmaが、モロッコおよび他のアフリカ諸国でSanofiの子会社Mapharの事業開発の促進を目的としたパートナーシップを結んだ。EurapharmaがMapharの株式51%を取得する。Sanofiは引き続き株主として49%を保有する。

Sanofiはモロッコにおいて、Sanofi-Aventis MarocとMapharの子会社2社を通じて50年以上事業を行ってきた。Sanofi-Aventisはモロッコの医薬品市場の9.2%を占めるリーディングカンパニーであり、2016年には10億300万ディラハム(110億円)の売上を上げている。Sanofiは引き続き、Sanofi- Aventis Marocを通じてモロッコの医薬品市場で事業を拡大していく。なお、Mapharは、モロッコの医薬品市場の9%を占め、2016年には12億9,200万ディラハム(140億円)を売り上げている。

Eurapharmaは半世紀以上の事業経験があり、アフリカ23か国およびヨーロッパ、インド、中国、ポルトガル、イタリア、加えて7つの仏海外領土・自治領で事業を展開している。2016年の売上は12億5,200万ユーロだった。

※1ディラハム=11円(ブルームバーグ、6/2)

【モザンビーク】日揮がモザンビークで、アフリカ初、世界では4件目となる洋上LNGプラント建設を共同受注(6/1)

日揮がモザンビークで、洋上液化天然ガス(LNG)プラント建設プロジェクトのEPCIC(設計、機材調達、建設工事、据付および試運転)を共同で受注した。アフリカでは初めて、世界では4件目の洋上LNGのプラントの具現化となる。

場所はモザンビーク沖合のガス田コーラルFLNGで、イタリアのENI(イタリア炭化水素公社)がオペレーターを務めるエリア 4 鉱区に位置する。ENIが50%の権益を持つ他、中国石油天然気集団(China National Petroleum Corporation、CNPC)が20%、モザンビークのモザンビーク国営石油会社(ENH)、ポルトガルのガルプエネルジアおよび韓国ガス公社(KOGAS)の3社がそれぞれ10%を保有する。

日揮は、仏テクニップFMC社とJVを組み、FLNGトップサイドの設計、機材調達、プロジェクト全体の管理を行う。共同受注者のサムソン重工がFLNG船体のEPCおよびトップサイドのファブリケーションを行う。受注総額は約7,000億円で、日揮の受注分は約1,500億円。

2020年前半の稼働を目指しており、年間生産量は約340万トン。英BPが20年に渡り全量を買い取る。

【アフリカ全般】 NTTが、2010年に27億ドルで買収した南アのIT企業ディメンションデータホールディングスのアフリカ事業の売却を検討か(6/9)

NTTが、2010年に27億ドルで買収した南アフリカのIT企業ディメンションデータホールディングスから引き継いだ事業の一部であるアフリカ事業の売却を検討していると、ブルームバーグが関係者3人から得た情報として報じている。関係者のうち2人は、NTTがアフリカ事業の事業価値を約8億ドルと評価したとしている。

関係者のうちの1人は、売却先の候補として、南アフリカの携帯通信会社MTNグループを挙げている。MTNグループはインターネットサービスプロバイダー向けサービスを拡大しようとしており、急成長している南アフリカTelkom SAの企業向け事業BCXと競合している。

関係者のうち2人は、ディメンションデータホールディングスが買い戻して再上場することを検討していると語っている。

【チュニジア】住友商事と三菱日立パワーシステムズが、チュニジア電力・ガス公社からガス焚き複合火力発電所の建設を受注(6/21)

住友商事と三菱日立パワーシステムズが、チュニジア電力・ガス公社から、発電容量450メガワットのガス焚き複合火力発電所の建設を受注し、EPC契約を締結した。総事業費は約380億円で、資金は国際協力機構の円借款で賄われる。

完成すれば、チュニジアの総発電容量の約1割を担うことになる。2020年の稼働開始を目指す。三菱日立パワーシステムズがガスタービン、排熱回収ボイラー、蒸気タービンを供給し、三菱電機が発電機を供給する。

【南アフリカ】日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運3社によるコンテナ事業統合会社設立に関し、南ア独占禁止法当局が拒否の姿勢を表明(6/22)

日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運3社によるコンテナ事業統合会社設立に関して、南アフリカの独占禁止法当局の競争委員会が拒否する姿勢を示した。3社は、7月1日に新会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス・ホールディングスを設立し、2018年4月にサービス開始する予定で各国の審査、承認手続きを進めている。

同競争委員会は、声明文で過去の3社が関与した自動車運搬船事業のカルテルにも言及している。3社および複数社が共同で、南アフリカ発着の自動車海上輸送便において価格調整、市場分割および談合を行っていたというもので、日本郵船は2015年に談合を認め和解協定を結び、罰金1億400万ランド(8億8,400万円)を支払っている。

※1ランド=8.5円(ブルームバーグ、6/23)

【モロッコ】ジェイテクトがモロッコ初の電動パワーステアリングの工場を設立へ(6/28)

電動パワーステアリングのジェイテクトが、モロッコに生産工場を設立すると発表した。欧州系自動車メーカー向けに販売する。9月に製造販売会社を設立し、2020年半ばから生産を開始する。投資額は31億円。

電動パワーステアリングはハンドルの動きをモーターや電子制御装置によってタイヤに伝える自動車部品。モロッコには競合も含め電動パワーステアリングの工場はなく、ジェイテクトの工場が初めてとなる。

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