アフリカにおける日本企業の動き(2016年9月)

アフリカにおける日本企業の動き(2016年9月)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【モーリシャス】新菱冷熱工業がモーリシャスに営業所を開設(9/2)

空調設備などの建設工事を行う新菱冷熱工業が、モーリシャスに営業所(支店)を開設した。モーリシャス国内の需要への対応を主目的とし、あわせて他のアフリカ諸国への進出の足掛かりとする。モーリシャスでは、金融、IT関連のインフラ需要が活発化すると見込んでいる。

新菱冷熱工業によると、同社の海外受注高比率は3割を超え、前年比でも大幅な増加となっているという。2014年にはミャンマー、2016年にはカンボジアに営業所を、2015年にはインドで駐在員事務所を開設している。

【ケニア】ケニアのエレベーターサービス事業者Mits Electricalsが、強要して得た同社顧客情報を利用し顧客を奪ったとして三菱電機を告訴(9/4)

ケニアのエレベーターサービス事業者Mits Electricalsは、三菱電機が同社の顧客情報を渡すように強要し、その情報を利用してケニアやタンザニアで大手顧客18社を奪ったとして告訴した。

Mits Electricalsは2009年までの10年間、ケニア、ウガンダ、タンザニアにおける三菱電機のエレベーター関連製品の独占販売事業者であったが、2009年以降の契約内容に関して両社の意見が食い違っている。Mits Electricalsは三菱電機が一方的な契約を押し付けたと主張しており、ビジネス上の損失とライセンス料の払い戻し、スタッフの研修コスト、損害などの賠償として12億ケニアシリング(12億円)を要求している。一方で三菱電機は、締結済みの契約に仲裁条項が含まれていることを示し、仲裁による解決を主張している。

※1ケニアシリング=1.0円(ブルームバーグ、9/11)

【アフリカ】日本の自動車メーカー各社がアフリカで生産・販売を拡大へ(9/6)

日本の自動車メーカーがアフリカで生産、販売を拡大する。トヨタ自動車は南アフリカで約440億円を投じ、新興国戦略車IMVの生産を増強する。同シリーズのピックアップトラックであるハイラックスなどの生産台数を年間12万台から14万台に増やす。乗り合いタクシー用として人気が高い商用車ハイエースの生産能力を4割増しの1.3万台に引き上げる。南アフリカ生産車を南ア国内のみならず、アフリカ各国や欧州に輸出する。日産自動車は南アフリカで新興国向けブランド、ダットサン販売店を2014年比3倍の約90カ所まで拡大し、アフリカ全体のシェアを2014年の約7%から2017年3月期に10%まで引き上げる。

日野自動車は2017年にコートジボワールでトラック販売に参入する。三菱ふそうトラック・バスはコンテナなど重量物をけん引用車種トラクターをケニアで発売、周辺国へも販売地域を広げる。

【ケニア】住友商事がケニアで鶏用ワクチンを始めとする畜産用医薬品の販売を開始へ(9/13)

住友商事がケニアにおいて動物薬販売に関する販売代理店契約を締結した。中国住友商事を通じて、住友商事が出資する中国の動物薬メーカーSinder社の鶏用ワクチンを中心とした畜産向け動物薬を、ケニアのEagle Vet社を販売代理店として販売する。許認可を得た後2018年を目処に販売を開始し、2020年頃には10億円の売上を目指す。

同社によると、ケニアの現在の動物薬の市場規模は約40~50億円。食肉需要の増加などにより今後5年程度で約2倍の100億円規模に成長すると推定している。また、病気が発症した後に使用する治療薬から、感染リスクを低減する病気を予防するワクチンへの需要が高まるとしている。

2015年に出資したSinder社への住友商事の出資比率は25%で、日本人専門家を派遣している。Sinder社は中国民間企業として唯一鳥インフルエンザの中国国内での製造販売許可を保有している。

【モロッコ】ルノー・日産グループ、重電大手シュナイダーエレクトリック、電子マネー認証システムのM2Mなどが提携しモロッコ初の電気自動車生産へ(9/21)

ルノー・日産グループ、フランスの重電メーカーシュナイダーエレクトリック、モロッコの電子マネー・認証システムのM2M、モロッコの国立再生可能エネルギー・エネルギー効率化庁(AD EREE)の4機関が提携し、モロッコで初となる電気自動車生産に乗り出す。まずは、2017年の11月にマラケシュで開催予定のCOP22において最初のデモが行われる予定。

同コンソーシアムは、2030年までに自動車の10%を電気自動車とすることを目指すものの、価格の高騰が懸念されるため、モロッコ政府はVAT等の減税による支援を検討している。

【モザンビーク】三井物産がブラジル資源大手ヴァーレから、モザンビークのモアティーズ石炭鉱とナカラ回廊鉄道・港湾プロジェクトの権益を取得(9/29)

三井物産がブラジルの資源大手ヴァーレから、モザンビークのモアティーズ炭鉱とナカラ回廊の鉄道・港湾プロジェクトの権益を最大で7億6,800万ドルで取得することで合意した。

ヴァーレが炭鉱に持つ権益の95%のうち15%に対し、三井物産が最大で4億5,000万ドルを支出するが、このうち2億5,500万ドルは保証され、残る1億9,500万ドルは不特定の業績目標に対する達成状況に応じて支出される。ナカラ回廊プロジェクトについては、ヴァーレが持つ権益70%のうち50%に対して、3億4,800万ドルをエクイティおよび負債と資本の両特性を持つハイブリッド証券によって取得し、加えて1億6,500万ドルの長期ローンを提供する。

ヴァーレは当調達により、両プロジェクトに対する最大27億ドルのプロジェクトファイナンスを期待できる。

三井物産は2014年12月に両プロジェクトの権益の9億4,000万ドルでの取得を計画していたものの、プロジェクトが総額44億ドルと推定される費用への長期融資を確保できず、スタックしていた。ヴァーレはすでに約20億ドルをプロジェクトに費やしており、今後数年間で資本支出負担を減らし、資産売却を通じて100億ドルの負債を削減する。

【ケニア】ケニア中央銀行が、日本を含む8か国の銀行が、上限金利の制限にも関わらずケニア市場への参入を目指していると述べる(9/26)

ケニア中央銀行が、ケニア政府が1カ月前に貸出金利に上限の制限をかけた後も、ケニア市場には日本や米国、アラブ首長国連邦、南アフリカを含む8カ国の銀行が参入しようとしていると明らかにした。ケニア中央銀行は、ケニアのImperial Bankの破綻を受けて、2015年10月より銀行の新規参入認可を中断している。

ケニアの銀行の株主資本利益率は平均で30%に上る。政府による金利制限法により今後利益率は下落すると予想されるものの、他国と比べるとまだ高く、投資家にとっては出資が3年超で回収できることが魅力となっている。海外の銀行にとってケニアは、銀行の顧客企業が、地理的理由や人材および相対的に進んだインフラを背景にアフリカで事業を展開する際の最初の拠点として選ぶ国であり、顧客の求めに応じようとしている。

アラブ首長国連邦のDubai Islamic Bank(DIB)は拠点設立準備を中断している状況で、すでに20億シリング(19億円)を待機期間に費やしている。米JP Morgan Chaseは、1度目の参入が阻止されたことを非難しながらも、2度目となる参入を計画していることを明らかにしている。日本の銀行の参入については、8月に行われたTICADの成果としての動きである。

ケニアの銀行はこれまで、高い利子率を前に、互いに競争するよりも高マージンを享受することに甘んじてきた。金利制限法を受けて、ケニアの上場銀行の株価は、売上減少を恐れた投資家の売りにより軒並み下落した。

1ケニアシリング=0.99円(ブルームバーグ、9/28)

【ケニア】トリドールがケニアの外食店経営から撤退

丸亀製麺などを展開する外食のトリドールが、ケニアに設立したトリドール・ケニアの店舗営業権を現地企業に委譲し、事実上撤退することとなった。同社は2015年3月に首都ナイロビの中心街に、照り焼きチキンをメインメニューとした飲食店「Teriyaki Japan」(テリヤキ・ジャパン)を開店、11月にはナイロビに開業したばかりの大型ショッピングセンター「ガーデンシティ」に2号店を出店していた。

同社はケニア国内で2017年までに20店舗の出店を目指していた。

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