- アフリカのビジネス環境
アフリカにおける日本企業の動き(2016年8月)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
- アフリカにおける日本企業の進出事例の一覧は、「日本企業のアフリカ進出動向と事例」からご覧ください。
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【エジプト】三菱重工がエジプトに現地法人を設立(7/26)
三菱重工業がエジプトに現地法人MHI Technologies S.A.Eを設立したと発表した。三菱重工業と同社グループ会社Mitsubishi Heavy Industries FranceおよびMitsubishi Heavy Industries Europeの3社による出資となる。エジプトおよび周辺アフリカ地域への拠点とし、営業活動とエジプト企業との提携に取り組む。
エジプトでは2015年に行われたスエズ運河の複線化が完成、周辺地域のインフラ開発や産業基盤開発が活発となっている。三菱重工グループは火力発電プラントなどでエジプトにおいて実績がある。
【アフリカ全般】中古車販売のアガスタが、アフリカで与信審査なしの自動車ローンを付与した中古車販売を開始へ(7/27)
アフリカを中心に中古車輸出を行うアガスタ社は、車両の遠隔起動制御機能を付加したテレマティクスシステムを持つグローバルモビリティサービス社と提携し、アフリカにおいて与信審査なしで自動車ローンを提供するスキームを構築することで合意した。
グローバルモビリティサービス社が持つシステムは、後付のデバイスとクラウドシステムにより、月額支払料が支払われない車両を遠隔制御により走行停止にしたり、支払いが確認できれば直ちに制御を遠隔で解除したりできるもの。停止させた車両を車両位置情報を基に回収し、資産保全を図ることもできる。
アガスタはグローバルモビリティサービスおよび現地ファイナンス企業と協業し、独自のファイナンスを付与した中古車販売を今夏から開始する予定。
【ウガンダ】大阪府泉佐野市がウガンダ大統領に、北部ウガンダでのコットン産業の振興を提案(7/31)
泉佐野市市長を団長とするデリゲーションがウガンダ大統領への表敬訪問を行った。同市はコットンタオルメーカーの集積地で、北部ウガンダのグル地域に同様の産業を興すことを提案した。
同大統領によると、綿花は2エーカー以内の場合はメリットが少ないため、小規模農家に対してはコーヒーやフルーツ栽培を推奨し、中規模・大規模農家に対して、綿花の栽培を呼びかけている。
【マラウイ】味の素がマラウイで栄養治療食品(RUTF)をアイルランド企業と開発(8/1)
味の素がマラウイで栄養治療食品(RUTF、Ready to use therapeutic food)をアイルランド企業と共同で開発する。将来的には現地生産を行い、ユニセフなどの国際機関に販売する。
RUTFは長期間保存が可能でそのまますぐに食べられ、保健施設の処方が不要の栄養治療食品で、重度の栄養不良の子ども向けに使用されている。現在の市場規模や約200億円で、2020年までに400億円に拡大するとの予測がある。フランスのNutriset社がピーナッツを原料に製造するPlumpy'nutsがシェアの8割を占めている。
味の素は現地の穀物を使い、現地での生産することを目指す。アミノ酸配合の知見も取り入れることで栄養効果を高める。年内にも栄養効果試験の結果がでる予定。
【モロッコ】旭硝子がモロッコで、現地インデュベール社と合弁で自動車用ガラス生産を開始へ(8/1)
AGC旭硝子は、子会社AGCガラス・ヨーロッパ社の100%出資子会社で自動車用ガラス専業であるAGCオートモーティブ・ヨーロッパが、モロッコのガラスメーカー、インデュベール社と合弁会社設立に基本合意したと発表した。
モロッコのケニトラ州に共同で自動車専用ガラス工場を設立する。商業生産は2019年に開始予定。合わせガラス、強化ガラスなど高付加価値製品を年110万台から生産し、ヨーロッパや北アフリカの自動車メーカー向けに販売する。投資額は70億~100億円。
日系のガラスメーカーで、モロッコへの進出はこれがはじめてとなる。
【アルジェリア】鹿島建設をはじめとする日本企業5社のJVが、高速道路建設を巡るアルジェリア政府との仲裁申し立てを取り下げ、和解(8/2)
鹿島建設、大成建設、西松建設、安藤ハザマ、伊藤忠商事の5社のJVが、アルジェリアの高速道路建設に関して、アルジェリア政府と和解したと発表した。当JVは2006年にアルジェリア政府から、全体の3分の1に当たる東工区の約400kmの高速道路建設を約5,400億円で受注したものの、政府との見解の違いや未払金などを巡り、2014年にパリの国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てていた。
和解内容は明らかにされていないが、未払金約1,000億円の一部を受け取り、未完成部分の工事については解約するものと見られる。和解により申し立ては取り下げる。
鹿島建設など各社は、16年3月期決算までにすでに未払い金を損失として処理している。
【ケニア】豊田通商が8月中にケニアで肥料生産・販売を開始へ(8/3)
豊田通商がケニアの西部エルドレットに建設中の肥料工場について、8月中に生産・販売を開始すると発表した。同社は、2014年に肥料工場建設に向けてケニア政府とMoUを締結、2015年に肥料生産・販売に関する現地子会社を設立していた。
生産・販売する肥料は、ケニアの主要農産物であるメイズ(とうもろこし)、小麦および水稲用のブレンド配合肥料。Baraka FERTILIZERのブランド名で販売する。工場の生産キャパシティは年間15万トン。
【ケニア・ナイジェリア・ガーナ】パナソニックが今秋にアフリカ3カ国を含む途上国5カ国でスマホの販売を開始へ(8/11)
パナソニックがアフリカでのスマートフォンの販売を開始する。インド子会社にて、機能を省いた1万円程度の価格帯のモデルを生産し、ケニア、ナイジェリア、ガーナのアフリカ3国とミャンマー、バングラデシュをあわせた計5カ国で販売を開始する。
パナソニックは日本と欧州で個人向けスマートフォンから撤退したものの、インド子会社では生産を続けている。インド子会社の生産台数は2016年3月期で150万台、売上は180億円だった。2017年にはさらにサブサハラアフリカも含めた10カ国以上に新規展開する。2018年3月期の販売目標は年間300万台、売上450億円としている。
【ジブチ】東芝がジブチ地熱開発公社と包括的な協業に関するMoU を締結(8/11)
東芝がジブチ地熱開発公社と、地熱発電事業での包括的な協業に関してMoUを締結した。地熱発電機器の開発・供給、運転・管理ガイドラインの作成、研修生の受け入れなどを行う。
現在ジブチにおける電力需要は、国内における火力発電を主とした約120メガワットの発電容量によるものと、エチオピアの水力発電からの輸入で賄われている。地理的に地熱発電に向いた地域であるため、発電容量ベースで50メガワット程度の地熱発電所の建設が計画されており、東芝は地熱発電機器の導入を目指す。
東芝は、これまで世界各国に地熱タービン・発電機といった発電設備を53台納入してきた。アフリカにおいては地熱タービンが4基稼働している。発電容量ベースだと約3,400メガワットとなり、これは世界の地熱発電容量の23%を占めトップシェアとなる。2015年12月には、タンザニア地熱開発公社とMoUを結んでいる。
【ガボン】双日がガボン沖油田権益を売却(8/15)
双日は、ガボン沖Etame Marin区画に有する油田の全権益である3.23%を、アメリカの石油・天然ガス開発会社Vaalco Energyに売却する。本取引によってVaalcoが同区画に所有する権益は31.33%となり、純生産は11%引き上げる見込み。Vaalcoは7月初めにIFCと追加的な500万ドルの融資を合意しており、それをもって今回の買い取りを行う。
Vaalcoは少なくとも17か所の採油可能性油井を特定しており、将来的な石油価格回復時期に期待をかける。2016年第2四半期時点で商業生産中の9井戸では、平均日産1万9,000バレルを産出している。Etame Marin油田における2002年の稼働以来の総生産量は9,300万バレル。
【ナイジェリア】関西ペイントがナイジェリア塗料会社と合弁会社を設立(8/26)
関西ペイントがナイジェリアに進出する。南アフリカの子会社Kansai Plascon Africaとナイジェリア企業Paints and coating manufacturers Nigeria (PCMN)で合弁会社を作り、関西ペイント側が5割を超えるマジョリティを取る。金額は数億円程度。
合弁により、ナイジェリアの建築用塗料の市場を手に入れる。塗料の生産技術や開発ノウハウを与して生産性を向上させる。
【ケニア】武田薬品工業がケニアに拠点を設立し、今後の医薬品販売を見込む(8/26)
武田薬品工業がケニアに拠点を開設した。アフリカにおける医薬品事業を2~3年後を目処に開始する。抗癌剤や糖尿病治療薬などの医療用医薬品の販売を見込む。
【ナイジェリア】丸紅がナイジェリアでガス焚複合火力発電所の開発協力に係る覚書締結(8/29)
丸紅が、ナイジェリアのラゴスにおいて、ガス焚複合火力発電所の受注を目指す。ナイジェリアのEgbin Power社が建設を予定しており、開発に係る協力を行う旨覚書を締結した。丸紅はEgbin Power社の通常火力発電所の建設実績がある。
計画されているガス焚複合火力発電所は発電容量1,800メガワットで、アフリカにおいて最も発電容量の大きいガス焚複合火力発電所となる。総事業費は1,900億円の見込み。
【アフリカ全般】3大メガバンクがアフリカにおける業務拡大を発表(8/30)
日本の3大メガバンクが、アフリカにおける業務拡大を発表した。
三井住友銀行は、JBICとともに、8,000万ドルを限度とした融資契約を東部南部アフリカ貿易開発銀行との間で締結。日本企業の輸出先に対し資金を貸し付ける。アフリカ開発銀行、アンゴラ開発銀行との業務提携も締結した。
みずほ銀行は、ザンビア開発庁、南部アフリカ開発銀行など6つの金融機関と業務提携の覚書を締結した。
三菱東京UFJ銀行は、ケニア投資庁と業務提携した。投資庁から案件情報を得て、日本企業に提供するなどして事業展開を支援する。
【モロッコ】JBICが、モロッコのアティジャリワファ銀行と業務協力協定を締結(8/30)
国際協力銀行(JBIC)は、モロッコ最大の商業銀行であるアティジャリワファ銀行と業務協力協定を締結した。
アティジャリワファ銀行は、モロッコ最大の資産規模を持ち、アフリカでも第6位となる。仏語圏を中心に24ヶ国で事業を展開している。モロッコにおける三井物産の石炭火力発電所建設や超々臨界圧石炭火力発電プラント建設に対するJBICの融資に関して、協調融資先にはアティジャリワファ銀行も含まれていた。
今後、日本企業が関わる案件での協調融資や案件情報の交換などで協業を進めていく。