- アフリカのビジネス環境
アフリカにおける日本企業の動き(2014年1月)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
- アフリカにおける日本企業の進出事例の一覧は、「日本企業のアフリカ進出動向と事例」からご覧ください。
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【天然資源】丸紅がモザンビーク国営石油と覚書を締結(1/30)
丸紅がモザンビークの国営石油Petromocとの間で覚書を締結したことを明らかにした。
メタノールからガソリンを製造する事業について検討を始めることで合意した。同国ではインド洋の原油、ガス資源の開発が進みつつあるが、国内消費のガソリンについては現時点では全量を輸入に依存している。
丸紅は既に、ペトロモック及び国営炭化水素企業との間で、天然ガスからメタノールを製造する事業を検討しているが、今回の覚書に基づき、そのメタノールからガソリンを製造する事業の経済性を検討する。
【農業】JTがザンビア事業で今年度のシーズン向けに1,200万クワチャを投資(1/30)
JT(日本たばこ)のザンビア法人であるJAPAN Tobacco International (JTI) Leaf Zambiaは、今年のタバコ葉生産に向けて、1,200万クワチャ(2億2千万円)を投資したと現地紙が報じた。昨年は、1,100万クワチャ(2億円)だった。
同社のRoyleマネージングダイレクターによると、同社は国内15以上の商業農家と取引を行っており、種子・肥料といった農業投入材と資金を提供しているという。
昨年の同社の売上高は4,400万クワチャ(7億9千万円)だとしている。
※1クワチャ=18円(出所:ブルームバーグ、2/2)
【農業】ケニア農業省が豊田通商、丸紅と肥料工場の建設に向けて協議と現地紙が報道(1/30)
ケニアの農業大臣Koskei氏が豊田通商と丸紅の間で、肥料工場の建設を協議していると現地紙が報じた。Koskei氏は、2016年までの生産開始を目指したいとしているという。
またKoskei氏は、今年2月中旬までに優先交渉権をもつ会社が決まるだろうとしている。プロジェクトは100%民間資本で行われるものの、Koskei氏は、肥料価格は現在提供されている価格を下回る投資家を求めているとしている。
同氏は昨年、現地紙のインタビューに対して、同国での肥料工場建設にはインド、中国、ブラジル、東欧諸国の投資家が関心を示していると述べている。
【投資環境】安倍首相がアフリカ歴訪へ出発。コートジボワールでは、首都アビジャンの都市交通網整備支援などを表明(1/11)
安倍首相がオマーン、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアの歴訪を始めた。
1月10日に安倍首相はコートジボワールのウワタラ大統領と会談を行い、サヘル地域での避難民支援で8,340万ドルの支援を表明した。そのうちコートジボワール分は770万ドル。
また会談では、コートジボワールや隣国ガーナを対象とする「西アフリカ成長リング戦略」のマスタープラン策定や経済中心都市アビジャンの高架橋建設の調査、投資促進のための政策アドバイザーの派遣も表明した。
安倍首相はコートジボワールで、周辺西アフリカ諸国首脳との会談も行った。会談を行ったのは、ベナン、ブルキナファソ、ガンビア、ガーナ、リベリア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ各国の大統領。西アフリカ統合の課題等について意見を交わしたという。
【金融】豊田通商がアフリカでベンチャー育成のファンドを立ち上げへ(1/6)
豊田通商がアフリカで社会貢献型ベンチャー育成ファンド「Toyota Tsusho CSV Africa Pte. Ltd.」を設立することを明らかにした。
同ファンドの運用規模は15億円。豊田通商が手掛けていない小規模な事業の育成・支援を行う。運営には、ベンチャー投資を行っているAsia Africa Investment and Consulting、ケニア・ナッツ・カンパニーの創業者である佐藤氏をパートナーとして、案件発掘と支援を行う。
ファンドはモーリシャスに設立される予定で、資本金は2,300万ドル。豊田通商が100%出資する。
【エンターテイメント】手塚プロが共同制作した鉄腕アトムがナイジェリアで放送へ(1/11)
手塚治虫のアニメ「鉄腕アトム」の新作が3月からナイジェリアで放送されることが明らかになった。
手塚プロダクションと現地テレビ局が共同制作したもので、タイトルは「ロボット・アトム」。2話構成、1回30分の幼児向けのシリーズとして、8話までの制作が決まっている。悪者を倒す「正義の味方」ではなく、純真で子どもらしい、時には失敗もするアトムだという。
現地の放送局がアニメ制作とキャラクタービジネスのノウハウを得るために、手塚プロに提案。昨年11月に職員が現地から来日し、現在スタジオで絵を学んでいる。2カットほどの原画も担当する予定。
【投資環境】安倍首相のアフリカ歴訪が終了。エチオピア、モザンビークでそれぞれインフラ支援等を打ち出す(1/14)
安倍首相がコートジボワールに続き、モザンビーク、エチオピアを訪問し、中東・アフリカの歴訪を終了した。
モザンビークでは、同国のゲブーザ大統領と会談。「日本国とモザンビーク共和国の間の新パートナーシップ-開発の活性化及び加速化に係るイニシアティブ(略称:日モザンビーク「友情」(AMIZADE)パートナーシップ」を構築し、対話の強化、経済交流の活性化、開発協力の加速化を目指すこととなった。その中では、日本企業の投資促進。資源分野の人材育成、ビジネス環境整備に向けた「日モザンビーク天然ガス・石炭発展イニシアティブ」の立ち上げや、同国北部のナカラ回廊開発を中心に5年で約700億円のODA供与を表明した。また資源開発、資源を利用した産業開発、環境保護の分野で、5年間で300人以上のモザンビーク人の人材育成を行う考えを明らかにした。ブラジル、モザンビーク、日本の三カ国で進めている熱帯サバンナ農業開発プログラム「プロサバンナ」では計画の実施にあたって市民・農村社会との対話の継続、地域住民の生活向上、小農の貧困削減のために協力するとしている。
エチオピアでは、エチオピアのハイレマリアム首相と会談するほか、アフリカ連合本部での演説、並びにアフリカ連合議長である南アフリカのズマ大統領と会談を行った。
ハイレマリアム首相と安倍首相の立会いの下、日本とエチオピアとの航空協定付属書の改正に関する外交上の公文への署名が行われた。これにより成田空港とエチオピアとの間の直行定期便の運航が可能となる。
安倍首相はハイレマリアム首相との会談で、新5か年計画の実現に向けた両国間の産業政策対話の継続、日本による円借款を再開する意向を表明し、日本が事業性評価を行っているアルト・ランガノ地熱発電の能力強化に係るプロジェクトが円借款再開第1号案件となることの期待を表明した。またエチオピアの食料自給率を向上させるために、5.2億円の貧困農民支援を検討中であることを表明した。ハイレマリアム首相からは、物流や税関手続きの改善を含め、直接投資の障害を緩和する努力を行っていくことが表明された。
アフリカ連合での演説では『「一人、ひとり」を強くする日本のアフリカ外交』と題する政策スピーチを実施した。人材を大切にし、ボトムアップの創意工夫を大切にする日本の支援や日本企業の組織文化こそがアフリカに必要であると説いて、アフリカが真のパートナーとして選ぶべきは日本であることを訴えた。演説の中で安倍首相は、日本とアフリカ開発銀行の協調融資である民間セクター開発向け融資(EPSA)への供与額を当初発表していた2012年からの5年間で10億ドルを、5年間で20億ドルと倍増すること、また、南スーダンや中央アフリカを含むアフリカの紛争・災害に対応するため、約3.2億ドルの支援の実施の用意がある旨を表明した。
【金融】南アフリカを本拠とするABSA銀行が三井住友銀行とモザンビークの事業向けに提携(1/15)
三井住友銀行が、南アフリカ第2位であるABSA銀行との間で業務提携を拡大させると明らかにした。
モザンビークにおける資源、インフラ開発、水資源分野を中心に日本企業へのサービスを充実させるとしている。
2010年にABSA銀行は三井住友銀行の日本企業顧客に対して南アフリカにおいてサービスを提供することで合意している。ABSA銀行はBarclays Africaグループの一銀行。Barclays Africaの62.3%株式はBarclaysが保有している。三井住友銀行はBarclaysに出資している。
【電力】JICAがモザンビークのガス複合式火力発電所の建設向けに172億6,900万円の融資を供与(1/14)
JICAがモザンビークのガス複合火力発電所の建設に向けて、最大172億6,900万円を円借款で融資する。
金利は0.01%。償還期間は40年、据え置き期間は10年。調達の入札工事は2015年7月、発電所の運転開始時期は2018年12月が予定されている。
モザンビークの電力系統は南部と中・北部に分かれており、人口120万人を擁する首都マプトを含む南部系統の電力需要は今後5年間で平均18%のペースで増加することが見込まれているという。今回の発電所地域は、この南部地域を対象としている。
【天然資源】JOGMECがモザンビーク政府との間で石炭共同調査に向けた覚書を締結(1/15)
日本のJOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が、モザンビークの鉱物資源省地質総局(DNG)及び地質鉱業研究所(IGM)との間で、石炭ポテンシャル地域の発掘と石炭資源量の評価を目的とした共同調査を行うための覚書を締結した。
2012年10月、日本政府からモザンビーク政府に石炭産業発展5か年プランが提案され、これまで石炭ポテンシャル評価の事前調査が行われた。今後は、今回締結された覚書に基づいてモザンビーク政府との共同調査が本格的に行われる。
今回の覚書では、JOGMECがモザンビーク国内企業等と石炭の共同調査を実施して、有望な調査結果が得られ日本企業の関心が高まった時点で入札を行い、落札企業にJOGMECの獲得権益を譲渡することが出来る。モザンビーク側からは日本企業による投資促進効果が期待されている。
【天然資源】住友商事が参画するマダガスカルのニッケル開発プロジェクトが商業生産開始を宣言(1/23)
住友商事が、同社が参画しているマダガスカルのニッケル開発プロジェクト「アンバトビープロジェクト」が商業生産に入ったと発表した。
プラントでの鉱石処理量が30日平均でフル生産時の70%に達したという。稼働率は上昇しており、フル生産(年間平均生産量ニッケル60,000トン、コバルト5,600トン)を目指すとしている。
同プロジェクトは、住友商事の他に、カナダのシェリットインターナショナル、エスエヌシーラバリン、韓国のコリアリソーシズが参画している。
【製造業】カネカがアフリカ市場のかつら・つけ毛に利用する合成繊維生産工場をマレーシアに新設へ(1/23)
アクリル合成繊維メーカーのカネカが、アフリカ市場におけるかつら・つけ毛として利用される合成繊維の生産を目的とした工場を、マレーシアの既存用地に新設することを明らかにした。投資額は約90億円。
年間生産能力は1万2千トンで2015年10月の稼働開始を目指す。同工場で生産された製品は全量がアフリカ向けとなる。
同社はアクリル系合繊生産で世界首位。アフリカでは同社製品を利用したかつらが販売されており、価格は高めであるものの、アフリカでの所得向上で販売量は拡大。過去10年で輸出量は8倍に膨らみ、今後10年間でさらに2倍になると見込んでいる。