アフリカにおける日本企業の動き(2022年9月)

アフリカにおける日本企業の動き(2022年9月)

(写真はナイジェリアで販売されるパナソニックのエアコン、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【ケニア】東芝エネルギーシステムズがケニアの電力公社KenGenと地熱発電所の運転および保守の協業に関するMoUを締結(9/1)

東芝子会社の東芝エネルギーシステムズとケニアの電力公社KenGenが、東アフリカ地域を中心とする地熱発電所の運転・保守サービスで協業するためのMoUを締結した。ケニアには地熱資源が豊富に存在し、KenGenは50年に渡って地熱発電を行ってきた。オルカリア地域に4つの地熱発電所を通じて799メガワットの発電容量を有している。現在は5番目の地熱発電所の建設を計画している。

東芝エネルギーシステムズはアフリカを含む全世界で約3,790メガワットの出力量となる累計60基の地熱発電機器を納入してきた。KenGenの地熱発電所であるオルカリア1およびIVには7メガワットの蒸気タービンおよび発電機を4セット納入したほか、ウガンダやマラウイなどの他の東アフリカ諸国でも事業を展開してきた。同社がすでに受注しているエチオピアの案件などで協業する。

KenGenは1954年設立で、ケニア政府が株式70%を保有している。ケニアで発電される電力全体の約60%にあたる計1,904メガワットを発電しており、内訳は水力が826メガワット、地熱が799メガワット、火力が253メガワット、風力が26メガワットとなっている。

【南アフリカ】伊藤忠商事が南アフリカの化学大手Sasolとグリーンアンモニアのサプライチェーン構築に向けた協業でMOUを締結(9/2)

伊藤忠商事が南アフリカの化学大手Sasolとの間で、グリーンアンモニアのサプライチェーン構築に向けた調査及び開発の協業に関するMoUを締結した。

Sasolには、北ケープ州のBoegoebaaiでグリーン水素を製造する計画がある。このグリーン水素使ってグリーンアンモニアを製造し、発電用燃料や船舶用燃料などの用途として輸出するための検討を行う。共同事業化に向けた調査の他、資金調達も共同で検討する。三菱UFJ銀行がプロジェクトを支援すると報じられている。

伊藤忠商事は、グリーンアンモニアの安定供給に向けて、カナダでのブルーアンモニアの製造販売や国際的なバリューチェーン構築、肥料用途の利用促進などに取り組んでいる。

【南アフリカ】ブリヂストン、住友ゴム工業などが加盟する業界団体の要請にもとづき、輸入中国タイヤのアンチダンピング関税として38.33%の上乗せが認められる(9/9)

南アフリカ国際貿易管理委員会(International Trade Administration Commission、ITAC)が南アフリカのタイヤメーカー業界団体South African Tyre Manufacturers Conference(SATMC)からの要請に応じる形で、中国から輸入されるタイヤへのアンチダンピング関税を決定した。乗用車やトラック、バスのタイヤを対象に、2023年3月8日まで暫定的な税率として既存の関税に38.33%が上乗せされる。韓国や日本など、中国以外の国から適正な価格で輸入されているタイヤについては既存の25~30%の関税率にて輸入することができる。

SATMCには、コンチネンタル、ブリヂストン、グッドイヤー、住友ゴム工業などが加盟している。同団体は2021年末に、中国から輸入されるタイヤに8~69%の関税を上乗せするようITACに要請していた。ITACは2023年7月31日までには全ての調査を終え最終決定を行う。

今回の追加課税の暫定措置に対して、南アフリカのタイヤ輸入業者の業界団体Tyre Importers Association of South Africa(TIASA)は、エンドユーザーの支払うタイヤ代が約20%上昇するとして失望を表明している。南アフリカの別の業界団体Road Freight Association(RFA)は、物流費が少なくとも8%上昇するとして南アフリカの貿易産業競争省(DTIC)に決定を再考するよう求めている。

【南アフリカ】矢崎総業の南ア製造拠点Hesto Harnessesが、いすゞとフォード向けとなるワイヤーハーネス新工場を開設(9/13)

矢崎総業と、自動車部品メーカーなどを傘下に持つ南アフリカのMetair Investmentsによる合弁会社であるHesto Harnessesが、ワイヤーハーネス製造工場を新たに開設した。新工場の広さは3万5,000平方メートルで、8億400万ランド(65億円)を投資し、約9カ月かけて建設された。フォードのピックアップトラックレンジャーやいすゞ

自動車の最新モデルに向けてワイヤーハーネスを製造する。

Hesto Harnessesは、南アフリカに所在するトヨタ自動車やいすゞ自動車、日産自動車、フォードの製造工場向けにワイヤーハーネスとメーターパネルを納入している。

Metair Investmentsによる今回の投資は、2020年に開催されたSouth Africa Investment Conferenceや南アフリカ自動車産業マスタープランで目標とされた自動車部品の現地調達率向上に基づくものである。新しい工場の設立によって若者を含む4,000人の雇用が生まれ、その70%は女性だった。Hesto Harnessesが新工場で製造したワイヤーハーネスを納入するフォードの現地製造会社Ford Motor Company of Southern Africaは、2021年に自社の組立工場および主要な自動車部品サプライヤーの工場に158億ランド(1,200億円)の投資を行うと発表している。

※1ランド=8.1円(モーニングスター、9/21)

【エチオピア】住友商事が出資するエチオピアの通信会社Safaricom Ethiopiaが、エチオピアのICTパークにデータセンターを建設へ(9/15)

エチオピアの通信会社Safaricom Ethiopiaがデータセンターを建設する。エチオピアの工業団地運営公社Industrial Parks Development Corporation(IPDC)とMoUを締結した。Ethiopian Information Communication Technology (ICT) Park内の敷地をリースし、6,000万ドルを投じる。データセンターはSafaricom Ethiopiaのサービスに活用する。

Safaricom Ethiopiaは、ケニアの通信大手Safaricom、住友商事、英開発金融機関、南アフリカの通信会社Vodacomからなるコンソーシアムが設立した通信会社で、2021年5月に通信事業ライセンスを取得した。今後10年で最大85億ドルを投資する。

【モロッコ】矢崎総業が3億3,300万モロッコディルハムを投じて、モロッコで同社4番目となるワイヤーハーネス工場を開設(9/29)

矢崎総業が、モロッコで同社4番目となるワイヤーハーネス工場を開設した。工場はKenitraに所在し、同地域では2番目となる。投資予算額は3億3,300万モロッコディルハム(43億円)であった。

新工場では、ガソリン車、ハイブリッド車、および電気自動車に使われる部品を製造する。同社は現在、モロッコ全体で約1万5,000人を雇用している。

自動車産業はモロッコにおける主要産業の1つで、2021年には20万人以上の雇用を創出した。中央銀行は2022年7月に、自動車関連製品の輸出額は2022年に52億ドルに達するとの予測を発表した。国内自動車販売台数は2021年に16万台を超えている。

※1モロッコディルハム=13円(モーニングスター、10/5)

【ナイジェリア】ダイキン工業がナイジェリアで空調機の組み立てを開始へ(9/30)

ダイキン工業がナイジェリアで空調機の組み立てを始めると明らかにした。一部の機種について、インド工場で製造したパーツを輸入し、最終組み立てを行う。工場を設立するのでなく、ナイジェリアの販売代理店の施設を活用する。

2018年に事務所を設立したケニアを始めとする東アフリカ地域については、従来通りインド工場で製造した完成品を供給する。同社は2025年までにケニア、タンザニアなどの東アフリカ地域でトップシェアを獲得することを目指している。

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