アフリカにおける日本企業の動き(2022年1月)

アフリカにおける日本企業の動き(2022年1月)

(写真はアンゴラのルアンダ、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【アンゴラ】INPEX(国際石油開発帝石)がアンゴラの資源開発事業から撤退へ(1/17)

石油開発会社INPEX(旧名:国際石油開発帝石)が、アンゴラに持つ沖合ブロック14鉱区とリアンジ油田に持つ権益を売却し、アンゴラの資源開発事業から撤退する。

脱炭素の潮流のなか、収益性の低い権益の売却を進めており、2021年にはコンゴ民主共和国沖合の権益からも撤退しており、アフリカに残る権益はアルジェリアの鉱区のみとなった。

TotalEnergiesの関連会社の株式49.99%の保有により間接的に保有していたが、TotalEnergiesの出資比率引き下げにあわせて売却するもの。

【ケニア】豊田通商がアフリカのモビリティースタートアップに投融資するMobility 54を通じて、ケニアで再利用リチウムイオンバッテリーを製造する英Aceleronに投資、AceleronはシリーズAで500万ポンドを調達(1/18)

豊田通商のCVCである、アフリカのモビリティースタートアップに投資するMobility 54が、ケニアと英国でバッテリーのリユースおよびリビルド行う英AceleronにシリーズAラウンドで出資した。Aceleronは、英国の投資会社であるBusiness Growth FundおよびMerciaとあわせて合計500万ポンドを調達した。

近年、世界的なカーボンニュートラルへのシフトにより、リチウムバッテリーの需要が大幅に増加している。太陽光パネルや電動バイクの使用の増加により、リチウムバッテリー市場の年平均成長率(CAGR)は11%と見込まれている。一方で市場には、安いが品質の悪いバッテリーも出回っており、使用済みバッテリーを安全に廃棄できる手法も整備されていない。

Aceleronは2016年に英国で設立され、2021年にアフリカに進出し、リユースできるリチウムバッテリーの製造を開始した。バッテリーは通常、内部のコンポーネントが溶接で固定されているが、同社の特殊技術を用いた製品は簡単に分解することができ、セルの交換のみで再利用することができる。主にソーラーホームシステムの廃棄電池からセルを調達し、電動バイク向けバッテリーや定置用蓄電池を製造している。

【セネガル】セネガルの物流スタートアップPAPSがプレシリーズAで450万ドルを調達。ヤマハ発動機も出資(1/19)

セネガルの物流スタートアップPAPSが、仏語圏アフリカへの事業拡大のためプレシリーズAラウンドで450万ドルを調達した。汎アフリカベンチャーキャピタル4DX Venturesおよび西アフリカで通信事業を営む仏Orangeが共同でリードインベスターを務め、Uma VenturesやSaviu Venturesら既存投資家の他、新規投資家としてヤマハ発動機、LoftyInc Capital、Proparco、To.org、Kepple Ventures、Enza Capitalが投資した。

PAPSは2016年に設立された。当初は個人間(C2C)配送サービスを提供していたが、不定期かつ秩序立っていないことから、企業間(B2B)の配送へと事業をピボットした。現在は幅広い事業規模の企業を顧客に、倉庫保管から国際輸送、ラストマイルデリバリーまで、エンドツーエンドの物流サービスを提供している。顧客企業はPAPSのプラットフォーム上で荷物の配送を予約し、配送状況をトラッキングできる。

PAPSはまた、倉庫や配送車両を自社で所有し、配送の中継点を設けることで、国内配送のためのインフラを構築しようとしている。銀行、通信会社、医薬品流通と多岐に渡る顧客を抱えており、同社によると、セネガル国内の薬局の70%に配送に携わっているという。DHLやFedExといった物流企業から、eコマースのJumiaや食品デリバリーGlovo、インフォーマル小売向けB2BeコマースSokowatchも、セネガルやコートジボワールでPAPSを利用しており、配送回数は前年比150%で増加しているという。

【アフリカ全般】三菱商事が出資する、アフリカで家庭用太陽光発電キットとクリーン調理ソリューションを提供する英Bboxxが、投資ファンドAGGから550万ドルの融資を獲得(1/19)

英国に拠点を置きアフリカやアジアで事業を展開するBboxxが、Africa Go Green Fund(AGG)から550万ドルの融資を獲得した。AGGは、温室効果ガスの削減に繋がる民間投資を促進するためにドイツ復興金融公庫(KfW)が設立した投資ファンド。

Bboxxはサブサハラアフリカの農村部で、家庭用太陽光発電キットの割賦販売を行っている。また、薪や木炭よりも環境に優しいLPガスと調理用コンロをセットで提供するサービスも開始した。同社は現在、ケニア、ルワンダ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、トーゴ、ブルキナファソ、およびアジアで事業を展開しており、そのサービスを通じて200万人の生活にインパクトを与えている。

AGGによれば、Bboxxへの融資は二酸化炭素の排出量を76万トン削減することに繋がるという。これは、15万台の自家用車が1年間で排出する二酸化炭素の量に相当する。

【ケニア、エチオピア】ケニアの通信大手サファリコムが、住友商事も出資するエチオピアでの通信事業開始に向け、中国製プレハブデータセンターを開設(1/20)

ケニアの通信大手サファリコムが、エチオピアでの事業開始に向けて、首都アディスアベバでプレハブ式データセンターの構築を進めている。データセンターは、中国で組み立てが行われた後に海上輸送で運ばれたもので、投資額は1億ドルだという。2020年には3億ドルを投資してさらにデータセンターを設立する予定。

これまでエチオピアの通信事業は、国営エチオテレコムが一社で独占してきた。しかし2021年5月に、サファリコム、住友商事、英通信大手Vodafone、英開発金融機関CDC Groupが参加するコンソーシアムが、8億5,000万ドルを支払って通信ライセンスを取得し、エチオピアでの通信インフラの整備に80億ドル以上を投資することを約束した。

エチオピアの首都アディスアベバでは、データセンターの開設が急増している。2021年5月には、エチオテレコムが中国ファーウェイ製のモジュール式プレハブデータセンターを開設している。また同じ2021年、アディスアベバのICT Parkにて、アフリカでデータセンター運営を行うRaxioが受電容量3メガワットのデータセンターの建設を開始した。ICT Parkでは、アフリカのデータセンター運営会社Wingu.Africaや米クラウドサービスRedFoxもデータセンターを建設している。

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