アフリカにおける日本企業の動き(2021年8月)

アフリカにおける日本企業の動き(2021年8月)

(写真はナイジェリアのOpay代理店、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【エチオピア】エチオピアが通信ライセンスの2社目への入札を再実施へ。モバイル金融を含む見込みで、これに伴いすでにライセンスを得たケニアサファリコムや住友商事のコンソーシアムもエチオピアでモバイル金融を提供できるようになる見込み(8/2)

エチオピア政府は、通信ライセンスの2社目への入札を8月に再開する。この入札にはモバイル金融サービスを実施する権利が含まれる見込みで、これに伴いすでにライセンスを獲得したケニアのサファリコムにもモバイル金融サービスの展開が許可されると見られる。

エチオピア政府は5月に、サファリコムや住友商事が率いるコンソーシアムに通信ライセンスを与えた。当初は2社への供与を予定していたところ、もう1社応札していた南アフリカの通信会社MTNは入札価格が想定を下回ったとして選定されず、1社のみへのライセンス供与にとどまっていた。また、サファリコムが獲得したライセンスにはモバイル金融のライセンスは含まれていなかった。なお、エチオピアの既存通信会社であり独占通信会社である国営エチオテレコムは、Telebirrという名称のモバイルマネーサービスを5月に開始している。

サファリコムが応札した価格である8億5,000万ドルにはモバイル金融ライセンスの価値は含まれていなかったため、政府は2社目への入札では上方修正された入札価格を期待している。また、政府はより広範な通信自由化をすすめるべく、別途エチオテレコムの株式40%の売却も準備している。

人口1億1,000万人のエチオピアの携帯電話普及率は46%で、エチオテレコムの利用者数は5,070万人となり、アフリカの通信会社における1カ国の利用者数としては最大となっている。サファリコムが事業を行っているケニアは、競合を含めた携帯利用者数は人口を上回る5,220万人で、普及率は118%となっている。

【ナイジェリア】シンガポールの農業商社で三菱商事が出資するOlamがナイジェリアで農家支援の継続を表明(8/17)

シンガポールに本社を構える大手農業総合商社Olamのナイジェリア法人が、ナイジェリアの農業バリューチェーンの活性化を目指してナイジェリア政府が進める後方統合プログラム(Backward Integration Programme、BIP)へのコミットメントを再表明した。

Olamは、さまざまな契約栽培農家プログラムや共同研究、種子のトライアル、小規模農家への多岐にわたるエンパワーメントプログラムへの統合への投資を一貫して拡大している。米の供給強化に向けては、国際農業開発基金やナイジェリア政府と協力して、後方統合フレームワークであるバリューチェーン開発プログラム(VCDP)を通して、小規模米農家のトレーニング、農業資材の供給、購入保証の提供を行っている。

米の供給強化を実施した2014年から、Olamの小規模米農家イニシアチブに220億ナイラ(59億円)が投入された。国際農業開発基金のデータによると、Olamと契約した小規模米農家は79%の収入増加を記録した。今日までに米の契約農家数は3万5,000人を超えている。小麦農家に対しては、Flour Millers Association of Nigeria(FMAN)および農業農村開発省(FMARD)と提携し、種子のトライアルやインプットの提供を行い、推定847トンを収穫した。1,000人を超えるトマト契約農家では、ヘクタールあたりの収穫量が7.5トンから30トン超へと急増した。他には鶏肉や乳牛の分野でBIPを実施している。

※1ナイラ=0.27円(モーニングスター、8/19)

【ナイジェリア】中国企業が出資するナイジェリアOPayが、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2がリードするシリーズCラウンドで4億ドルを調達、評価額は20億ドルとなりユニコーン入り(8/23)

中国企業が出資するナイジェリアのフィンテック企業OPayが、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が率いるシリーズCラウンドで4億ドルを調達した。このラウンドで、Opayの評価額を20億ドルに達した。Sequoia Capital China、Redpoint China、Source Code Capital、Softbank Ventures Asia等の既存投資家や、DragonBall Capital、3W Capitalらが参加した。OPayは2019年6月に5,000万ドル、同年11月にシリーズBラウンドで1億2,000万ドルを調達している。ソフトバンク・ビジョン・ファンドとしてのアフリカスタートアップへの出資ははじめてとなる。

2018年設立のOPayは、スーパーアプリを目指して、配車アプリ、物流アプリ、eコマース、フィンテックといったサービスから事業を開始した。2020年には政府によるバイク規制やコロナウイルスの感染拡大により、配車アプリやバイク事業を停止した。現在主流としており成長しているのはモバイルマネーおよび決済サービスで、加盟店を介して送金や支払いを提供している。

親会社Operaによれば、OPayの2020年12月の月間取引高は20億ドルを超えたという。現在は30億ドルを超えるとも報じられている2020年には英国の国際送金サービスWorldRemitと提携して国際送金の事業ライセンスを取得した。

 Opayは2020年エジプトに進出している。今回の調達資金でエジプトでの事業を拡大するとともに、近隣国への進出を行う見込み。

同じアフリカのフィンテック企業では、2月に南アフリカのオンライン銀行TymeBankが1億900万ドル、3月にナイジェリアの決済ゲートウェイサービスFlutterwaveが1億7,000万ドル、5月にアフリカ7カ国で決済サービスを提供するChipperCashが1億ドルを調達している。アフリカにはモバイルマネーのアクティブユーザーが1億6,000万人以上おり、2020年の総取引高は4,950億ドル以上となっている。

【セネガル】豊田通商がアフリカのモビリティースタートアップに投融資するMobility 54を通じてセネガルの配車アプリKai Senegalのシードラウンドに参加(8/24)

豊田通商が同社のアフリカのモビリティースタートアップに特化して投融資するファンドMobility 54を通じて、セネガルの配車アプリKai Senegal(YEEG SAS)のシードラウンドに参加した。

Kai Senegal は2018年に設立された。配車アプリでは一般的にドライバーは車両を保有していないため、管理が不十分になりがちである。Kai Senegalは配車アプリのビジネスモデルを見直し、こういった課題を解決するべく、状態のよい車両を購入しまた維持するための車両運行管理サービス、配車アプリによるマッチング、配車アプリの車両が人々の投資対象となるための融資スキームの3つをサービスの柱としている。

セネガルのタクシー業界は、伝統的なインフォーマルなタクシーが半分以上を占め、車両は古く管理がされていない。Kai Senegalはこの分散した市場を集約し、法人顧客から個人顧客にまで、質の高い輸送と明朗な料金体系、効率的なピックアップサービスを提供する。今後はセネガルのみならず他の西アフリカ地域に事業を拡大することも計画している。

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