アフリカにおける日本企業の動き(2020年5月)

アフリカにおける日本企業の動き(2020年5月)

(写真はたばこ畑)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【ナイジェリア】ナイジェリアの病院向けソフトウエアプロバイダーHelium HealthがシリーズAで1,000万ドルを調達。AAICや大原薬品工業が出資(5/7)

西アフリカ最大の病院向けソフトウエアプロバイダーHelium Healthは、シリーズAラウンドとして1,000万ドルの調達を完了した。ドバイに拠点を持つGlobal Venturesとシンガポール拠点で日本の投資家から資金を集めるAsia Africa Investment & Consultingが共同でリードし、中国Tencentや大原薬品工業、HOE Capital、Y Combinator、VetureSouq、Chrysalis Capital、Karios Angels、Flying Doctors Healthcare Investment Companyが出資した。

同社は、調達資金は、ナイジェリア、ガーナ、リベリアにおける顧客基盤育成と、北アフリカ、東アフリカ、仏語圏西アフリカへの事業拡大に用いると述べている。

【ケニア】豊田通商ケニア子会社Toyota KenyaがケニアのFamily Bankと提携し、コロナ禍において重要産業の中小企業向けに優遇自動車ローンを提供へ(5/18)

豊田通商のケニア子会社Toyota Kenyaはケニアの金融機関Family Bank Kenyaと提携して、中小企業向けに最大95%の融資を提供する。コロナ禍において重要な事業を行う中小企業への支援を目指す。

対象は、製造業、物流、農業などの業種の中小企業。トヨタハイラックスのシングルキャブおよびダブルキャブを、60日間の返済猶予期間付きの60カ月の長期ローンで購買できる。1年間の保険料も負担する。日野自動車のHino 300またはHino 500トラック購入者へは、購入価格の80%の融資を、60日間の返済猶予期間付きの48カ月の長期ローンで提供する。

ケニア中央銀行は、中小企業への融資提供の必要性について指摘しており、現在、中小企業に対して手頃な金利を継続して提供するための信用保証スキームの策定を行っている。

【ジンバブエ】南アフリカの配車スタートアップVaya Africaが、ジンバブエで日産リーフを用いた電気自動車による配車タクシーを開始へ。ケニア、ナイジェリア、南ア、ザンビアでも提携を進める(5/28)

南アフリカのEconet Group傘下の配車スタートアップVaya Africaが、ジンバブエで電気自動車タクシーサービスを開始した。日産自動車の電気自動車リーフを使用し、充電のための独自の太陽光発電充電ステーションを開発した。今後はアフリカ大陸全体に拡大する計画で、現在ケニア、ナイジェリア、南アフリカ、ザンビアにおいて提携を進めている。

アフリカのタクシー市場において、燃料のコストはドライバー個人の収入と比較して割高とされ、電気自動車を使用すると燃料およびメンテナンスコストを40%削減できるとVayaは見積もっている。現時点でジンバブエの燃料価格は1リットルあたり約1.2ドルで、平均走行距離22キロあたり19ドルが必要となる。日産リーフとVayaの充電ステーションネットワークを使用すると、150〜200キロを走行するのに必要な燃料コストは約5ドルまで下がるという。

現在のコロナウイルス感染状況に適応すべく、Vayaはドライバーに個人防護具を提供し、車を1日4〜5回消毒するとしている。また四輪車タクシーだけでなく、デリバリーや、二輪車のタクシー、トゥクトゥクタクシーのEVオプションを模索していると述べている。

【南アフリカ】JTや英BATが、ロックダウン後たばこ販売禁止3カ月目に入った南アフリカ政府に対して法的措置へ(5/30)

日本たばこ産業(JT)と英British American Tobacco(BAT)を含むタバコ製造業者らが、3カ月目に入った南アフリカにおけるたばこ販売禁止を覆すために、同国政府に対して法的措置を講じている。

南アフリカ政府は、厳格なロックダウンの一環として3月下旬にたばこ関連製品の販売を禁止したが、アルコールを含む他のすべての商品の小売が再開された6月1日以降も、たばこの販売は引き続き禁止された。前大統領ズマ氏の前妻で、医師であり、現協調統治・伝統業務大臣であるンコサザナ・ドラミニ・ズマ氏が、健康の影響や喫煙者がコロナウイルス感染した場合に人工呼吸器の必要性が高まることを理由に主張したとされる。同氏は1990年代に、前保健大臣として公共の場での喫煙やたばこ広告の禁止令を主導した。

同国の78%の市場シェアを持つBATは、たばこの販売禁止が違法な市場からの購入を促し、税収が奪われ、数千人の失業が起こりうると主張し、法的手続きに入った。CamelやWinstonを販売するJTも、他の消費者、農家、販売者のグループとともにこの訴訟を支持している。BATは政府の対話を求めあらゆる努力を払ったが、正式な返答が得られていないという。

一方で、 南アフリカ最大のワイン蒸留酒メーカーDistell Group Holdingsなど酒造メーカーは、バーも含めた持ち帰り用アルコール販売の再開・許可にこぎつけている。

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