アフリカにおける日本企業の動き(2019年8月)

アフリカにおける日本企業の動き(2019年8月)

(アフリカのパイナップル畑、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【エジプト】ソニーがエジプトで現地家電メーカーEl Arabyに委託して液晶テレビブラビアの製造を開始(8/6)

ソニー子会社Sony Middle East and Africaは、エジプトの家電メーカーEl Araby Group of Companies and Factories(El Araby)に委託して、エジプトで液晶テレビ、ブラビアの製造を2019年5月に開始したことを発表した。

現在8モデルが製造されている。年内に6つの新モデルが輸入され、合計14モデルを販売する。32インチフルHDテレビが3,899エジプトポンド(2万4,000円)から、スマートアンドロイド機能を備えた85インチの4K HDRテレビが74,999エジプトポンド(48万円)まで幅広く揃える。

エジプトはテレビに関してアフリカで最大の市場で、年間約160万台が販売されている。エジプトから東南部アフリカ市場共同体(Common Market for Eastern and Southern Africa、COMESA)に加盟する国々に輸出することができるため、エジプトのみならず中東とアフリカの広い市場での販売が期待されている。

※1エジプトポンド=6.4円(モーニングスター、8/8)

【タンザニア】関西電力がタンザニアで太陽光発電を用いたランタン貸し出しサービスを展開する日本のスタートアップWASSHAと業務提携(8/6)

関西電力が、タンザニアで事業を行う日本のスタートアップWASSHAと業務提携を締結した。WASSHAは関西電力が調達した機材の貸与を受けることで、事業を拡大する。

WASSHAは2013年設立。太陽光発電一式とLEDランタンを提携したキオスク(小売店)に設置し、周辺住民にランタンを貸し出すサービスを展開する。現在1,100店舗以上のキオスクと取引をしている。

【モロッコ】横河電機がモロッコに支店設立と現地メディアが報じる(8/14)

横河電機がモロッコのカサブランカに支店を設立した。

モロッコに法人を立ち上げることで、現地の顧客層を拡大する。エネルギー、化学、石油、医薬品製造、農産物、水事業・水処理事業といった業界がターゲットである。

【アフリカ全般】SBIホールディングスがアフリカ向けに特化した、中古車輸出やベンチャーキャピタル投資含む金融事業を行う新会社SBIアフリカを設立(8/21)

金融サービスのSBIホールディングスが、アフリカ向け中古車輸出やアフリカにおける金融事業を行う子会社SBIアフリカを設立したと発表した。

中古車輸出では、SBIホールディングスと中古車オークション大手ジェイ・エー・エーとの合弁会社であるSBIオートサポートが中古車の仕入れや販売で連携する。金融事業においては、自動車金融、国際送金、マイクロファイナンス、ベンチャーキャピタル投資等を展開していく。

【アフリカ全般】豊田通商がアフリカのモビリティー関連スタートアップに投融資する投資会社モビリティー54を設立(8/22)

豊田通商がアフリカで事業を行うモビリティー関連のスタートアップ企業への出資・融資に特化した投資会社Mobility 54をフランスに設立した。

【シエラレオネ】伊藤忠が傘下ドールアジアを通じてシエラレオネにパイナップルの栽培・加工会社設立、2021年から輸出開始へ(8/24)

伊藤忠商事が、2013年に米ドール・フード・カンパニーから買収したシンガポールのDole Asia Holdings(DAH)を通じて、シエラレオネにパイナップルの生産・加工会社を設立した。農園を新たにつくりパイナップルを栽培し、加工工場を建設する。投資額は約50億円と報じられている。

DAHは現在フィリピンとタイのみで生産を行っており、産地の多角化を必要としていた。シエラレオネは台風などの天災が少なく温暖で、降雨量の確保ができるため生産に適しているという。2021年度から欧米の顧客向けに缶詰や濃縮果汁の輸出を開始する予定ですでにテスト栽培を開始している。

カントリーリスクへの対策として、MIGAとNEXIの投融資保険を付保した。

【エチオピア】アパレル企業ストライプインターナショナルがエチオピアでの衣料生産委託を再開、2020年春夏ものとして日本市場で展開へ(8/27)

ストライプインターナショナルがエチオピアでの生産委託を再開する。earth music & ecologyやAMERICAN HOLICといった同社の主力ブランドの2020年春夏商品に向けて、エチオピアでTシャツやキャミソールなど100万枚を生産する予定。

同社は2016年から2017年にかけて、エチオピアでTシャツを生産していたが、現地工場の財務が悪化したため生産をとりやめていた。今回新しい工場で再開する。

【チュニジア】東レがチュニジアにも子会社を持つエアバックメーカーAlva を買収へ。原糸から最終製品までの一貫体制を獲得(8/28)

東レがスウェーデンのエアバック縫製メーカーAlva Sweden(Alva)の全株式を取得し、同社および同社のポルトガルならびにチュニジアの子会社とあわせて買収する。買収金額は40億円。

東レはこれまでAlvaにエアバック用の基布を供給してきた。今回の買収により、エアバックの縫製事業に参入する。モジュールメーカーや自動車メーカーと直接取引を行うことになり、開発動向や顧客ニーズを掴むことが可能になる。原糸から最終製品までの一貫体制を強みに製品開発と提案を行い、高性能エアバック市場でシェアを獲得する。

【アフリカ全般】三菱商事がアフリカを中心に12カ国で家庭用太陽光発電キット割賦販売を行う英BBOXX(ビーボックス)に出資(8/28)

三菱商事がアフリカを中心に12カ国で家庭用太陽光発電キットの割賦販売を行う英BBOXXに出資する。出資額は数十億円と見られ、筆頭株主となる予定。

BBOXXは2010年に創業した。今後、電力供給のみならず、ガス、水、保険、金融といった生活に密着したサービスにも参入する予定。三菱商事は2018年には、仏電力公社とともにNEoT Offgrid Africaに出資している。

【エジプト、ザンビア】豊田通商とエジプトの電機大手Elsewedy Electricが、ザンビア政府とアフリカ最大規模となる50 MWの蓄電池付き太陽光発電所2基の建設で合意(8/28)

豊田通商とエジプトの電機大手Elsewedy Electricは、ザンビアにおける50 MWの太陽光発電所2基の建設に関して、ザンビアエネルギー省と契約を締結した。発電所には蓄電設備が備えられ、西部州のSesheke地区とMongu地区に建設される。ザンビアの国内送電網に合計100 MWを供給する。2021年の供給開始予定。

蓄電池つき太陽光発電所プロジェクトとしてはアフリカ最大で、世界的にも規模が大きいプロジェクトとなる。豊田通商は、このプロジェクトをアフリカにおけるモデルケースとし、南部アフリカの国々へと展開したいとしている。

ザンビアは、干ばつなどにより水力発電に利用する水量の減少に直面しており、電力源の多様化を図っている。

Elsewedy Electricは、2019年上期連結決算において利益が前年同期比19%減少している。同社はこの8月にエジプトにおいて太陽光発電所の操業開始にこぎつけた。電機部品や機器を供給しており、北アフリカ、東アフリカ、中東、ヨーロッパ南部に子会社を持つ。

【コートジボワール】コートジボワール政府が豊田通商と自動車組立工場の建設で合意と発表(8/29)

コートジボワール首相府は、豊田通商と自動車組立工場の建設に関するMoUを締結したと発表した。2019年内に建設を開始する。工場での生産車や生産台数は明らかにされていない。

自動車メーカーは、トヨタ自動車の他、フォルクスワーゲン、BMW、日産自動車といった企業が、新車にとって最後の新規市場のひとつであるアフリカへの参入を試みている。

【モザンビーク】商船三井がトルコ企業と共同で、モザンビークにおいてLNG発電船事業を開始、モザンビーク国営電力会社に電力供給(8/30)

商船三井がトルコKaradeniz Holdingsと共同で、モザンビークで液化天然ガス発電船事業を開始する。

液化天然ガス(LNG)を燃料に船で発電し、地上の送電設備を通じてモザンビーク国営電力会社に供給する。浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)でLNGを再ガス化して発電船に送り、発電船で発電する方法で、FSRUと発電船を組み合わせる。Karadenizの子会社が持つKARMOLという120メガワットの発電能力を持つLNG発電船を使用する。

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