アフリカスタートアップ白書
アフリカのスタートアップはどのような事業を行っているのでしょうか。日本企業の投資先は?

(画像はM-Kopaのショップ、ABP撮影)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
スマートフォンの割賦販売をケニアを始めとするアフリカ5カ国で行うスタートアップ英M-Kopaが、2024年の通期決算において12億ケニアシリング(13億円)の利益を計上し、はじめて黒字転換した。売上高は66%増の537億ケニアシリング(590億円)だった。前年度は32億ケニアシリング(35億円)の損失だった。
同社は2011年に創業し、非電化地域で家庭用太陽光発電キットのPay as you goモデルを開始した。2022年以降はスマートフォンへと対象製品を変更し、ノキアと提携しナイロビに組み立て工場を設立した。割賦販売においては、消費者は少額の頭金を支払い、その後返済を行うことでロックを解除できる。携帯の利用状況や返済パターンといったデータを用いてこの少額消費者ローンの融資判断を行う。顧客層の拡大と債務不履行率の維持に成功し、融資や健康保険といったデジタルサービスも提供する本格的なデジタル金融プラットフォームへと進化している。
これまでGeneration Investment Management、 Lightrock、英開発金融BIIといった投資家から株式および債務で2億5,000万ドル以上を調達してきた。
※1ケニアシリング=1.1円(モーニングスター、10/10)
モロッコのeコマース向け国際物流プラットフォームLogidooが、豊田通商のCVCから出資を受けているコートジボワールの物流プラットフォームKamtarを買収した。
Logidooはモロッコ、セネガル、コートジボワール、チュニジアを含む8カ国で600社超の顧客にサービスを提供し、20万件の取引実績を持つ。Logidooは、国際輸送と都市間配送、B2Bマーケットプレイスを事業領域としており、Kamtarの道路物流における専門知識を吸収することで、ファーストマイルからラストマイルまでの完全なサプライチェーンを管理能力の向上を目指す。
2018年創業のKamtarは、コートジボワールとセネガルで5,000社超の運輸事業者と企業を結ぶデジタルプラットフォームを運営している。2021年に豊田通商とグループ会社CFAOが共同設立したベンチャーキャピタルMobility 54、仏Saviu Ventures、ケニアの物流大手Sendyが参加したシリーズAラウンドの後、4カ国まで拡大したものの、Sendyが2023年に管財人管理下に入り最終的に廃業したことから困難な状況に陥っていた。
モザンビークの液化天然ガス開発Mozambique LNGプロジェクトについて、仏TotalEnergiesを筆頭とするコンソーシアムが不可抗力宣言の解除をモザンビーク政府に通告した。政府が開発計画の修正を承認すれば、開発が再開されることとなる。当初より5年遅れの2029年の生産開始を目指す。同プロジェクトはTotalEnergiesが運営し、三井物産とJOGMECの合弁会社が20%を出資している。
同プロジェクトは当初200億ドル規模と見積もられ、年間1,300万トンの生産量を予定している。2021年にイスラム過激派による治安悪化を受けて中断されていた。生産量の約90%について売却契約が合意済みであり、中国CNOOC、仏EDF、英Shell、日本企業らが買い手となっている。
不可抗力宣言の解除は、2021年以降に発生した45億ドルの追加費用に対する税金の取り扱いについて、政府とコンソーシアム間で合意に達したためと見られている。
三菱電機の欧州子会社Mitsubishi Electric Hydronics & IT Cooling Systemsが、同社の応用HVACおよびIT冷却システムの販売代理店である南アフリカのIntramechに出資する。
アフリカではデータセンターの建設が増加し、IT冷却システムの需要が高まっているという。顧客は冷却機器のライフサイクル全体をカバーする包括的なサービスを求めているため、両社の体制を強化し、統合的なサービスを提供する。
産業用物流車両向けバッテリーサービスの南アフリカmaxwell+sparkが、スペインAlantraのEnergy Transition FundであるKlimaが主導し、大手石油会社米Chevronと出光興産のCVCが新規投資家として参加する、1,500万ドルのシリーズBラウンドをクローズした。
maxwell+sparkは2017年に南アフリカのダーバンで創業し、世界で初めてバッテリー駆動式輸送用冷蔵システムを開発した。フォークリスト、冷蔵輸送、バックアップ電源等の産業用途において、ディーゼルエンジンや鉛蓄電池を、モジュール式、循環型、データ駆動型のリチウムイオンシステムに切り替える。導入済みのシステムから得られた実環境のデータを用いてコストやパフォーマンス、排出量削減の最適化を支援する。
南アフリカではスーパーマーケットチェーンSPARが同社のバッテリー駆動式輸送用冷蔵システムを採用している。現在はオランダに本社を設置し、南アフリカのみならず米国や欧州で事業を展開している。
日本電気の子会社で、南アフリカを拠点とするシステムインテグレーターNEC XONが、固定無線ブロードバンド機器プロバイダー米Mimosa Networksと提携した。NEC XON は、Mimosa Networksが持つライセンス不要の無線周波数帯を使ったP2PまたはP2Mブロードバンド接続技術導入することで、ブロードバンド接続が行き届いていないアフリカ全土の地域や農村で通信インフラの導入を促進する。
Mimosa Networksの技術は実装が早くコストも抑えられるため、光ファイバーの敷設がコストにあわない地域でも導入が可能となる。アフリカ最大級のモバイル通信会社と提携していることから、4つの地域での展開が見込まれている。Mimosa Networksの技術は南部アフリカの複数の通信事業者へも導入される計画である。
