アフリカにおける日本企業の動き(2025年5月)

アフリカにおける日本企業の動き(2025年5月)

(画像はケニアのARC Rideの電動バイクバッテリー交換ステーション、ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

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【エジプト】日本の血液バッグメーカージェイ・エム・エスが血液バッグ製造工場を14億エジプトポンドで設立へ。現地企業と合弁(5/1)

日本の血液バッグメーカージェイ・エム・エスが、Ain Sokhnaのスエズ運河特別経済区(SCZone)に血液バッグおよび血液パウチの製造工場を設立する14億エジプトポンド(39億円)規模の契約を調印した。エジプトのEgyptian Company for Medical Investments(ECMI)およびジェイ・エム・エスの代理店Interpharm for Import Export, and Medical Industriesとの間で合弁を設立する。

同工場では、7年目までに年間700万バッグの生産を見込み、うち300万バッグは国内向け、残る400万バッグは輸出向けとする。エジプトの血液バック需要の100%を満たすことを目指し、輸出先は中東および北アフリカ市場が検討されている。SCZoneへの設置により政府の優遇措置と物流上の優位性を享受することができる。

エジプトでは、手術、事故、白血病、腎臓病、臓器移植などで使用される高品質な血液製剤に対する需要が高まっている。

※1エジプトポンド=2.8円(モーニングスター、5/8)

【ケニア】ケニアのヘルスケアeコマースMyDawaが、大原薬品工業等が参加するラウンドで非公開額の資金を調達(5/1)

ケニアのヘルスケアeコマースMyDawaが、事業拡大のため非公開額の資金調達を確保した。デンマークの開発金融IFU、英Alta Semper Capital、シンガポールのAAIC Investment、仏Creadev、日本の大原薬品工業が参加した。

2017 年創業のMyDawaは、ケニアとウガンダでオンライン医師相談、検査機関での検査、電子処方箋、慢性疾患管理、医薬品配送などのテクノロジー主導のデジタルヘルスケアソリューションを提供している。

調達資金は顧客に店舗とオンラインストアの両方のチャネルを提供する「ブリック&クリック スーパーファーマシー」モデルの新市場への拡大、慢性疾患サポートプログラムの強化、そしてサービス提供の合理化、在庫管理の最適化、患者コスト削減のための AI 駆動型機能の統合に充てられる予定である。

【南アフリカ】日産自動車が南アフリカ工場を閉鎖すると報道される(5/18)

日産自動車が南アフリカ工場の閉鎖を検討していると報じられた。同社は経営立て直しのため、世界の車両生産工場数を2027年度までに17工場から10工場に削減することを発表しているものの、対象工場は公式には発表されていない。南アフリカ工場は、日本の2工場、メキシコの2工場、インド、アルゼンチンの各1工場とともに閉鎖候補として報道された。

日産自動車の南アフリカにおける生産台数は約1万台とされ、2025年の1月~4月は月平均約1,200台だった。生産車種はピックアップトラックのNavaraのみで、南アフリカ国内および他のアフリカ諸国向けに販売されている。

【エジプト】住友電装がエジプトに新工場を開設(5/20)

住友電装の欧州法人Sumitomo Electric Systems Europeのエジプト子会社となるSI Wiring Systems Egyptが、エジプトの10th of Ramadan Cityに新工場を開設した。15万平方メートルの敷地を持つ工場の投資額は2,200万ユーロで、約3,000人の直接雇用を生み出す。

今回新設した工場は、2023年9月にエジプト政府の投資優遇策であるゴールデンライセンスを取得、12月に着工し、2024年末までにフル稼働を達成するという早い実現だった。従業員の40%は女性である。

SI Wiring Systems Egyptは、エジプトで年間3億ユーロ以上の製品を輸出しており、複数の工場で1万2,000人のエジプト人を雇用しているという。

【チュニジア】軸受メーカーNTNが、チュニジアの自動車用ショックアブゾーバーメーカーLTMの株式35%を取得(5/21)

自動車、航空機、鉄道車両など向けにベアリング(軸受)を製造・販売するNTNが、欧州子会社NTN Europeを通じて、チュニジアで自動車用ショックアブソーバーの開発、製造を行うLa Tunisie Mécanique(LTM)の株式35%を取得した。

NTNは自動車用アフターマーケットビジネスの販売拡大に取り組んでおり、2024年以来NTN Europe内に本部機能を構え、欧州アフリカを対象に商品ラインナップの拡充や販売網の強化を進めてきた。今回拡充したショックアブソーバーは、同社のドライブシャフトやアクスルベアリング、ストラットベアリングといったコーナーモジュール製品と関係が深い。資本参加により設計や製造、品質管理まで深く関わり、アブソーバーメーカーとして競争力を獲得することを目指す。

LTMは2010年に創業した。NTNが35%を出資した後は、創業者家や従業員が10%、チュニジアの自動車部品メーカーに出資するMechatech Holdingが55%を保有する。

【ケニア】武蔵精密工業が出資するケニアの電動バイクARC Rideが、英開発金融BIIから500万ドルの資金を確保へ(5/24)

ケニアで電動バイクを販売するARC Rideが、英開発金融BIIから500万ドルの資金提供の約束を得た。この資金を用いてARC Rideは電動バイク5,000台の販売を行うとともに、東アフリカ全域でのバッテリー交換ネットワーク拡大を進める。

【南アフリカ】スズキが南アフリカに新たな本社ビルと配送センターを建設(5/27)

スズキの南アフリカ法人Suzuki Auto South Africaが、南アフリカのGauteng州のLonglake Logistics Parkに本社ビルと配送センターの建設を開始した。

スズキは南アフリカ市場で17年連続の売上成長を達成している。2万4,507平方メートルの施設は2026年半ばに完成予定で、効率的な物流をサポートするため広いヤードと車両がアクセスしやすい設計となっている。

【ケニア】みずほ銀行等が出資するケニアの調理用クリーンストーブKoko Networksが、世界銀行の保証機関であるMIGAから232億1,000万ケニアシリングの保証を取得(5/27)

調理用クリーンストーブ事業をケニアで行うKoko Networksが、世界銀行の保証機関であるMultilateral Investment Guarantee Agency(MIGA)から、ケニア市場での事業拡大リスクを緩和するため、232億1,000万ケニアシリング(250億円)の保証を取得した。

3月に合意されたこの保証は最長15年間有効で、ケニアでの内乱、公共利用のための土地収用、契約違反から保護する。また、炭素クレジット事業に関して、ケニア政府がパリ協定第6条に基づく法的拘束力のある約束を履行しないリスクからも保護する。

2015年設立のKoko Networksは、バイオエタノール調理燃料及びコンロを生産・販売している。事業によって得た炭素クレジットを用いて、燃料とコンロの販売価格を引き下げている。都市部の低所得者層家庭を対象としており、2025年3月時点で顧客数は100万人以上だった。推定4,000カ所の燃料販売拠点を持つ。ルワンダでも事業を行い、本社はモーリシャスに置く。2027年までに新たに少なくとも300万人の顧客を追加することを目指している。

※1ケニアシリング=1.1円(モーニングスター、5/30)

【コートジボワール】ヤンマーアグリがコートジボワールに代理店を設定し稲作向け農機でアフリカ進出(5/30)

ヤンマーアグリが、コートジボワールで日産自動車の販売代理店ATC Comafriqueと農機販売の委託について合意したと発表した。中国など海外拠点で製造している稲作向けのコンバインや耕運機を輸出し、販売する。

高付加価値製品を投入する予定で、現地の銀行とローンなどの提供で協業する検討も進めている。2025年度はガーナとブルキナファソ、2026年度はセネガル、ギニア、マリで販売を開始する計画で、2035年度にはコートジボワールやガーナを含む西アフリカ16カ国に拡大する。

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