ついにユニ・チャームがケニアに。アジアでの日本企業の成功は再現されるか
ユニ・チャームがケニアで委託製造を開始します。販売を開始したのが約1年前。当時の記事をご紹介します。
(写真はケニアで販売されるユニ・チャームの生理用ナプキン、ABP撮影)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
日産自動車のエジプト子会社Nissan Motor Egyptが、エジプト政府と投資協定を締結した。4,500万ドルを投資し、エジプトで3車種目となる新たな車種の生産を開始する。同車種では54%以上の部品を現地調達し、国内向けのみならず輸出機会を模索する。加えて200万ドルを追加投資して、2025年までに全車種の生産台数を年間3万台以上に引き上げる。
日産自動車は2005年にエジプトで事業を開始し20年となる。6th October Cityの工場で生産する主要な車種であるサニーは輸出も行っており、これまで累計1万6,000台以上輸出してきた。2024年会計年度は輸出台数を前年度対比で約50%増やすことを目指している。
三菱商事が出資するシンガポールの農業商社Olam Group傘下でカカオやコーヒーを取り扱う農業商社Olam Food Ingredients(ofi)が、ガーナでロッテ、不二製油、三菱商事グループMCアグリアライアンスと共同で、廃棄されているカカオの鞘の殻を燃焼させてバイオ炭を製造する実証事業を開始した。
バイオ炭を製造することで、カカオの殻が分解される過程で大気中に放出される二酸化炭素を抑制できる。さらにカカオ農場にバイオ炭を散布することで、土壌の肥沃度を改善し、浸食や土壌中に含まれる栄養素の流出を防ぐことができる。本プロジェクトでは、バイオ炭の使用による土壌肥沃度の変化や二酸化炭素排出量の削減をモニタリングする。Ofiは同様のプロジェクトを、コートジボワール、ブラジル、ドイツ、インドネシア、オランダ、シンガポールで実施している。
ガーナでは、農家向けサービスセンターを運営するAsaase Pa Food Systemsが、カカオ含む食品原料の卸売事業を展開するTachibana International Ghana Company、バイオ炭の製造によるカーボンクレジットの認証を支援するスウェーデン企業Planbooとの提携を通じ、カカオの殻を用いたバイオ炭の製造に取り組んでいる。今後5年間でガーナのカカオ生産地域に25のバイオ炭製造拠点を設立し、生産能力を拡大することを目指している。
ナイジェリア発のアフリカの自動車融資スタートアップMooveが、電気自動車を用いた無人自動運転の配車サービスを提供する米Waymoと米国で協業するため提携した。MooveはUberの独占的パートナーとして配車アプリのドライバー向けに車両融資を提供しているが、自動運転で走行する車両を扱うのは初めてとなる。アフリカだけでなく、中東、インド、英国で事業を展開しており、今回の提携により米国でのプレゼンス向上を狙う。
Waymoは商用配車サービスを提供してきた企業で、2023年10月に自動運転を行うロボットタクシーの提供を開始した。自動運転技術の開発に注力するため、WaymoはMooveにアリゾナ州フェニックスにおける自動運転サービスの車両メンテナンスと、Waymoが2025年にサービスを開始する予定のマイアミにおける充電ステーションとデポの設置を委託する。
Mooveは英国でUberの電気自動車への融資提供を行う計画を発表しており、2025年までに最大1万台の電気自動車と6,000以上の充電ステーションを展開する予定となっている。同社の累計調達額は4億ドル以上で、2024年初頭にはUber率いる投資ラウンドで1億ドル以上を調達した。
豊田通商の子会社であるCFAO傘下の医薬品卸CFAO Healthcareが、モザンビークの医薬品輸入卸Medimportをポルトガルの製薬会社Bialから買収した。買収価格は明かされていない。
CFAO Healthcareは、CFAO Mozambiqueとして事業を展開するモザンビークを含め、アフリカ28カ国以上に拠点を置き、医薬品の卸売事業を展開している。3,800人以上の従業員を擁する。
Bialは神経科学と希少疾患に関する研究開発に注力する戦略に基づき、自社唯一の医薬品卸売事業だったMedimportをノンコア事業と位置づけ売却するに至った。
アフリカで事業を展開する英通信会社Vodafone Group(Vodafone)が、楽天の出資先であり低軌道(LEO)衛星通信サービスを提供する米AST SpaceMobile(AST)と10年間の商用契約を締結した。Vodafoneは自社の事業実施国で、衛星から携帯電話に直接アクセスできるASTのDirect-to-Device(D2D)通信サービスを提供する。アフリカでは、南アフリカ、ケニア、エチオピア、レソト、モザンビーク、コンゴ民主共和国が対象国となる。
ASTはLEO衛星を用いることで、地方部でのモバイル通信のカバレッジ拡大に取り組んでいる。2024年10月に米国をカバーする最初の衛星5基を打ち上げており、2025年内に1基で最大2,400平方フィートのエリアにモバイル通信を提供できる衛星を打ち上げる。通信速度は最大120 Mbpsに設計されており、基本的な音声通話やデータ通信だけでなく、動画のストリーミング再生にも対応する。
Vodafoneは2018年以来ASTに出資しており、主要な技術開発パートナーでもある。ASTは直近となる2024年の調達において、Vodafone、Google、AT&Tから2億650万ドルを調達している。ASTは携帯通信会社と45を超えるMoUを締結しており、アフリカではケニアのサファリコムやウガンダのUganda Telecomと結んでいる。
第3回日アフリカ官民経済フォーラムがコートジボワールで開催された。パネルディスカションでは日本企業が自社の説明を行った。アフリカ側からは約30名の大臣が参加した。
2023年の日本とアフリカの間の貿易額は260億ドルだった。日本の民間セクターは、資金調達の難しさやリスクを抑えたいという考えから、アフリカへの投資に非常に慎重である。
コンタクトレンズの大手メーカーであるシードが、エジプトでの販売を開始したと発表した。現地の代理店を通じて、1日使い捨てタイプのコンタクトレンズを販売する。
シードは50以上の国で製品を販売しており、海外売上高は2024年3月期で全体の15%を占める47億円となる。
ユニ・チャームがケニアで、生理用ナプキンの製造を開始する。2025年1月からケニアの現地企業に製造を委託し、豊田通商およびそのケニア子会社CFAO Kenyaが販売を担う。
ユニ・チャームとCFAO Kenyaは2023年8月より協働し、ユニ・チャームのエジプト工場で製造したプレミアムカテゴリーの生理用ナプキンを輸入・販売してきた。2025年1月からはラインナップを価格を抑えた普及品の生理用ナプキンに拡大し、ケニア企業に委託して製造する。原料の一部をケニアで調達し、ケニア以外の国での展開も視野にいれる。
ユニ・チャームによると、ケニアでの生理用ナプキンの普及率は約3割に留まっているという。