- アフリカのビジネス環境
アフリカにおける日本企業の動き(2023年6月)
(写真は双日が販売する即席麺。同社プレスリリースより)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
- アフリカにおける日本企業の進出事例の一覧は、「日本企業のアフリカ進出動向と事例」からご覧ください。
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【モロッコ】空気圧制御機器世界最大手のSMCがモロッコに子会社を開設(6/1)
空気圧制御機器メーカー世界最大手SMCが、モロッコのカサブランカに子会社を設立した。SMCにとってアフリカで独資による子会社を設立するのはこれがはじめてとなる。モロッコに工場を設立している日本企業向けを中心に製品を提供する。また、自動車産業、電機、車載電池といった産業に注目しており、欧州に近い地理的な利点やアフリカ諸国へのアクセスも生かす。
SMCは、空気圧縮、計測、バルブ、シリンダーなどの空気制御機器を製造し、工場などの自動化プロセスを包括的にカバーしている。世界80カ国に500以上の拠点を置き、計2万人以上を雇用する。
日本とモロッコは2020年に、投資家保護と関税撤廃を目的とした二国間投資協定を締結している。
【アフリカ全般】伊藤忠商事が出資する独ドローンメーカーWingcopterと独シーメンス子会社Siemens Healthineersが提携し、検査サンプルの配送サービスのパイロットを実施へ(6/6)
独ドローンメーカーWingcopterと独シーメンスの子会社で臨床検査向けの医療機器や検査キットを販売するSiemens Healthineersが提携し、アフリカ全土でドローンを使ったパイロット事業を実施する。血液サンプルを農村から都市に運んだり、ワクチンや医薬品を都市から農村に運ぶなど、ドローンを用いて双方向の輸送を行う。Siemens Healthineersの検査能力とWingcopterのドローン配送を組み合わせることで、農村部の人々が検査を受けやすくなり、より迅速に治療を開始することを可能にする。
Wingcopterが提供するドローンは、低温状態を常に維持しながら飛行することが可能で、最大飛行距離は75キロメートルである。ドローンを使って検査用サンプルを医療施設まで運んだ後は、Siemens Healthineersの検査情報管理システムLaboratory Information Systemsを使うことで情報を正確にトラッキングし、検査結果を患者に直接通知する。
Wingcopterはアフリカ現地の若者をトレーニングし雇用を創出することにも取り組んでいる。すでに事業を展開するマラウイでは全員が現地スタッフであり、そのうち女性が半数以上を占めるという。
【ケニア】いすゞ自動車のケニア子会社Isuzu East Africaが、5億ケニアシリングを投じて自動車の塗装工場を開設(6/7)
いすゞ自動車のケニア子会社Isuzu East Africaが、5億ケニアシリング(5億円)を投じて自動車の塗装施設をナイロビに開設した。生産台数を年間1万1,000台から1万8,000台へと増やす。
新しい塗料施設は、電流を流すことで塗料を全体にムラなく密着させる電着塗装の施設となる。Isuzu East Africaによると、南アフリカを除くサブサハラアフリカ地域で電着塗装が採用されたのは初めてだという。他の自動車組み立て会社も二輪車や三輪自動車を含めて利用できる。
※1ケニアシリング=1.0円(モーニングスター、6/9)
【エチオピア】国際送金や携帯電話料金送金を提供する米Prepay Nationが、住友商事が出資するSafaricom Ethiopiaと提携(6/11)
国際送金や携帯電話料金の前払いを提供するプラットフォームを運営する米Prepay Nationが、エチオピアの携帯電話通信会社Safaricom Ethiopiaとの提携を発表した。この提携により、国外に住むエチオピア人がSafaricom Ethiopiaのネットワークを介して、エチオピアに通話料金を送ることができるようになる。
Prepay Nationは、国内外で通話料やバンドル、デジタルギフトカード、ユーティリティ費用の事前購入が可能なマーケットプレイスを運営している。同社のプラットフォームは、150カ国以上に展開され、アフリカの通信会社を含む600社を超える通信事業者と提携している。
250万人以上のエチオピア人が北米や欧州、中東、オランダといった国外に住んでおり、エチオピアに住む家族や友人に通話料金を送る需要が高まっている。
【ケニア】商船三井グループがケニアの物流会社GCS Velogicと戦略的提携を締結(6/12)
商船三井と商船三井ロジスティクスは、モーリシャスを拠点とするRogers Groupのケニア子会社General Cargo Service(GCS Velogic)と戦略的提携を目的としたMoUを締結したことを発表した。
商船三井は現地法人MOL Shippingを、商船三井ロジスティクスは支店をそれぞれナイロビに保有している。内陸輸送において、これまでもGCS Velogicへ業務委託を行っていた。GCS Velogicは、通関、トラック輸送、倉庫、サプライチェーン金融、デジタル物流サービスをケニアで行っている。約170台のトラックと、ナイロビ、モンバザ、ナクルにオフィスや倉庫を有している。
今後両者は、ケニアや周辺諸国においてロジスティクスサービスを共同で提供するとともに、コールドチェーンやデジタル物流サービス、物流関連の新規事業開発を共同で推進する。
【アフリカ全般】日本貿易保険(NEXI)がアフリカ貿易保険機構(ATI)に資本参加(6/13)
日本の輸出信用機関である日本貿易保険(NEXI)が、アフリカ貿易保険機構(ATI)に1,480万ドルを出資し資本参加した。
ATIは、アフリカ向け民間投資の拡大を目的として、2001年に設立された。アフリカ21カ国が加盟しており、ケニアに本店を置く。投資保険や輸出信用保険などを提供しており、ATIはこれまで日本の民間セクターに対し、総額49億ドルとなる契約不履行へのリスク保証を行ってきた。2019年にはATIのナイロビ事務所にジャパンデスクが設置されている。
【ナイジェリア】ナイジェリア発の中古電子機器のB2BマーケットプレイスEzeが、伊藤忠商事が参加するシードラウンドで370万ドルを調達(6/15)
ナイジェリア発の中古電子機器のB2BマーケットプレイスEzeが、シードラウンドで370万ドルを調達した。伊藤忠商事、Y Combinator、Right Side Capital、C2 Ventures、Boro Capital、EVPI Investments、個人投資家Jack Greco、その他エンジェル投資家が投資した。
Ezeは2020年に設立された。iPhoneを中心とする中古スマートフォンやノートパソコン、タブレットなどの中古電子機器のB2Bマーケットプレイスを運営している。これらの在庫を持つ米国などの電子機器メーカーや卸売業者と、中古電子機器を販売する店舗や卸業者の両者が売買のリクエストをEzeに提出し、Ezeが両者の希望をマッチングする。
中古電子機器は、一般的に相対で取引されており価格の相場が存在せず、品質管理の不足や詐欺が横行している。Ezeは、正規品であるか、機能するかについて判別する標準化された評価プロセスを構築しており、最終顧客に対して30日間の保証をつけることができる。競争力のあるリアルタイムな市場価格を提示するほか、様々な通貨の受け入れや後払い、自動化されたロジスティクスを提供することで、中古電子機器に特有の取引リスクを排除した中間業者として機能する。Ezeによると、設立から最初の2年間で計800万ドル相当の売買が行われ、これまでに50万台以上の機器が売買されてきた。返品率は2%未満だという。
Ezeにとって最初の市場はナイジェリアで、ラゴスにあるコンピューターヴィレッジのような中古電子機器市場を近代化することを目指して事業を立ち上げた。現在では、日本や香港の中古電子機器サプライヤーとの提携を開始し、ドバイにも施設を開設するなど事業は拡大しており、最大市場であるメキシコ、その他事業を展開している南アフリカ、ウクライナなど世界15カ国で1,000社以上の顧客を抱えているという。
【ケニア】三井物産が出資するB2BeコマースKyoskが、ケニアの小規模事業者向け融資スタートアップPezeshaと提携、在庫融資を提供へ(6/15)
三井物産が出資するケニアB2BeコマースKyoskと、ケニアのフィンテックスタートアップPezeshaが小売店向け融資の提供で提携した。Kyoskが事業を展開するケニアとウガンダのうち、まずはケニアで融資の提供を開始する。
2017年創業のPezeshaは、融資サービスを受けることができていない小規模事業者向けに対して、運転資金を提供するデジタル融資インフラを展開している。Pezeshaの提携企業は同社のAPIを利用し、販売時に加盟店ネットワークに融資やその他金融サービスを提供することができる。今回の提携によりKyoskは、同社の加盟小売店舗がKyoskアプリで商品の注文を行うときに、Pezeshaの提供する在庫融資を提供することができる。
2022年8月にPezeshaはプレシードラウンドで1,100万ドルを調達し、事業を大幅に拡大している。コア市場での拡大とサブサハラアフリカ地域での展開に繋げた。
【ケニア】ケニアの個人間中古車マーケットプレイスPeach Carsが、シードラウンドで500万ドルを調達(6/15)
ケニアの個人間中古車マーケットプレイスPeach Carsが、シードラウンドで500万ドルを調達した。東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)がリードインベスターを務め、他にもメルカリの創業者兼CEOである山田進太郎氏、デジタル決済サービスPayPalの日本事業統括責任者であるPeter Kenevan氏、早稲田大学ベンチャーズのジェネラルパートナーである太田裕朗氏を含むエンジェル投資家が投資した。
今回の投資を経てUTECのプリンシパルKiran Mysore氏がPeach Carsの取締役会に加わった。UTECは提携先となるPeach Carsに対し、自動車業界に関する日本の専門知見とビジネスネットワークを提供していく。
Peach Carsは2020年に設立された。ケニアで個人間の中古車売買を仲介するマーケットプレイスを運営している。独自のソフトウェアを用いて車両の状態検査を自動化している。ケニアでは自動車の80%が日本製であることを踏まえ、日本の自動車業界の基準に基づく検査を行いレポートを作成している。売却された自動車へのアフターサービスを提供していることが特徴で、利用者には自動車のライフサイクルに関する情報提供も行っている。
売買成立時のサービス料と手数料が主な収益源であり、契約周りの事務手続き、車両の状態検査、車両の所有権変更手続き、安全な決済と引き渡しを含む付加価値サービスを追加の収益源としている。これまで何百台もの自動車の売買を仲介し、月間GMV(流通取引総額)は創業当時の10倍となる20万ドル以上に達している。2024年には、ほぼ全自動での運営が可能な自動車検査センターを設立する計画である。
今回の調達資金は事業の成長に投じる予定で、人材の追加採用、テクノロジーを用いたサービスを強化するための研究開発費として使われる。
【ケニア】豊田通商傘下CFAO Groupの自動車リース子会社Loxea Kenyaとケニアの後払いサービスAspira Kenyaが、中小企業向け自動車融資で提携(6/20)
ケニアの後払い(BNPL)サービス会社Aspira Kenyaが、中小企業向けの自動車融資を提供するため、豊田通商の子会社CFAO Groupの自動車リース子会社Loxea Kenyaと提携した。
提携によりAspira Kenyaは、中小企業向けに担保や保証人なしで車両価格の全額を融資で購入できる自動車融資Gari na Aspiraを立ち上げる。包括的な自動車保険、車両の追跡機能、フリート管理システム、車両のメンテナンスや修理も提供する。対象ブランドには、トヨタ自動車、スズキ、フォルクスワーゲンに加え、トラックブランドであるメルセデス・ベンツ傘下のアクトロス、日野自動車、現代自動車、シノトラックが含まれる。
【ケニア】双日がケニアで即席麺の製造販売を開始(6/23)
双日が、ケニアで即席麺の製造、販売を開始すると発表した。同社は、ケニアで食用油などを製造するKapa Oil Refineriesと合弁会社Kapa Foods Innovationsを設立しており、その最初の商品として即席麺を発売する。タイの即席麺製造大手であるThai President Foodから製造技術や品質管理の指導を受ける。
2026年を目処に、ケニアおよび周辺東アフリカ地域の即席麺市場でシェア20%を獲得することを目指す。