アフリカにおける日本企業の動き(2021年9月)

アフリカにおける日本企業の動き(2021年9月)

(写真はケニアのホシザキの支店)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【南アフリカ】凸版印刷がアフリカの政府系IDシステムインテグレーターFace Technologiesを買収(9/6)

凸版印刷の子会社の香港Toppan Gravityは、南アフリカのFace Technologiesを買収した。買収により凸版印刷は、本格的にアフリカ地域における政府系IDソリューション事業を拡大する。

Toppan Gravityは中国でICカードの決済システムなどを展開している。Face Technologiesはアフリカの政府に対し、運転免許証や国民IDなどをデジタルで管理するシステムの導入や運用を支援している。

Face Technologiesによると、アフリカにおける政府系IDソリューション市場は今後5年dで規模が2倍に成長するという。

【ケニア】業務用冷蔵冷凍庫メーカーホシザキがケニアに支店を開設(9/6)

業務用冷蔵冷凍庫メーカーホシザキは、インド子会社Western Refrigeration Privateを通じてケニアに支店を開設した。アフリカでの販売基盤を強化する。

ホシザキはアフリカにおいては、2009年から飲料・ビール業界向けに販売を開始している。Western Refrigeration Privateはインドの厨房機器メーカーで、ホシザキは2012年に買収を発表している。

ホシザキは今後5年程度で海外売上高を5割に引き上げることを目指す。

【南アフリカ】三井物産が出資するETGの物流子会社ETG Logisticsが、インドのバイクメーカーTVS Motorの南アフリカのディストリビューターに選定される(9/8)

インドのバイクメーカーTVS Motorは、南アフリカのディストリビューターとしてETG Logistics(ETGL)との提携を発表した。ETGLは今後、TVS Motorのディーラー30店舗を南アフリカで運営し、ヨハネスブルグに組み立て工場の設置を行う。ETGL はアフリカを中心に世界48カ国で事業を展開するコングロマリットETGの傘下企業。

TVS Motorは南アフリカでTVS ApacheシリーズやTVS HLXシリーズ、TVS NTORQ 125、TVS Duramax Cargoといった商品群を発売する。TVS Motorは、世界のバイクメーカーのトップ5に入る企業で、アフリカや東南アジア、インド亜大陸、南アメリカ、中東の70カ国で販売を行っている。

【エジプト】豊田通商がブルーアンモニアの製造機会探索に関してエジプト政府とMoUを締結(9/14)

豊田通商がエジプト政府とブルーアンモニアの製造機会の探求に関するMoUを締結した。エジプトガス公社(Egyptian Natural Gas Holding Company、EGAS)、エジプト石油化学公社(Egyptian Petrochemicals Holding Company、ECHEM)との間で締結となる。

合意に基づき、今後6カ月に渡り経済的な実現可能性に関する調査を行い、ブルーアンモニアの製造にあたって必要な二酸化炭素を回収・貯蔵する最善の方法を、日本の最新技術を用いて検討する。

【トーゴ】アフリカ9カ国で家庭用太陽光発電キット事業を展開する三菱商事出資の英Bboxxが、スマートフォンのPAYG販売に向けてトーゴ政府とMoU締結(9/27)

英国に本拠を置き、アフリカ9か国で家庭用太陽光発電キット販売を展開するBboxxが、スマートフォンの販売を開始する。トーゴにおいて、太陽光発電キットと同じPay-as- you-go(PAYG)販売方法を用いて販売する。

トーゴ政府とMoUを締結した。トーゴ政府はスマートフォンを普及させることにより、デジタルインクルージョンとデジタル公共サービスの提供を進めていく。Togo Smartphone Initiativeの一環として2022年より開始し、第一段階ではデータプランやハードウェアに対する消費者の選好やニーズを調査し、第二段階ではデジタル公共サービスへの移行を奨励する意味で、公務員や公共セクターのワーカーに給与天引きかPAYGモデルを用いてスマートフォンを持たせる。第3段階では一般の人々にPAYGのような手に入れやすい方法を用いて普及を図る。

Bboxxはこれまで、中国で製造した太陽光発電キットを50万台以上販売してきた。トーゴには2017年に参入し、合弁企業Bboxx acec EDFを通じて、モバイルマネーで支払うPAYG方式で太陽光発電キットの普及を図ってきた。トーゴ政府は農村の電化を太陽光にて進めることを目指し、CIZO Chequeと呼ばれる補助金を提供してきた。

【ナイジェリア】ソフトバンク・ビジョン・ファンド2がナイジェリア発のエンジニアマッチングサービスAndelaにシリーズEで出資、評価額が15億ドルとなりAndelaはアフリカ5社目のユニコーンに(9/28)

ソフトバンクグループなどの出資により組成されているソフトバンク・ビジョン・ファンド2は、ナイジェリア発のエンジニアマッチングサービスAndelaのシリーズEラウンドにリードインベスターとして出資した。同ラウンドでのAndelaの調達金額は2億ドル、評価額は15億ドルとなり、ユニコーンとなった。Whale Rockが新規に投資したほか、Generation Investment Management、Chan Zuckerberg Initiative、Spark Capitalといった既存投資家も出資した。

Andelaの累計調達額は3億8,100万ドル。最後に公表された評価額は2019年のシリーズDで1億ドルを調達した時点の7億ドルであった。今回の調達資金は、製品開発にあたる人材の増強や技術や製品開発への投資および今後のM&Aに用いる。

Andelaは2014年にナイジェリアのラゴスで設立された。当初はアフリカ7カ国のエンジニアを対象としていたが、現在は世界80カ国以上の数千人のエンジニアを抱えている。過去6カ月間でエンジニアからの申し込み数は5倍に増加しており、今後50万人以上のエンジニアをプールすることを目指している。現在、GitHub、Cloudflare、ViacomCBSを含む200を超える顧客を抱えている。

【アフリカ全般】ソフトバンクが、アフリカで気球によるインターネット接続提供を目指したアルファベット傘下のLoonから200の特許を取得(9/30)

ソフトバンクが、アフリカで気球によるインターネット接続サービスの提供を目指していたアルファベット傘下のLoonから、約200の特許を取得した。

Loonは、成層圏に高高度気球を飛ばした際に、気球が自律的に航行して1つの領域に長時間留まることができる技術を開発するなど、多くの新分野を開拓した。現在それらのアセットの多くを誰もが無料に利用できるようにしたり、主要なパートナーや投資家に引き渡している。ソフトバンクあはそのようにして知的財産を入手する1社で、成層圏通信およびサービス、運用、航空機に関連する約200件のLoonの特許を得た。

ソフトバンクは、子会社のHAPSモバイルを通じてドローンを用いた成層圏通信プラットフォーム開発を行っており、取得した特許はそれに用いる。ソフトバンクにとってLoonは技術パートナーであり投資家だった。2019年にはAlphabetに1億2,500万ドルを出資している。

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