- アフリカのビジネス環境
アフリカにおける日本企業の動き(2021年5月)
(写真は南アのゲームパブリッシャーCarry 1stのスクリーンショット、ABP撮影)
毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。
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【南アフリカ】南アフリカのゲーム会社Carry1stが、Konvoy Ventures率いるシリーズAラウンドで600万ドルを調達、日本の上場ゲーム会社アカツキのCVCファンドも投資(5/4)
南アフリカのモバイルゲーム制作会社でありゲームパブリッシャーのCarry1stが、米ベンチャーキャピタルKonvoy Venturesが率いるシリーズAラウンドで600万ドルを調達した。人気ゲームLeague of Legendsを開発したRiot Games、東証一部上場企業であるゲーム会社アカツキが立ち上げた海外ゲーム会社向けファンドAkatsuki Entertainment Technology Fund、Raine Ventures、TTV Capitalが参加した。Carry1stは1年前の2020年5月、CRE Ventures率いるシードラウンドで250万ドルを調達している。
2018年に設立されたCarry1stは、自社開発のモバイルゲームを発売して事業を開始したが、現在はゲームパブリッシング事業も手掛ける。長期の独占ライセンス契約を締結して、ゲームのローカライズ、配信、ユーザー獲得、収益化、カスタマーエクスペリエンスの向上を支援する。
シードラウンド完了後から2020年のうちに、同社はスウェーデンのRaketspel、Cosi Games、エチオピアのQene Gamesなどのゲーム制作会社による7つのゲームと提携した。採用を進め、チーム数を11カ国で18から26へと増やした。世界的なゲーム開発会社との新たなパートナーシップの確保も計画している。
Carry1stは、Paystack、サファリコム、Cellulantなどのアフリカの決済APIを提供する会社と提携し、決済手段の開発とゲームの収益化にも取り組んでいる。同社が開発する決済手段Pay1stの開発も進めている。
【エジプト】Siemens Energyと三菱重工グループの伊Turbodenがエジプトでガス圧送ステーションを開発へ。排熱利用のバイナリー発電設備によりCO2を削減(5/5)
Siemens Energyと三菱重工業グループの伊Turbodenが共同で、エジプトガス公社向けの天然ガス圧送ステーションの開発に着手した。Turbodenが納入する、ガスタービンの排熱を利用して発電するバイナリー発電設備を用いることで、ガス圧縮率を25%向上させ、発電のための天然ガスの利用を節約し、年間12万トンのCO2を削減する。
Siemens Energyは20MWeの電動コンプレッサーを供給し、Turbodenの28MWeの有機ランキンサイクル(ORC)タービンへと接続される。既存ガスタービン4基と、Siemens Energyが供給する高効率で低排出の新型ガスタービンの排熱を利用することで、年間192GWhの燃料が使わずに済む。発電された電力は、10MWeの電動コンプレッサー2台へと供給される。
このシステムは従来の電力網から完全に切り離して発電することができ、水も必要としないため、遠隔地や砂漠地帯での設置に適しているという。
【ナイジェリア】日揮がナイジェリア初となる浮体式LNGプラントの概念設計役務を受注(5/11)
日揮ホールディングスは海外EPC事業会社日揮グローバルを通じて、ナイジェリアの石油ガス会社UTM Offshoreとの間で、ナイジェリア初となる浮体式LNGプラントの概念設計役務(Pre-FEED)契約を締結した。あわせて、OEサービスと概念設計の第三者レビューを行う企業として米KBRと契約を締結した。
ナイジェリアは世界で8番目となるガス埋蔵量が発見されているものの、大部分は開発されていない。2020年には平均7,800MMscfdのガスを生産したものの、その35%が商業利用されず、540MMscfdが焼却(ガスフレアリング)された。浮体式のLNGプラントを建設することで、フレアリングを防ぎ、収益化を図る。UTM Offshoreは2021年2月にナイジェリアの石油資源局(DPR)から同プラントの設立ライセンス(License-to-Establish)を得ていた。概念設計が終了した後、設計や建設、投資の判断に進む。
同LNGプラントは、Mobil Producing Nigeriaが40%、国営石油会社(NNPC)が60%の権益を持つ鉱区のガスを利用し、年間120万トンのガス生産を見込む。
日揮の納期は2021年10月の予定。
【エチオピア】住友商事が参加するコンソーシアムがエチオピアの通信ライセンスを取得し通信事業に参入。エチオピア初の外資への通信ライセンス供与(5/22)
エチオピアの通信自由化に伴う外資へのライセンス提供にかかる入札において、英ボーダフォン傘下のケニアサファリコム、南アフリカVodacomならびに住友商事、英開発金融CDCによるコンソーシアムがライセンスを取得した。入札金額は8億5,000万ドル。6億ドルで応札した南アフリカのMTNにはライセンスは与えられなかった。
コンソーシアムは今後、エチオピアに合弁会社を設立し、2022年のサービス開始を目指す。4G通信を含めたインフラ整備などに85億ドルを投資する計画とされ、これはエチオピアへの1件あたりの海外投資額として過去最大となる。モバイルマネーライセンスについては、現時点では国営エチオテレコムのみに認められているが、アビー首相は1年後に競争を開放するだろうと述べている。
エチオピア政府は通信自由化の一環として、エチオテレコムの株式45%の売却も進めている。
※1ケニアシリング=1.0円(ブルームバーグ、3/23)
【ケニア】豊田通商が同社のアフリカスタートアップ向け投資会社Mobility54を通じてテレマティクス自動車保険を開発するケニアAiCareに出資(5/26)
豊田通商が同社のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であるアフリカスタートアップ向け投資会社Mobility54を通じて、自動車保険向けに保険システムを提供するケニアのAiCare Groupに出資した。
AiCareは、走行データや運転挙動データに基づき、AI(人工知能)やML(機械学習)を用いて事故リスクを算定し、スコア化する技術を持つ。自動車保険会社にこのシステムを提供し、事故リスクに応じた保険内容の提供や保険支払いの低減に役立てる。ケニアにおいて自動車保険は加入が義務づけられており、約300万台超の車両が保険に加入している。
豊田通商は今後、同社のアフリカ域内ネットワークを活用し、AiCareの保険システムをケニア以外の国・地域へ展開していく。