アフリカにおける日本企業の動き(2018年9月)

アフリカにおける日本企業の動き(2018年9月)

(家庭用太陽光発電キット ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【ケニア】いすゞ自動車のケニア子会社Isuzu East Africaが、ケニアに新たに導入される大型バスのプロトタイプを開発へ(9/5)

いすゞ自動車のケニア子会社、Isuzu East Africaは、バスレーンに関する基準Bus Rapid Transport(BRT)に関して政府決定がなされたことに基づき、大型バスの大量製造に取り組む。45人が着席し、55人が立って乗車できる計105人を収容できるバスで、同社は国家交通安全局(NTSA)の技術者と相談しながらプロトタイプとなるバスの開発を進めている。

当初政府は、南アフリカからバスを50台輸入する計画だったが、現地製造に切り替えられたことで、Isuzu East Africaを始めとする現地の部品製造業者に機会がまわってきた形だ。

ケニア国家標準局(KEBS)により組成された技術委員会によるBRT政策草案は、2018年9月30日から1ヶ月にわたって意見を公募する。

【南アフリカ】東京海上が南アフリカの生損保大手Hollardに出資(9/6)

東京海上ホールディングスが、南アフリカの生損保大手Hollard HoldingsおよびHollard Internationalの第三者割当増資を引き受け、それぞれの株式約22.5%を50億ランド(360億円)で取得することで合意した。両社は東京海上ホールディングスの持ち分適用会社となる。

Hollard Holdingsは南アフリカにおいて損保2位、生保6位のシェアを占める。2017年の総保険料収入は1,582億円。Hollard Internationalはナミビア、ボツワナ、モザンビーク、ガーナ、レソト、ザンビアといった南アフリカの周辺国にて元受け保険事業を行っており、ボツワナでは損保で1位、生保で3位のシェアを占める。総保険料収入は255 億円となる。

Hollard側は、同社にとって海外事業はすでに純利益の3分の1を占めているが、今回の増資により東アフリカ、西アフリカを含む国際ビジネスの拡大が可能になるとしている。

※1ランド=7.3円(ブルームバーグ、9/10)

【コートジボワール】三菱商事が、コートジボワールの無電化地域における家庭用太陽光発電キット事業にフランス電力公社とともに出資参加(9/7)

三菱商事は、フランス電力公社(EDF)と、アフリカの無電化地域でビジネスを行うためにフランスで設立したNEoT Offgrid Africa(NOA)に出資参画した。

NOAは、コートジボワールを中心に、太陽光発電と蓄電池および照明、ラジオ、テレビなどの生活家電のセットを一般家庭向けに貸し出し、月額10ユーロをモバイルマネーで回収する事業を行う。5年以内に数十万世帯への導入を目指し、年間数十億円の売上高を見込む。

三菱商事はEDFと、NEoT Green Mobility(NGM)も設立した。蓄電池を活用してヨーロッパ都市部の交通局、交通オペレーターなどに電動バスや充電設備のレンタルを提供する。

【チュニジア】日産自動車がチュニジアでピックアップトラックの組立工場設立を発表(9/13)

日産自動車は、チュニジアで、同国のMzabi Groupと連携してピックアップトラックの組立工場を設立することを発表した。2フェーズにわけて計3,300万米ドルを投資する。

チュニジアの産業大臣は、チュニジアは欧州向け自動車輸出量で第2位であるとして、同国にとっての自動車産業の重要性について述べている。

Mzabi Groupは、チュニジアにおける日産自動車、ルノー、ダチア、ラーダのディーラーである。

【ガーナ】日産自動車がガーナで組立工場の開設を検討していると報じられる(9/18)

日産自動車がガーナでの自動車組立工場の開設を検討していると、ガーナの副大統領が明らかにしたとロイターが報じた。

ガーナでは、独フォルクスワーゲンや中国のシノトラックが政府との間で予備的合意に達している。

【タンザニア】丸紅がタンザニアで太陽光パネルキットのレンタル事業を行うワッシャに出資。最終的に約21%の出資比率となる見込み(9/23)

丸紅が、タンザニアで太陽光パネルなどをキオスク(小売店)経由で家庭に貸し出す事業を行っている日本企業ワッシャへの出資参画について、既存株主と合意に達した。最終的に出資比率は約 21%となる見込みという。

ワッシャのビジネスモデルは、太陽光パネル・充電関連機器・ランタンをキオスクに貸し出し、キオスクが充電したランタンを近隣住民にレンタルするもの。モバイルマネーを通じてキオスクから料金を徴収する。タンザニアにおいて、現在約 900 店舗のキオスクに貸し出しを行っているという。

【ケニア】送金サービスのSBI Remitとケニアのブロックチェーン決済会社BitPesaが提携、日本とアフリカ間の新しい送金サービスが開始へ(9/24)

SBIグループで送金サービスを提供するSBI Remitが、ケニアをベースにブロックチェーン技術を用いた決済サービスを提供するBitPesaと提携した。

これまで日本からアフリカへの送金は、銀行や仲介業者を介して、円を米ドルやユーロを経由して上でアフリカにて使用される40以上の通貨に換金されていた。

送金にかかる時間は24時間から7日間で、送金手数料は平均して取引金額の約7%だった。BitPesaを利用することにより、送金時間は1時間程度に、手数料は3%となる。

SBIは今回の提携により、化粧品、電化製品、中古車といった商品の日本・アフリカ間の貿易に資することを期待している。BitPesaは、ナイジェリア、ガーナ、ケニア、タンザニア、ウガンダなどで事業を展開している。

SBIグループは、bitFlyer、Templum、R3、coolBitX、Veemなどのデジタルアセット会社20社に投資を行っていると報道されている。

【アンゴラ】NECが建設した、アンゴラとブラジルを結ぶ大西洋海底ケーブルSouth African Cable Systemが開通(9/26)

南大西洋を横断する世界初の光海底ケーブルシステムであるSouth Atlantic Cable System(SACS)が開通した。日本電気(NEC)がアンゴラのアンゴラケーブルズから受注したもので、アンゴラとブラジルを結び、総延長距離は約6,200km、毎秒100ギガビットの光波長多重伝送方式となり、最大設計伝送容量は毎秒40テラビットである。

SACSは、Monet Cable SystemとWest African Cable System(WACS)と接続することにより、アンゴラとブラジルのみならずブラジルを経由した米国との間の国際通信も可能とする。米国マイアミと南アフリカケープタウンの間の通信遅延は、338ミリ秒から163ミリ秒へと改善される。

SACSにより、アフリカのインターネットサービスプロバイダーやユーザは、ヨーロッパを経由せずとも直接、確実に米国との間で通信が可能となる。南米のコンテンツ提供会社は、アフリカやヨーロッパのマーケットに届けるのに、従来の混み合った北半球ルートを避け、SACSを活用することができるようになる。

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