アフリカにおける日本企業の動き(2016年3月)

アフリカにおける日本企業の動き(2016年3月)

(エジプトの市場にて。ABP撮影)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【電力】丸紅がエジプトで超々臨界石炭火力発電所の建設を検討(3/1)

丸紅がエジプトで超々臨界石炭焚き火力発電所の建設を検討する。エジプト電力公社と事業化調査に関する覚書に調印した。想定する発電所の発電容量は400万キロワットで、エジプトにおいて最大の火力発電所となる。総事業費は4,000億円以上が見込まれる。

日本政府はエジプト政府とのあいだで、日本企業による2兆円規模の事業参画で合意しており、民間による電力インフラ整備や高度医療技術・医療機器、医薬品などの導入を促進する方向。あわせて電力関連のインフラ整備に約411億円のODAを供与する旨が、エジプト政府との共同声明には盛り込まれた。

丸紅による火力発電所の事業化検討を受けて、伊藤忠商事はエジプト電力公社と石炭供給に関する事業化調査の覚書を交わした。三菱商事と三菱重工も天然ガスを用いた複合火力発電所の建設を検討する。

【製造業】JFEスチールがエジプト最大のリローラーであるカンディル社に出資(3/1)

JFEスチールが専門卸の伊藤忠丸紅鉄鋼とともに、エジプトのカンディル社の株式を取得した。取得比率はそれぞれ4.4%、12.1%で、2社あわせて16.5%となる。カンディル社はエジプトの主要冷延・表面処理メーカーで、今回の出資によりカンディル社は高級鋼のための安定調達と技術支援を、JFEスチールと伊藤忠丸紅鉄鋼は成長市場を得る。

カンディル社は冷延鋼板・溶融亜鉛鍍金鋼板・カラー鋼板を年間約60万トン生産し、それぞれの商品のエジプトでのシェアはトップ。エジプトに2工場を持つ。エジプトは今後、インフラ整備などで鋼材需要が年率5%以上で伸びると見られている。JFEスチールは今回の出資を足がかりに、中東での売上を数年で倍増させる計画。

【製造業】東京製綱が炭素繊維複合材を使った送電実験をエジプトで実施(3/5)

東京製綱はエジプトで、炭素繊維複合材ケーブル(CFCC)の送電実験を行う。送電容量の増容量を可能とするACFR(CFCCを芯に使用した電線)の適用可能性に関する1年間の調査を、エジプト送電公社(EETC)と同国電線メーカーのマアディ・カンパニー・フォー・エンジニアリング・インダストリーズ(MCFEI)と実施する。

炭素繊維複合材料は芯材に使うことで、芯材を減らして電線を増やすことができ、送電容量を2倍に増やせるという特性を持つ。軽くて強度が高い。パイロット調査も同時に行い、エジプトの送電線需要の取り込みを図る。

【食品】JTIがザンビアの小規模たばこ農家に850万ドルを融資(3/20)

日本たばこ産業の海外事業会社であるスイスJapan Tobacco International(JTI)が、ザンビアの東部州および西部州の小規模タバコ農家7,000世帯に対し、850万ドルの融資を行った。投資先タバコ農家合計で1,000万キログラムのタバコ葉を生産する見込み。

JTIの広報マネージャーChola氏によると、各州平均して約3,500世帯の農家と契約し、肥料などを事前配付し、代わりに農家は生産したタバコ葉をJTIに対して販売する義務を負う。融資の850万ドルは肥料など生産資材への融資となる。

東部州においては、タバコ葉の購入業者はJTI以外にSun Bridge TobaccoとPemba Leafと他2社が存在するが、このような小規模農家への支援をしているのはJTIのみで、農家の生産量の87%を握っている。西部州のタバコ生産中心地であるKaomaにおいては、購買量において3番目の企業となる。

【製造業】東洋エンジニアリングがEPCとして参画したインドラマ・エレメ肥料会社によるナイジェリアの世界最大級の肥料工場が試運転を開始(3/21)

インド資本の石油化学大手インドラマの子会社であるナイジェリアインドラマ・エレメ肥料会社は、14億ドルを投じたポートハーコートの肥料工場の試運転を開始する。生産能力はアンモニアプラントが日産2,300トン、尿素プラントが日産4,000トンと世界級で、ナイジェリア国内の高い肥料需要を満たした上で輸出も行う。現在は肥料製造における重要工程であるアンモニアプラントの一次・二次改質炉、尿素粒状化プラント、マテリアルハンドリングシステムなどの試運転前確認が行われている。

同社は、同じ親会社を持つインドラマ・エレメ石油化学会社とともに、肥料工場への安定的なガス供給に必要なガスパイプライン設置と肥料輸出のために、肥料工場近くに1.3億を投じて港湾ターミナルも建設しており、こちらも試運転に入っている。

【自動車】住友ゴム工業が南アフリカでトラック・バス用タイヤの生産設備を新設(3/24)

住友ゴム工業が、同社が持つ南アフリカのタイヤ工場に追加投資を行う。現在生産中の乗用車及びライトトラック用のタイヤに加え、これまでは日本と中国の工場から輸入し販売していたトラック・バス用タイヤ(TBタイヤ)の生産設備を新設する。

投資金額は66億円で、生産開始は2018年7月を予定。日産750本の生産能力を計画している。トラック・バス用タイヤの生産は、中国、米国についで3カ所目となる。

南アフリカ工場の現在の生産能力は日産1万本で、900人を雇用。所在するクワズール・ナタール州レディスミスにおいて最も雇用が多い企業となっている。2014年には生産能力の増強と高度化を目的に80億円の投資計画を発表している。

【物流】豊田通商がアフリカの有力物流事業者仏ボロレ社と協業意向書を締結(3/25)

豊田通商が仏コングロマリットボロレグループのBolloré S.A.と、協業に向けた覚書として包括的協業意向書を交わしたと発表した。

ボロレは1822年にフランスで創業した、ユーロネクスト上場の家族企業。アフリカの46カ国において、フォワーダー業務、港湾開発・運営、鉄道開発・運営といった物流を中心として展開しており、2015年の売上高は108億ユーロに上る。

豊田通商のプレスリリースによると、アフリカの物流・インフラ事業を中心に、ボロレの他事業とのグローバルな協業も含め、共同事業の可能性を探っていくとしている。

【資源】阪和興業が南アフリカの合金鉄メーカーサマンコール社への出資を引き上げ(3/25)

鉄鋼、非鉄金属商社の阪和興業が、出資する南アフリカのサマンコール・クロム・ホールディングス社の持分を2%から6%に引き上げると発表した。阪和産業は2005年にサマンコール社に出資し、クロム製品およびクロム鉱石の日本における独占販売権を持つ。

サマンコール社は南アフリカに世界最大のクロム鉱石資源を保有し、クロム系合金鉄生産量で世界2位。同社が持つクロム鉱石は埋蔵量で5.5億トンに達し、良質で生産効率がよい。

サマンコール社のクロム鉱石埋蔵量を阪和工業の出資比率で単純換算すると、今回の出資により同社は、日本のクロム系合金鉄需要の約25年分の供給量を確保したこととなる。

【金融】野村ホールディングス子会社が南アフリカに支店開設(3/22)

野村ホールディングスの連結子会社で英国の投資銀行Nomura International plc(NIP)が、南アフリカに支店を開設する。野村ホールディングスとしてアフリカ初の支店となる。

まず8人のスタッフで運営する。欧州や中東などの拠点と連携し、投資銀行サービスを提供する。

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