アフリカにおける日本企業の動き(2015年10月)

アフリカにおける日本企業の動き(2015年10月)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

【農業】UCC上島珈琲がアフリカでの調達を拡大(9/30)

UCC上島珈琲は、コーヒーの消費量が世界的に増えるなか、アフリカを中南米やアジアに次ぐ調達先として開拓するため、アフリカでのコーヒー豆調達を拡大していることを日経新聞が報じた。

8月には、ザンビア北部に農園を有するシンガポールの農業商社OLAMの子会社であるNorthern Coffee Cooperationから、ザンビア初のコーヒー豆を日本に輸出した(※)。2015年度には同国から150トンを調達し、20年度をめどに最大5千トンに拡大する。

また、同じく8月にエチオピアでは、現地商社Metad Agricultural Developmentと連携して豆の品質コンテストを開催した。小規模農家が多く品質にばらつきがあるため、優秀な農家には買い取り価格を上乗せするなどして品質の向上を促すことが目的。(※)

現在、UCCのアフリカからのコーヒー豆の調達量は全体の1割程度。12年に買収した欧州大手の旧ユナイテッドコーヒー(現UCCヨーロッパ)とも協力して安定調達に向けて輸入先の多様化を進めている。

【電力】日立が南アフリカの電力公社Eskomの発電所関連契約の贈収賄容疑で、米国証券取引委員会が和解に達したと発表(9/29)

米国証券取引委員会(以下、「SEC」)は、連邦海外腐敗行為防止法に基づき、日立を訴えていた件に関し、和解が成立したことを発表した。本合意に基づき、日立は1,900万ドルをSECに支払う。

本件は南アフリカ電力公社Eskomが発注した2件の発電所の機材調達に関し、日立が、同社南アフリカ子会社の日立パワーアフリカ(以下、「HPA」)の株式25%を、南アフリカ与党のANCの関連企業であるチャンセラー・ハウスに売却しANCに利益が渡るようにしたというもの。

SECの調査によると、落札後、日立はHPAの株式を買い戻していたという。チャンセラー・ハウスは、一連の取引を通じて総額600万ドルを得ていたと見られている。これらの取引は日立の会計帳簿上虚偽の記載が行われていた。

日立側から本件にかかる公式見解は発表されていない。

【電力】三井物産も携わる南アフリカの発電容量335メガワットの発電プロジェクトが商業運転を開始と現地紙が報道(10/6)

南アフリカの発電容量335メガワットのDedisa Peakingガス火力発電プロジェクトがポート・エリザベスのCoega産業開発地区で商業運転を開始したと現地紙が報じた。

35億ランド(311億円)の本プロジェクトには、フランスのENGIE(前GDF Suez)、オーストラリアのLegend Power Solutions、三井物産、地元コミュニティーの信託会社Peaker Trustが参加している。

本プロジェクトは、60億ランド(533億円)、発電容量670メガワットのAvonプロジェクトとともに、南アフリカ政府による最初の大規模独立発電事業体(IPP)プロジェクトとなる。電力公社Eskomが15年にわたる買電契約を結ぶ。

両プロジェクトの発電所はEskom所有の高圧変電所に隣接しており、発電された電力はそれぞれ、275キロボルトと400キロボルトで伝送システムに送り込まれる。

※1ランド=8.89円(出所:ブルームバーグ、10/8)

【金融】みずほ銀行も参画する銀行団が、ケニアの銀行CfC Stanbic向けに融資(10/7)

ケニアの銀行CfC Stanbicが業務にかかる資金確保のため、1億5,500万ドルの融資を受けることを決定した。

融資はドバイのEmirates NBDが中心となり、アブダビのAbu Dhabi Commercial Bank、クウェートのAl Ahli Bank、カタールのCommercial Bank of Quatar、みずほ銀行、英国のスタンダードチャータード銀行が幹事銀行として加わっている。

融資額は当初1億ドルの見込みだったが、融資に乗り出す銀行が他にも出てきたため上記の額になった。最終的には、モーリシャスのAfrAsia Bank、カタールのAl Khalijiフランス支店、ドイツのCommerzbank、ルクセンブルクのFiliale Luxemburg、カタールのDoha Bankも融資に参加する。

融資の期間やマージンについては明らかにされていない。

【金融】JCBがアフリカの銀行最大手Ecobankと提携し、アフリカ33カ国でのJCBカードの利用が可能に(10/13)

日本のクレジットカード会社JCBが、トーゴに本拠を置くアフリカ最大手の銀行Ecobankと提携し、アフリカ諸国でのJCBカードの利用について合意したことが明らかになった。

Ecobankはアフリカ地域36カ国で銀行業を展開、1,240店舗以上の支店、2,500台のATMおよび16,200台以上のPOS端末を保有している。

今回の提携によってアフリカ33カ国でのJCBカードの利用が可能となる。そのうち21カ国では、初めてJCBカードの店舗利用が可能となるという。

【電力】東芝がケニアの地熱発電開発案件の開発に向けて提携(10/16)

東芝がケニアの地熱発電システムと関連設備の領域における案件開発に向けて、イスラエルのエネルギー開発企業Ormat Technologiesと戦略的協力合意を締結したことが明らかになった。

両社は、資源調査や現地開発、地熱発電プラントの設計・調達・建設(EPC)、さらには運営までの工程において、連携して顧客開拓を進める計画。

同提携の第一号案件はケニアのメネンガイ地熱発電プロジェクトとなる見込みで、Ormatと米国に本拠を置くエネルギー開発企業Symbion Power LLC、ケニアのエンジニアリング企業Civiconの3社で形成しているコンソーシアムがプラントの建設と運営を担う。

【製造業】三菱ふそうがインドから南アフリカ向けに初のトラックを輸出(10/19)

三菱ふそうの南アフリカの子会社Fuso Trucks Southern Africa(以下「FTSA」という)は、インドから初めて完成品のトラックを輸入した。

これまでFTSAは、南アフリカ国内に組立工場を有するMercedes-Benz South Africaと提携し、関税上有利なセミ・ノックダウン方式での生産を行っていたものの、今回、完成品輸入への切り替えを行った。

近年、南アフリカの低価格帯乗用車セグメントを中心にインド車の輸入が急増していた。今回の輸入車はインドのチェンナイにある、Daimler India Commercial Vehicleの工場から輸出される。現地ではBharat Benzのブランド名で販売されているが、南アフリカやアジア・中東向けに輸出される製品はふそうブランドとして販売される。

【製造業】JTが南アフリカの工場閉鎖を検討と現地紙が報道(10/19)

世界第3位の日本のたばこメーカーJTインターナショナル(以下「JTI」)が、南アフリカの工場閉鎖を検討していることを現地紙が報道した。

検討対象となっているのは、JTIが2008年に、94億ポンドでギャラハーを買収後、ヨハネスブルグ東部のWadevilleに設立した工場。すでに84名の全従業員に人員縮小レターが通知されているという。

南アフリカのJTIの市場シェアは、1位で70%を占めるBritish American Tobaccoを大きく下回る9%に過ぎないことに加え、タバコ市場全体も縮小していることから、ここ数年の工場稼働率は、最大生産量年間67億本の1/3以下である19億本にとどまっていた。

JTIは、アフリカ20カ国に展開しており、Wadeville工場を閉鎖した場合も大陸内の他拠点から南アフリカ市場に供給する。

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